血液型というのは、赤血球表面に存在する多糖類の違いを識別する為のものであり、他人と自分の血液を混ぜることによって発生しうる凝集反応を説明してくれる。その基礎には抗原抗体反応の理論がある。 ABO式血液型の場合、血清中の凝集素(=抗体)と赤血球表面の凝集原(=抗原)は以下のように分類される。
このうちAとα、Bとβが抗原抗体反応を起こし、血液の凝集を引き起こす。そして、赤血球表面の凝集原の型によってA・B・O・ABのどれになるかが決定される。 血液型の判定には、黄色に着色されたA型標準血清(β抗体入り)と水色に着色されたB型標準血清(α抗体入り)を用意し、その中に被験者の血液を混ぜる方法が採られる。その時の反応とその結果については上記の表を参照のこと。 血液型占いの本や番組の中に、A型と黄、B型と青、AB型を緑、O型を赤に対応させて色彩デザインを施したものがあるとすれば、それには以上のような科学点理由(?)が存在しているはずである……多分。 さて、世の中にはABO式血液が対外にも様々な血液型が知られている。ここでは、ABO式血液方の次に重要なRh式血液型についても見てみよう。 Rh式血液型は、赤血球表面にRh抗原が存在する(+)のか存在しない(−)のかを表している。「Rh」の由来はこの血液型の研究に使用されたアカケザルの学術名(当然ラテン語である)。Rh+はRh−に対して優位であり、母親がRh−型で父親がRh+型だった場合、産まれる子供はRh+型であることが多い。 さて、この時に第1子がRh+型で産まれた場合、胎内にいたRh+型の胎児からRh抗原が母親の体の中に移動し、母親の体内では自動的にRh抗体が形成されてしまう。Rh−型──Rh抗原を持たない母親にとって、胎児から「受け取った」Rh抗原は異物でしかなく、抗原抗体反応に従ってRh抗体が作られるのだ。 この状態で第2子を妊娠しそれがRh+型だった場合、母親の体内に存在するRh抗体が胎盤経由で胎児の体内に流れ込んでしまい、胎児の血液で抗原抗体反応が進む。その結果、凝集や溶血が起こりやすくなり、流産率が大幅に上昇してしまう。また、母親の体内にも胎児のRh抗原が移動し、母親にも似たような反応が起きることがある(こちらは死ぬこともまれだが)。結果として、この夫婦は子供を1人しか産めなくなるのである。かなりの高確率で流産となる子供を好き好んで産もうとする母親は少ないだろうし、流産を繰り返せば母体の健康状態も大きく悪化することになりかねないのだから、仕方の無いことであろう。 Rh−の比率は日本人で0.5%、欧米では15%、エルドール大陸では1%。 |