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設定資料集・病気

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エルドール大陸における病気とは?

 身体・精神が外傷以外の直接的理由によって障害/機能不全を起こしている状態のことを指します。
 エルドール大陸の世界における病気の位置付けは、我々が済む一般の世界と大して変わりません。唯一の違いは、科学技術ではなく魔法による治療法が存在する点だけでしょう。ただし、病気の治療率(学会で言うところの「x年生存率」)が高いわけではなく、下水道などの衛生設備が整っているわけではありませんので、現代社会と比較すれば、病気で死亡する確率は高くなっています。

 エルドール大陸に存在する病気は主として

(1)魔法的要因が病因に絡んでいる
(2)魔法以外の要因(ウイルスや遺伝子など)が病因に絡んでいる


 この2種類に分類されます。(1)が「ファンタジーっぽい」病気で、(2)はそれ以外の病気になります。現実世界に存在する諸々の病気は、ここエルドール大陸でもほぼそのままの形で存在しているのです。現時点では、「エルドール大陸も現実世界と大して変わらないんだ」ということだけを把握して頂ければ十分です。ただし、病気と向き合って生活しているエルドール大陸の人々には、この区分は全く理解されていません。現在は、各地の大学の科学者達の間で、魔法が病因に絡んでいる病気と絡んでいない病気の区別が進められているところです。

魔法に起因する病気

 様々な病気が存在しますが、「魔法が原因である」と特定された病気は以下の通りです。
 現在、病気のアイデアを募集中。

名前致死率症例
多重人格0%精神病の一種。幼少期の精神的外傷が原因になることが多い。
ただし、この世界では魔法によって人為的に多重人格者を発生させることが可能。
現在では禁止されているが、第1魔法文明期には政治犯に対して多重人格化の処置が施されたこともある。
カラーシフト0%原因不明の奇病。感染力は皆無で、死亡例は存在しない。
色覚異常の一種。波長の短い光を見ることができなくなる(その代わりに赤外線を見る能力を獲得する)。
後天性の病気であり、呪いの一種ではないかと考えられている。
ライカンスロピィ0%ワーモンスター(特定の動物に変身する能力を持った人間)の体液が犠牲者の体液と接触して感染する。
患者が死亡することは無いが、患者は感染元と同じワーモンスターに変身してしまう。
ワーモンスターへの変身は不可逆的なものであり、変身が完了した場合は魔法による治療も不可能になる。
変身後は人間を上回る身体能力を獲得し、生前の知性・精神も維持できるため、生物学的な実害は皆無。
ただし、ライカンスロピィの患者は捕獲(逮捕)・隔離されることが多い。
石化病25%病因は不明。天空の民など魔法使用能力に長けた種族での症例が多い。
全身の皮膚が石像のように固くなる病気。内蔵には異常が現れない。
皮膚呼吸能力の低下による酸欠や歩行中の転倒事故で死亡するケースが多い。
神経過敏症35%病因は不明。魔術師に発症例が多い。
触覚・痛覚が異常に過敏になり、健康に日常生活を送ることが不可能になる。
神経過敏が進行するにつれて精神異常を併発し、自殺・錯乱死するケースが特に多い。
組織溶解症40%病因は不明。魔法による呪いである可能性が濃厚。
膠原組織と脂肪組織から弾力性が失われ溶解してしまう奇病。戦士などに発病例が多い。
ブルー−ブルー50%病因は不明。魔法性毒物が原因である可能性も噂されている。
消化器を中心とする内蔵が青色に変色する奇病。消化不良から栄養失調に至る。
治療薬が存在しないが、その代わりに伝染力が極めて低い病気でもある。
クリスタルボディ65%病因は不明。
全身が半透明のガラスと化す病気。内蔵を含む全組織が硬化した次の瞬間に全身が砕け散り死を迎える。
発病から死に至るまで6時間以内という劇症型の病気。
コールドスリープ75%感染源は不明。
名前の通り、時間が経過するにつれて体温が低下する病気。やがて多臓器不全による死が訪れる。
重傷になるまで発症に気付かない上に、病気の進行速度も緩慢。そして伝染力も強い。
そのため、この病気は世界的に流行することが多い。最後の大流行は4620年。
バグ・ライヴズ85%バグベアードの視線を浴びることによって発生する呪いの一種。便宜上、病気に分類する。
視神経を中心とする感覚器の機能が狂い、幻影・譫妄に苦しめられる病気である。
虫の幻影や羽音の幻聴が現れることが多いため、この名前が付けられた。感染力は皆無。
フンババカース95%以上魔獣フンババの吐く炎によって引き起こされる危険な伝染病。
基本的な症状は高熱・譫妄や激しい出血(エボラ出血熱と大体同じと考えて差し支えない)。
ただし、感染力はエボラウイルスの数段上。患者の1m以内に接近した時点で空気感染する。
エルドール大陸で最後に症例が確認されたのは1117年。


魔法に起因しない病気

 いわゆるごく普通の病気の中で、特に致死率が高いものや重大な社会問題となりうる病気としては、以下のものが挙げられます。

栄養失調、結核(これが最も多いと言われている)、ガン、ペスト(4700年代に大陸東部で流行したことがある)
マラリア
(エルドール海島嶼部で報告されている)、チフス、結核、赤痢(都市部に多い)、敗血症
梅毒をはじめとする性病、麻薬中毒
(厳密には病気ではない)

 
薬品

 エルドール大陸の人々も病気に対して無為無策であるわけではありません。ただし、病気の治療は【キュア・ディジーズ】などの呪文に頼ることが多く、病気に対する治療薬が多く開発されているわけではありません。薬が存在していたとしても、それは魔法によって作られた薬であるか、民間療法の延長線上の存在でしかないのです。科学者達による非魔法性薬品の開発は順調に進められていますが、市場に出回っている薬の多くは(現在でも)魔法によって合成された品物です。
 ここでは、魔法によって作られた薬の一部を御紹介しましょう。
 現在、薬のアイデアも募集中。

名前原材料効用発明者使用方法
カファイエル蓬の葉、聖水、岩塩解熱作用カファイエル・エメロード(?)
第1魔法文明期に登場
経口
グリーンペッパー胡椒、黒蓮の葉(×花弁)病気抵抗力強化第1魔法文明期に登場経口
リーベルタブレットマンドレイク、聖水神経病治療薬第1魔法文明期に登場経口
ドラゴンブレスドラゴンの牙(粉末)、石灰皮膚病治療薬ネジレ・バンガロール(2778−2840)噴霧
フェールスマイゼンツインテールフォックスの腎臓
聖水
呼吸器系疾患の治療・症状緩和フラマリス・ソロン(4957−)経口


遺伝病のリスト

 遺伝病とは、遺伝子の以上に起因して発生する病気のことを指します。基本的には病気の分類の(2)の一部に含まれています。小説中にこれらの遺伝病に関係するキャラクターが登場している以上、説明しないわけにはいきませんでした。
 名前欄の下段はエルドール大陸での名前です。

名前異常内容発生確率内容
クラインフェルター症候群22n+XXY1/400外見・生殖器形は男性のもの。
ただし、無精子症となり、丸みを帯びた乳房を持つことになる。
また、精神発育が遅れることも多い。
両性具有
ターナー症候群22n+XO1/3500外見は女性と殆ど一緒。
ただし、卵巣が発育不全となるために出産は絶望的。
畸形を伴うことがある。
中性
ダウン症第21染色体が3本1/300〜
1/660
精神的・肉体的な発育不全を引き起こす。
高齢出産に発症報告が多い。
(特に病名は無い)
鎌状赤血球症塩基配列異常ヘモグロビンを構成するアミノ酸の1個が
グルタミン酸(Glu)からバリン(Val)に変化して発生する病気。
名前の通り、貧血症が主な症状で、成人前に死亡することも多い。
しかし、この遺伝子異常を持つ人はマラリアに対して強い耐性を獲得する。
先天性重貧血症


性染色体に異常を持つ者の扱い

 クラインフェルター症候群とターナー症候群が発覚した場合も、法的な地位は発症前と変わりません。両性具有だと判明しても法的には男性扱いだし、中性の場合にも法的には女性として認知されるのです。制度面では特別大きな差別を受けていないのです。この背景には、この世界の神話体系に属する亜神の中に、明らかに雌雄同体と思われる神(運命神ゾルトス)や中性と思われる神や特殊生命体(機械神ウロボロスや秩序神ウェリナスの手下となる天使など)が色々と存在していることが挙げられます。道徳神ラミアの経典でも、両性具有や中性の人間に関しては、「生物としての義務と権利を持たぬ悲しむべき存在。全ての健常者が保護の手を差し出してやるべき」と書かれています。
 しかし、法・宗教による保護も、一般市民の偏見を完全に払拭できているわけではなく、実生活では様々な差別を受けることになります。ちなみに、彼らの主な就職先としては

(1)運命神ゾルトスや道徳神ラミアの神殿(現在のゾルトス神殿の最高司祭は両性具有)
(2)冒険者
(3)医療機関


などが挙げられます。


 どうでも良いことですが、この世界では、精度の良い顕微鏡と酢酸カーミン溶液さえあれば、染色体や細胞分裂も観察可能です。ヤヌスグリーンさえあればミトコンドリアもOK!
 え? なんでそんなに現実世界に近いかって? これは気にしちゃだめですよ。高校時代のサークルで、「対ヴァンパイア用の聖水」を塩酸にした男の言葉ですし(^^;)。

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