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設定資料集・財政政策

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 国家の税制というものは、国や地方によって微妙な差異がありますが、基本的な部分はかなり類似しています。
 以下では、経済学者達から「最も典型的な」制度と評価されている、イオ王国の税制をモデルにしながら、エルドール大陸の諸国家における財政について観察してみたいと思います。

 ちなみに、会計年度の開始は7月です(大陸の全国家共通)。

収入

 基本的には税金と政府の専売という2本から成り立ちます。

名前納入者納入先納入方法税率注釈
土地所有税名義上の土地保有者封建領主/地方政府現物/現金収穫量の30〜40%(またはこれと同額の現金)
小作料小作人名義上の土地保有者現物収穫量の40〜45%
都市居住税直轄都市の住民中央政府現金固定額(人頭税)
営業税各ギルド/神殿中央政府/都市支配者現金上納金の20〜30%
及びギルド自体の売上高の5〜10%
※1
ギルドへの上納金ギルド参加者各ギルド現金売上高の10〜30%※1
通行料
関所利用者関所管理者現金固定額(人頭税)
関税港湾利用者中央政府現金取引価格の1〜50%※2
専売中央政府が塩・炭などの生活必需品や、煙草などの嗜好品の生産を独占する。
必要経費を除いた粗利益が全て中央政府の収入となる。
イオ王国の場合、塩とガラス原石が政府の独占と定められていた。
公債発行各政府が公債を発行する方法。エルドール大陸では殆ど使われていない。※3


※1:ギルドが機能を停止している国(エルドール帝国など)では上納金制度は存在せず、営業税を中央政府(または都市を保有する封建領主)に納めることになっている。また、ギルドに参加していない商人は、通常よりも割高な営業税を政府に支払うことにより市場参入が認められる。

※2:エルドール帝国、テンバーン王国、ダルザムール帝国、海洋都市連合など重商主義を展開する国家では、一定額の上納金を納めるなどの条件をクリアした自国企業に対し、通行料及び関税を免除(または減額)させたり、自国内での営業に便宜を図ったりすることが一般的に行われている。

※3:イオ王国に限らず、エルドール大陸における諸国家が財政的に苦しくなった時は、基本的には公債発行ではなく増税で対処している。実は、リマリック帝国が4851年に国債乱発が原因で破産し、債権を保有していた封建領主や金融業者の大規模な反乱を招き(4852−4860)、2万の戦死者を出すという苦い経験があったため、「公債No、増税Yes 」という(考えようによってはかなり狂っている)常識が一般化したのであった。ただし、リマリック帝国末期とシルクス帝国では、国債発行もある程度容認されている。

 実は外形標準課税が普通なんです。お気付きになりましたか?

支出

 大体こんな感じです。

名前説明
人件費政府で働く官僚達の給料。
施設維持費政府庁舎のメンテナンスや備品購入の為の費用。
内廷費国家元首の気品と威厳を維持するために必要な費用。宮殿の維持費や王族の食料費などが含まれる。
軍事費陸軍及び海軍の維持・拡張に必要な資金。
公共事業費中央政府の管理下にある道路・港湾などの建設・維持費。
社会保障費中央政府が領有する地域での教育・社会福祉事業費。大学の維持費などはここに含まれる。
公債償却費市場に出回る公債を買い戻す為の費用。シルクス帝国のみに存在する。
包括補助金地方政府や神殿・ギルドに対して交付される予算。原則として、使い道は自由に決定できる。
予備費大規模災害や外征など、緊急事態に対応する為の予備費。
使われなかった場合は、翌年度の予算に繰り越される。


中央政府と地方の関係

 封建制が残っている国家では、地方政府(=封建領主)の財政的自主性はかなり残されています。ただし、ダルザムール帝国、テンバーン王国、エルドール帝国など中央集権化が進んだ国家では、地方の中央に対する依存度は極度に高まっています。中央から地方に対しては包括補助金が交付され、地方政府は包括補助金と法律が許す範囲内に限り自治が認められています(この他の地方政府の仕事の大半は機関委任事務)。

租税原則

 どの国も台所事情は苦しいので、場合によっては、大蔵省が勝手にその年限りで新しい税金を作ってしまったり、強引に税率を引き上げたりすることがあります。
 ところが、テンバーン王国ではこれがギルドの反発を招き、4776年に「議会の同意無しでは新しい税を課すことができない」という趣旨の宣誓書を、国王が書かされてしまいました(『法定課税の宣誓書』)。このため、テンバーン王国では臨時の課税が実施されず、その代わりに普段から税率が多少高めに設定されています。

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