2000年11月の図書館長日誌



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  • 2000年11月30日 03時47分54秒
    時にはまともなことを言ってくれる人

    ついこの間の国会で、内閣不信任案を審議中に、野党の野次に逆切れした保守党の議員が、
    野党議席のほうに向かって水を浴びせ掛けるという事件がございました。
    で、その水を浴びせた議員に対して、12月22日までの登院停止
    (実際に議会活動ができないのは今週末まで)という処分が下されました。
    水を浴びせた本人も反省していますし、処分も全会一致で決定されたようですから、
    この問題はこうして無事に収束した模様です。
    まあ、「国会議員の残業手当はどうするんだ」という話もありますが、そういった声はこの際無視しましょう。

    で、この処分に関し、森首相が「(水を浴びせた当人の)気持ちも分からんではない」と発言。
    これが野党の怒りを買ってしまい、次の通常国会でまた一悶着ありそうな気配です。
    野党にとっては「また失言か」ということになるのでしょうが、
    今度の森首相の発言は「(久し振りに)まともな発言をしてくれた」と評価されても良いのではないでしょうか。

    ……まあ、水を浴びせたことが良いとは決して言いませんよ。森さんだって処分には賛成していますし。
    でも、論戦を行っている途中、聞くに耐えない罵声を浴びせる野党の国会議員にも重い罪があります。
    水を吹っかけた事件を「国会の品位を落とした」と批判するくらいなら、
    「一国の国会議員に水を吹っかけさせるほど醜悪な野次を飛ばし、水を吹っかけさせた」という
    野党議員1人1人の行為について、まず先に猛省すべきじゃないんですか?
    日本の国会の品位を落としている点では、野次を飛ばした野党議員にも極めて重い責任があります。
    無論、別の場所で野次を飛ばしている与党の国会議員も、
    そんな「品格の無い」人々を選挙で選び、NHKの電波に登場させている有権者全員(これには私も含まれる)も、
    当事者達と同じくらい重い責任を負っています。


    でも、一番悪いのは、
    醜悪な野次によって小学校の学級会以下の存在に成り下がっている国会の惨状を無視し、
    「水を吹っかけた」という事実だけを取り上げて無責任な政治批判を行っている一部のコメンテーターですね。

  • 2000年11月28日 03時48分00秒
    タイトルは昨日と一緒

    前日に登場したアチェ特別州の話題の続きです。

    まず、ニュースでインドネシアのことが取り上げられない理由ですが、実はこれがかなりの謎。
    BBCなど外国のニュースネットワークでは、ごく普通に取り上げられている問題であるにもかかわらず、
    日本のマスコミはこの問題についてかなり興味が薄いらしいのです。
    実は、この態度って結構まずいんですよ。
    どうしてかと言うと、インドネシアの治安が日本の資源戦略の命脈を握っているからなのです。

    御存知の方も多いでしょうが、日本にもたらされる石油・天然ガスなどの輸入資源の多くは、
    モルッカ海峡やロンボク海峡など、インドネシアの領海(もしくは200海里圏)内を通過しています。
    この時、沿岸国であるインドネシアの政情が安定していて、両海峡の安全な航行が約束されていれば良いのですが、
    残念ながら、現在のインドネシアの政情はその全く正反対。
    インドネシア国軍が力を持っていた間は「まだまし」だったのですが、
    国軍はアチェや東ティモールでの残虐行為が非難され、実力者だったウィラント氏の影響力も失われつつあり、
    権勢を誇っていたインドネシア国軍も今では大きく弱体化しています。
    その穴を政治家のリーダーシップで埋めることができればまだ良かったのですが、
    今の大統領であるワヒド氏には、そのリーダーシップを期待することはできません。
    結果として、現在のインドネシアは政治的にかなり危険な状態にあり、
    軍と政治の無力さの間隙を突く格好で、インドネシアの海域で海賊が幅を利かせるようになっています。
    去年だったと思いますが、日本の船も被害に遭っています。

    あと、スマトラ島からは天然ガスが採掘される(アチェ特別州でもかなりの天然ガスが産出されています)ので、
    政情が安定していれば、安全で身近な天然ガスの供給源を確保することも可能なのです。
    この点から見ても、余計な内紛は無いほうが良いのです。

    ついでに言うと、インドネシアの「衰退」は東南アジアに軍事力の空白をもたらすことになってしまいます。
    この空白を埋めて東南アジアの安定に寄与できるのは中国とアメリカだけですが、
    アメリカはフィリピンの基地から撤退してしまいました(エストラーダ政権崩壊後は復帰する可能性あり)し、
    中国の南シナ海進出には、ベトナムなど東南アジアの多くの国が嫌悪感を示しています
    (南沙諸島問題が嫌悪感の中心にあります)。
    かと言って、日本が東南アジア各国の了解を取りつけた上で、
    シーレーン保護を名目にして海上自衛隊を東南アジアに派遣することには、
    中国が反発を示す上に、憲法上の問題が存在しますし……。

    こんなにも不安定なインドネシアの政情が、
    日本・韓国・中国など東アジア各国のシーレーンの安全を脅かしているのです。

    ……何? 「じゃあ、どうすればいいか」って?

    人権侵害の犠牲者になっている人々にとってはあまりに残酷な結論なのですが、
    日本をはじめとする東アジアの国々にとっては、インドネシアに強力な政府と軍隊が残されていたほうが好都合だったんです。
    人権問題や少数民族問題・政治体制の問題は、道義的観点から言えば放置できない問題ですが、
    完全に自国だけの国益を考えた場合には、逆に「放置しなければならない」問題になってしまいます。
    独立運動や人権問題はインドネシアの内政問題と捉え、現政権を支持する姿勢を取るのが「最適解」になるのです。
    日本政府も、インドネシアの安定がシーレーン防衛の成否を分けていることにはちゃんと気付いているようでして、
    スハルト政権当時からインドネシア政府を財政面で支援しています。
    東ティモール問題でも、適当に言葉を濁してインドネシア政府への批判はできる限り避けていたと思います。

    人権活動家がこの話を聞いたら頭から湯気を出して怒りそうですが、これが国際政治の現実なんです。


    穿った見方をすれば、ある国が人権問題を口実に内政干渉を行っている場合には、
    その国は当事国に対して何らかの「下心」がある
    と考えることも可能なんですけどね。

  • 2000年11月27日 02時02分10秒
    アチェという場所で進行中のトラブル

    イスラエルやペルー、そして合衆国のニュースに隠れてしまい、日本にはあまり伝わってこない話ですが、
    インドネシアのアチェ特別州がきな臭い状態になっております。

    11月22日、インドネシアのユドヨノ政治・社会・治安担当調整相が、
    アチェ特別州の独立運動組織『アチェ自由運動』(GAM)や『アチェ住民投票情報中枢』(SIRA)が政府との話し合いに応じない場合、
    政府が緊急事態を宣言すると言明したためです。
    政府とGAMの間には、停戦協定『アチェ人道的休止についての協定』が2000年5年に締結されたのですが、
    アチェ特別州における独立派とインドネシア政府の対立は続いたままになっています。
    つい最近では、約40万人が参加した11月11日の平和大集会に警察が介入したため、多数の死者・けが人が出ています。
    前出の協定は2001年1月に失効する予定でしたが、騒動が続いたために有名無実化しており、
    GAMが11月16、17日の両日に予定されていた政府との和平協議を延期すると発表。両者との話し合いは平行線をたどっています。

    さて、ニュースによりますと、現在、インドネシア政府はアチェ特別州問題について、以下の3選択肢を検討中だとか。

    (1)GAMおよびSIRAのメンバーが再び政府との話し合いの席に付き、前出の協定に則った停戦状態を維持する。
    (2)話し合いに応じない場合、政府は同協定を破棄し、法的措置を取る。
    (3)治安回復のために緊急事態を宣言する。

    (1)が選択されない場合、下手するとアチェ特別州は内戦と全く同じ状態に置かれることになります。
    特に、現在のアチェでは「12月4日に独立宣言が行われる」との噂が流れており、
    きな臭さに輪が掛かった状態となっています。

    実は、インドネシアでは、アチェ以外にもイリアンジャヤ州(パプア・ニューギニアの西側)の独立運動や、
    キリスト教系住民とイスラム教系の住民の衝突が続くマルク諸島など、
    国内に多数の内戦の火種(一部は既に内戦と化している)を抱えているのですが、
    東ティモール独立問題がクローズアップされた時とは異なり、
    現在のインドネシアの動乱はなかなか報道されません。
    その辺の背景事情やインドネシア問題における日本の「最適戦略」など、
    色々と話したいことがあるのですが、これはまた別の機会、ということで……。

  • 2000年11月24日 07時27分02秒
    ストーカー規正法

    特定の相手につきまとったり、嫌がらせを繰り返したりする行為
    ──いわゆる「ストーカー行為」に苦しめられる人々にとっては待望の日となりました。
    本日午前0時、ストーカー行為を規制・処罰する「ストーカー行為規制法」が施行されました。

    この法律によって、警察は被害者の申し出に基づいて警告を出すほか、
    都道府県公安委員会が禁止命令を出し、ストーカー行為を停止させることが可能になります。
    命令に従わない場合は、最高で1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すことも可能。

    ストーカーに対する抑止力としての効果はどこまで期待できるかは疑問ですが、
    この法律によって、警察がストーカー行為に対して積極的に取り組む為の足掛かりができたわけです。
    埼玉県桶川市で発生した殺人事件のようなストーカー犯罪が完全に無くせるとは言いきれませんが、
    その発生確率は大分低くなったのではないでしょうか?

    ……え? 「ストーカーの問題は男女間の問題」だって?
    そんな、嫌がる相手に無理を強いるのは立派な人権侵害ですよ。
    18禁ゲームの中ならともかく(苦笑)、現実に実行に移しちゃあいけませんぜ、旦那。


    なお、次回のコラムはアチェ独立問題を取り上げる予定(既に確定しています)。


    それにしても、最近、ファイルマネージャーを立ち上げようとした時に、
    正しいパスワードを入れたはずなのに「パスワードが違っています」と言われることがあります。
    何があるのでしょうか?
    ジオシティーズのサイト全体が不安定になっているのでしょうかねえ……。

  • 2000年11月23日 03時01分09秒
    政治的に危険な話題の裏幕

    昨日は久々に日本の政界の話題を取り上げました。
    もし、リクエストが無かったら何を書いていたかというと、
    八戸市とその周辺で進んでいる巨大な市町村合併の話題を取り上げる(「さいたま市」並みの一大事です)か、
    国際政治に関する私の危険な預言ということで
    「フジモリ大統領、日本へ政治亡命か」
    という話をするつもりでした。

    しかし、私がこの手の政治絡みのブラックユーモアを飛ばすと、
    それなりの確率で冗談が「具現化」してしまうから困っているのです。
    1995年には、テーブルトークRPGと呼ばれるゲームで、中東和平をテーマにした現代物のストーリーを用意し、
    その中でユダヤ教原理主義者を悪玉に仕立てる筋書きを書いてみたところ、
    その直後に、当時のイスラエル首相が、当のユダヤ教原理主義者に暗殺されるという洒落にならない事件が発生。
    さすがに恐くなりましたので、このキャンペーンはお蔵入りになりました。
    他にも、1999年春に知人に対して「10万円ほど原油の先物取引に投資してみようか」と冗談で言ったところ、
    今年になって原油相場は冗談にならないほどの高騰ぶりを見せてしまいました。
    1999年の相場がいくらだったかは忘れましたが、今年の相場よりも安かったことだけは確か。
    これは本当に後悔しましたね(いや、マジで)。
    ちなみに、今日の原油相場の高騰は、私のように投機的に原油市場へ投資しようとする人に、原因の一端があるようですが……。

    さすがに、今年の大統領選挙に関して
    「クリントン氏(夫)がゴア政権の副大統領になる」
    と口を滑らせたのは実現せずに済みました(笑)。

    では、明日のコラムの話題を探しに早速ネットサーフィンへ出かけましょうか……。

  • 2000年11月22日 07時44分54秒
    政界ドラマ『再編』・予告編感想文

    加藤紘一さんが、10日程前、このようなことを言っていました。
    自分の行為は「国民を巻き込んだ大きなドラマの始まりだ」と。
    そして、ドラマは始まった……ように見えたのですが、どうやら今回は「予告編」で終ってしまったようです。
    しかも、予告を打った本人は「本編」に登場しそうにないという間抜けなおまけ付き。


    ……さて、今まで私が日本国内の政治の話題をあまり書かなかったのは理由があります。
    だって、下手に書いたら半分くらいの確率で自分の大学(多くの場合は同学部)の先輩の個人攻撃になっちゃいますから(苦笑)。
    本当を言いますと、今回の内閣不信任案の一件だって、書かずに済むならそれで済まそうと思っていました。
    事件の当事者となった加藤紘一さんは私がいた大学(法学部)の先輩ですし、
    経済政策に関する私の政治理念は、加藤さんの掲げているそれとほぼ一致していますし……。
    しかし、ある筋から遠回しなリクエストがあった(^^;)ので、私なりに今回の騒ぎをまとめてみたいと思います。


    結局は、「加藤紘一」という政治家が「自民党・宏池会の加藤紘一」であった故の結末だった、ということでしょう。
    「宏池会」という派閥を率い、自民党の保守本流の継承者であると自認していた加藤さんにとっては、
    党本部から離党勧告を突き付けられたこともかなりの精神的ダメージになったと思いますが、
    それよりも、保守本流の象徴であった宏池会が完全に分裂してしまい、
    加藤さんにとっては「師匠」と呼ぶべき存在でもあった宮沢喜一さん(現大蔵大臣)など、
    宏池会の長老メンバーが全員敵に回ってしまったことが致命傷になったのでしょう。
    自分が誇りとしてきたものを完全に破壊してまで、前に進む勇気は無かった……ということでしょうか。

    まあ、純粋な損得勘定から言っても、加藤さんの行為は徹底して非難されるべきかというと、私にはそうは思えません。
    (ここから先は私の少ない知識を頼りにした推論になります)

    国会で不信任案に賛成を投じた場合、加藤・山崎グループ参加者は自民党を除名されます。、
    国民からは「勇気ある行為」として賞賛されることは間違い無いのでしょうが、
    直後に行われる総選挙で加藤・山崎グループはおそらく壊滅してしまうでしょう。
    もし野中広務さん(現自民党幹事長)が、除名処分によって自民党議員の欠員が生じた選挙区で、
    県議会議員などの中から別の候補者を擁立させることに成功した場合、
    両派に属していた代議士は相当の苦戦を強いられることになるはずです。
    安心して生き残れるのは、山崎拓さんのように選挙区が都会(山崎さんの場合は福岡市都心部)にあり、
    草の根選挙が威力を発揮し、無党派層の票や自民党からの離反者を期待できる候補者だけに限られるでしょう。
    農村部における自民党組織の集票力を過小評価してはいけません。
    新党を結成するなどして集票組織と選挙資金の課題をクリアしたとしても、
    その次には民主党・自由党(場合によってはプラスして自由連合)との選挙協力という難題が控えています。
    協力すべき選挙区の数はそんなに多くないとは思いますが、この問題を公示前1ヶ月で解決できるのでしょうか?
    前回の総選挙でも、民主党と自由党が共に候補者を出すという選挙区がちらほら存在したというのに……。
    この難題も解決できたとしたら、加藤さん達にも勝利(=次期首相)の芽があったのですが……。

    ……で、内閣不信任案を可決した上で森内閣が総辞職した場合は、首班指名選挙になる予定でした。
    しかし、こちらの道を選んだ場合も、宏池会が完全に2分裂してしまった現状では、
    加藤さん達を含めた野党勢力に勝ち目があったかというと……おそらくは無いでしょう。
    1回目の投票ではいつものように候補者が乱立します。
    そして、自民党側の立てた候補者(おそらく河野洋平さん)と、
    野党第1党である民主党党首・鳩山由紀夫さんの決戦投票になると思われます。
    ……ですが、この2回の投票の間に、自民党幹部による加藤・山崎グループに対する再造反工作や、
    保守系弱小政党(いろいろあります)を相手とする連立工作が展開されることは必至。
    そうなると、力は弱められるものの、現在の連立政権は維持されることになります。
    ※ここで「加藤総理」を考慮しなかったのは、
    民主党左派(横路グループ)が、加藤さんを首班指名することに猛反発する可能性が高いから。

    加藤さん達が本会議に出席した上で不信任案が否決された場合は、
    上述した「内閣不信任案を可決した上で森内閣が総辞職した場合」と大して変わりません。

    結局、どう転んでも、加藤紘一さん達は自分で自分の首を締める結果となっていたわけです。
    常識的なリスク判断ができる政治家が、ここまでリスキーな行為に手を出せると思いますか?
    しかも、当事者は中学校時代に「常識」と言わていたほどの人間ですよ?

    では、加藤紘一さんはどうすべきだったかというと……

    (1)造反劇のタイミングを2001年度予算可決後にする(この時期に自民党総裁選があるはず)
    (2)それまでの間に、現在を上回る規模の非主流派の大同団結を実現させる(せめて70人か80人は欲しいところ)
    (3)造反に際しては自分達から離党届を出す覚悟が必要

    ……といったところですか。

    ただ、何にせよ、今回の極限状態の中で、
    「加藤紘一」という政治家が「自民党宏池会の加藤紘一」でしかないことが確認されたわけですからねえ……。
    (3)の決断を6ヶ月後でも下せるとは考えにくいですし……。


    結局は、加藤さんは首相になれるほどの器を持っていなかった、ということになるのでしょうか……。
    今の首相よりも「器」のサイズが大きいことだけは確かなんですけどね……。

    しかし、その「器の狭い」現首相が2001年度予算可決まで続投するのはもはや既定事項ですし……。
    考えれば考えるほど溜息が出る話題ですね、これは……。
    (だから、国際政治の話題ばっかり取り上げているのですが)


    ※7年前の造反劇がどうして可能だったのかというと、
    それは選挙制度がまだ「個人本位」であり「大選挙区」制度であったからです。

  • 2000年11月21日 05時12分13秒
    カストロ議長怪気炎

    少し前のニュースになりますが、キューバのカストロ議長に対して暗殺計画が練られていたようです。
    計画を練っていたのはキューバ系アメリカ人──亡命キューバ人4人。
    この暗殺計画は、11月17日からパナマで開催されていたイベロアメリカ会議で実行に移される予定だったらしいようです。
    で、カストロ議長がイベロアメリカ会議でこのことを暴露してしまったものだから大騒ぎ。
    議長は「暗殺計画の首謀者を匿った」とエルサルバドルのフロレス大統領を非難し、
    和やかな雰囲気で進むものと思われていた会議が一変してしまったのです。

    実は、このイベロアメリカ会議では、カストロ議長が久々に怪気炎をあげて一暴れ。
    エルサルバドル大統領との口論(?)も結構すごかったらしいのですが、
    カストロ議長がスペインのバスク系テロリスト組織ETAを非難する声明文への署名を拒否したことでまた一騒動。
    旧宗主国から派遣されていたスペインとポルトガルの代表は頭から湯気出して怒っていたとかいなかったとか……。

    イベロアメリカ会議は18日にパナマ宣言を採択して閉幕しました。
    会議では、貧困に喘ぐ子供達の教育・福祉問題や、キューバに対するアメリカの経済制裁解除要請など、
    結構大事なことも話し合われていたはずなのですが、カストロ議長の起こした騒ぎの前に霞んで見えてしまったようです。


    ……え? 冒頭にあった暗殺計画のほうはどうなったかって?
    しょうがないから、パナマの警察が計画犯4人をひっ捕まえて牢屋にぶち込んだそうですよ(いわゆる予防拘禁ってやつです)。


    あと、日本の政界の話題についてはもう少し待って下さい。待たないと収まりが付きそうに無いから……

  • 2000年11月19日 21時42分51秒
    論議するには不適切な「罪」と「罰」

    「自分を生ませた事が損害になる」
    こんな訴えがフランスの裁判所で認められ、ちょっとした騒ぎになっています。

    事件のあらましは以下の通り。

    とある女性が妊娠中に風疹に似た症状を発症してしまいました。
    妊娠中のウイルス性疾患というものは胎児に悪影響を及ぼすことがあり、
    この女性も「自分が風疹に罹っていて、胎児に後遺症・障害が出るのではないか」と危惧していました。
    もし、障害が出る可能性があったら、妊娠を中絶するつもりだったのです(注:フランスでは妊娠中絶は合法です)。
    そこで、医師の診察を受けてみたところ、その医師が「風疹に罹っていない」と返答。
    この女性は医師の診察結果を信じ、このまま子供を出産したのですが、
    生まれてきた子供には弱視・聴覚喪失・知的障害(重度)といって障害が現れてしまったのです。

    裁判は実際に障害を持つ子供の名義で行われました。

    「障害が出る可能性があると分かっているのなら母親は妊娠を中絶していたはずなのに、
    医師が診断を間違えたために重度の障害を持って生まれてしまった。その責任を取れ」


    この訴えは2000年11月17日にフランスの破棄院(≒最高裁)で認められました。

    ……この判決について、我々はどう考えるべきなのでしょう?
    結論を考えようとしても頭が痛くなるだけなので、今日は問題提起だけで終らせましょう。


    しかし……こんな訴訟を障害者名義で起こすことって可能でしたっけ?
    私としてはあまり認めたくはないのですが……。

  • 2000年11月17日 23時34分06秒
    根本的矛盾

    自然との共生
    ──「いきなり何を書き出すのか」と思われた方がおられるかもしれませんが、
    これは、現在計画が進められている2005年愛知万博のメインテーマだそうです。
    愛知県が2005年に万国博覧会を開こうとしているという話は、かなり前から聞かれていました。
    1998年か1999年には、渋谷駅道玄坂口に「愛知万博まであと●●日」という電光掲示板が表示されていたような気がします。

    さて、私がこの記事を書くことを思い立ったのは、16日夕方のニュースで愛知万博の特集が組まれていたから。
    つい先頃、万国博覧会の委員会組織の方々が来日し、愛知万博の賛成・反対両派から熱心なヒアリングを行っていた所なのです。
    で、ニュースを見たりインターネットの記事を検索してみたりしたのですが、
    この愛知万博というイベントは問題点だらけ……という印象がどうしても拭い去れないのです。
    最初の問題は会場候補地。元元は愛知県北東部にある原生林(?)を会場にするつもりだったらしいのですが、
    ここで希少種となった鳥の巣が見つかったものだから大騒ぎ。
    仕方なく会場を2分割する……という有様だったのです。
    しかも、これらの会上予定地へ繋がる公共交通機関は今のところバスだけ。
    地域住民からは「大渋滞は必至」という声が早速上がっています。

    次の問題は財源。博覧会というのは何かと金の掛かるイベントで、
    黒字が出れば大儲けできますが、赤字になると目も当てられないほどの大惨事になってしまいます。
    最近のハノーヴァー万博は1000億円の赤字になったとか。
    今回の愛知万博の場合、最悪の場合には1000〜2000億円の赤字を覚悟しなければならないのですが、
    今の愛知県の財政が耐えられるのかどうか非常に気になるところです。

    ここまでは世間一般に言われている愛知万博への反対意見。
    しかし、私はそれに付け加えて以下の点を追加で(しかも大声で)指摘するべきだと思います。

    それは「博覧会という舞台」と「『自然との共生』というテーマ」の背反性。
    極論になりますが、
    人が1ヵ所に沢山集まるという事態そのものが自然に対する脅威になっているのです。
    自然保護を謳い文句にして公園化を推し進めた結果、人間が数多く立ち入るようになり、
    そのことによって逆に自然が荒らされてしまった例は色々あります。
    日本の場合は尾瀬湿原が好例になるでしょう。
    それに、「自然との共生」を目指そうとしているのにもかかわらず、
    自然の一環であるはずの自然林を伐採して博覧会の会場を作るというのは解せない話
    (似たような話は全国植樹祭にも当てはまります)。

    ……果たして、計画を作っている人間はこの根本的な矛盾に気付いているのでしょうか?

  • 2000年11月16日 01時09分09秒
    ニュースに四季を感じる時

    北国で雪が降る季節になりました。
    天気予報でも、「北海道などで雪が降るでしょう」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。

    ……で、天気予報における雪のマークですが、テレビ局・番組によって大きく違うのが特徴。
    一番多いのは綺麗な雪の結晶を描く方法ですが、
    私はやはり雪だるまの姿を見るのが好きですね。
    例えば、テレビ東京系の天気予報では、雪だるまが寒さに体を震わせていますし、
    NHKの一般的な天気予報では、雪だるまが落ちてくる雪を目で追い掛ける為に首を縦に振っています。
    実家のある福岡でテレビ東京系の放送局が開設されたのはかなり新しいことなので、
    テレビ東京の雪だるまがいつから今のような姿になったのかは分かりませんが、
    NHKの雪だるまは6年か7年……多分10年近くあの姿のままだったような気がします。
    それだけ視聴者からの支持が高い、ということなのでしょうか
    (あの雪だるまって実は相当人気があるんですよ)。

    さて、今日の天気予報(現在11月16日午前0時)ですが──
    おお、早速雪だるまが首を振っている \(^o^)/

  • 2000年11月15日 02時29分37秒
    エストラーダ大統領危機一髪

    アメリカや日本の政局が大変なことになっています。
    片方では良かれと思って作った投票用紙が仇となって混乱が広がっており、
    もう片方では、与党の国会議員が野党の出す不信任案に同調しようと言い出しています。

    しかし、これに負けず劣らず大混乱に陥っているのがフィリピン。
    こちらでは、現職のエストラーダ大統領の弾劾裁判の開始が決定され、議会が大混乱に陥っています。
    そもそも、どうしてエストラーダ大統領に対して弾劾の提案が為されたかというと──

    (1)1998年11月から今年8月まで、とある違法賭博場の運営者から約9億円の収賄を受けていた
    (2)国家予算から支出されたタバコ交付税のうち約3億円を着服し、それを公開しなかった
    (3)エストラーダ大統領側近による株価不正操作疑惑に対する捜査を妨害した


    ──ということらしいです。
    このうち1つを取ってみただけでも危険な内容です。
    国会議員の中には「さすがにこいつはまずい」と考えた人が多いらしく、大統領が属する与党から離党する人も出ています。
    与党に属していた下院議長は離党し、13日の下院本会議で弾劾決議案を強引に通過させました。
    この後、下院議長は大統領派によって罷免させられましたが、議場からは下院議長の「英断」を称える拍手が沸き起こっていたとか。
    一方、上院でも、反大統領派だった上院議長が新大統領派によって罷免させられています。
    しかし、大統領弾劾の検察官となる下院議員11人は全て反大統領派。
    そのついでに、アロヨ副大統領までもが大統領に批判的な態度を示しているらしいのです。

    これだけでも十分にややこしいのですが、この問題には続きがあります。
    実は、国民の多数が信仰しているカトリック教会は露骨な大統領批判を展開し、
    聖職者が日曜礼拝などで大統領の退陣を求める声明を出しているのです。
    今月11日には、エストラーダ大統領が制定した新しい「祈りの日」に関連して、
    大統領が主催する60万人規模の集会が開かれたのですが、
    集会に顔を出したのは新大統領派の新興宗教団体が多く、カトリック教会は欠席してしまいました。
    この集会の動員に関しては、大統領が金をばら撒いたという噂が早速聞こえています。
    政治に宗教が密接に絡む辺りが、宗教の影響力が強いフィリピンならでは……といったところですね。

    ……まあ、何にせよ、エストラーダ大統領の弾劾裁判は上院で行われますので、
    こちらの成り行きを見守っていかないとどうしようもないことだけは確かです。


    …………が、ちょっと気掛かりな話を耳にしたので更に付け加え。
    「エストラーダ氏の次の大統領」という呼び声が早速掛かっている前出のアロヨ副大統領ですが、
    この人はフィリピンで屈指の中国脅威論者にして親台湾派。上院議員時代には台湾を訪問したこともあります。
    アメリカとの軍事同盟再建にも前向きに取り組むと見られており、新大統領就任後はその動きが加速される模様です。
    これでアメリカの大統領に、中国に対する敵対姿勢を隠そうとしないブッシュ氏が就任したらどうなるか……

    東アジアで戦いの火の手が上がる日は、日本人が考えている以上に近くなっているのかもしれません。

  • 2000年11月14日 01時38分20秒
    トンネル火災の系譜

    週末に限って大きなニュースが飛び込んでくる……
    ここ最近、そんなありがたくないことが繰り返されています。

    この週末に発生した大事件──オーストリアのケーブルカー火災では、
    何とか脱出に成功した12人を除き、乗客乗員など150人以上が死亡するという痛ましい結果となりました。
    この犠牲者の中には、スキー研修で派遣されていた日本人中学生や、
    彼らを指導していた著名なスキーインストラクターも含まれていたとか……。
    本当に何ともやりきれない事故ですね……。

    火災そのものの原因はまだはっきりと分かっていませんが、
    ケーブルカーのドアが内側からは容易に開かない構造になっていたことが
    被害者の現場からの脱出を遅らせてしまうことになり、
    更に、火災が発生したのが上に昇っているケーブルカーの後部車両だったことや、
    トンネルが急勾配になっているために煙が上へ伝わりやすかったことが、
    上に向かって逃げようとしていた人々を有毒ガスで殺すことになった──というように、
    発生してしまった火災が大惨事に繋がった原因については大方の見当がついている模様です。
    辛うじて生き残った人々は後部車両にいた人々であり、
    しかもとっさの判断で下へ脱出した人々だけだったのです。

    トンネルという閉鎖空間で発生した火災は往々にして大惨事に発展してしまいます。
    最近では、1999年3月26日にフランスをイタリアを結ぶモンブランのトンネルで発生で、30人を超す方が亡くなっています。
    しかし、日本の場合、1979年7月11日に発生した日本坂トンネル火災が教訓になったのか、
    トンネル火災で死者が出るような惨事は滅多に起こらないようになっています。
    現在では当然のように置かれているトンネル口の信号機ですが、
    信号機が設置されるようになったのも、この日本坂トンネルの事故で
    トンネル出入り口の電光掲示板がまるで役に立たなかったからだそうですし、
    トンネル内の換気や避難路確保が真剣に考えられるようになったのも、この事故が契機になったていたのではないでしょうか。
    このニュースについては、当時まだ2歳だった私よりも、
    当時既に現役ドライバーだった方が書いた記事の方が説得力がありそうなので、そちらを御参照下さい。

    しかし、今度の週末こそは、何事も無い平穏な週末であると良いのですが……。

  • 2000年11月11日 21時10分57秒
    今日は簡単に

    明日、大学時代(法学部)の知人の結婚式が予定されており、今日はその準備(?)に大忙しでした。
    というわけで、コラムみたいに長々と文章を書くことは明日まで待って頂けるとありがたいです。
    しかし、結婚式用の礼服なんてフリーターが持ってるわけ無いよなあ……。何故か、喪服と黒ネクタイはあるけど(--;)。

    追記:11月7日と9日に開設されたリンクが全て相互化されました。
    皆様、どうもありがとうございます。

  • 2000年11月10日 06時06分53秒
    SRCという名前のフリーソフト

    SRC、という名前のソフトを御存知でしょうか?
    正確には、

    Simulation RPG Construction

    という名前のソフトでして、
    名前の通り、シミュレーションRPGを自作して遊んでしまおうというツールです。

    ここから入手可能です。

    ゲームシステムとしてはバンプレストの『スーパーロボット大戦』シリーズがベースになっています。
    これに様々なデータ補強や、実装兵器・等身大ユニット対応データを加えたツールなのですが、
    「こんなものがフリーでいいのか!?」と我が目を疑いたくなるほどの高品質。
    ロボットアニメのファンやSRPGマニアなら、損はしないと思います(それだけの内容と質があります……マジで)。

    実は、暇を見つけて、オリジナルの作品を1本作ってみようかと考えています。でも、時間があるかなあ……。

    ※フロリダ州の選挙管理員会のせいで、ここ40時間以上一睡もしていません(マジで)。

  • 2000年11月09日 00時47分30秒
    大変なニュースだらけの1日

    現在、昨日の午後7時からまともな睡眠を取っていません。
    その理由ですが、あちこちから色々大変なニュースが入ってきているからです。
    まあ、アメリカの大統領選挙の結果が出るまでは起きっぱなしでいようとは考えていたのですが、
    その大統領選挙が異様なほどの大激戦になっており、
    フロリダ州の有権者約1000人前後によって結果が左右されてしまうという、とても大変なことになっています。
    これだけでもかなりのビッグニュースだったのですが、
    今日はこれに加えて、日本赤軍の大物幹部が逮捕されるというニュースや、
    自民党相手に不明瞭な政治活動を続けていたどこぞの財団法人の元幹部が逮捕されるというニュースも入っています。
    ニュース番組の編成担当者にとっては、これほど頭の痛いことは無いでしょうなあ。

    本当でしたら「ヒラリー・クリントン上院議員誕生」というニュースを題材にして、2004年大統領選挙(おい)と
    1988年から多分2008年(下手すると2012年)まで続くであろう「ブッシュ=クリントン時代」について
    コラムでも書こうと思ったのですが……。
    じゃあ、これは明日までお預け、ということで……。

    でも、眠たい頭でも必要な更新作業は続けておきましょう。
    11月7日から9日にかけて、新たに4つのサイトとリンクを張ることに致しました。
    7日付で接続された3ヵ所のサイトはいずれもコンピュータゲーム関連のホームページ。
    特定の1つのゲームのみではなく、多数のゲームをサポートしたページであり、
    どこを御覧になっても、皆様にはお楽しみ頂けるのではないでしょうか。
    9日付開設のリンクですが、こちらは大学のサークルの後輩が作りました詩と小説のページです。
    リンクページにありますように、コンテンツは現在順調に増殖中です。
    実は、彼は私に関するちょっとした秘密を知っているんです(実際には私が教えたのですが/^^;)。
    何とは言いませんが……ねえ、黒井さん(ニヤリ)。

  • 2000年11月07日 00時35分25秒
    考古学会存亡の危機

    この週末は続けて大きなニュースが飛び込んでいました。
    その中でも特に重大なニュースなのが、著名な考古学者による石器捏造事件。
    毎日新聞が仕掛けていたカメラが証拠映像となり、2ヵ所の遺跡で研究成果が「捏造」されていたことが判明しました。
    そもそも、考古学という学問領域は、この種の捏造を「行い易い」学問分野である
    ──モノを見つけたら誰も文句が言えなくなる──ことを考えると、
    いつかはこういう事件が起きてもおかしくはなかったのではないでしょうか。
    たまたま、今回の捏造事件を起こした当事者が、旧石器時代研究の第一人者だっただけのことです。
    しかし、この事件で失われるであろう考古学への信頼を取り戻すのは、
    おそらくは不可能ではないでしょうか(少なくても、100%回復するのは絶対に不可能)。
    今回の事件が突き付けた問題というのは、「日本の考古学会の体質の甘さ」という生易しいものではなくて、
    考古学という学問手法そのものが抱えている根本的な問題
    ──理系では当然のように行われている再実験による証明が不可能である──なのですから。
    既に書いたように、考古学は「見つけたもの勝ち」の世界で、
    出土品に対する化学的鑑定さえクリアできれば、偽の出土品を本物と偽っても、
    その嘘を見抜くことがほぼ不可能になってしまうんです。
    今回の事件も、毎日新聞社が隠しカメラを仕掛け、当の研究者が実際に遺跡の中で
    「出土品」を「埋める」作業を撮影することに成功して、初めて露呈したのです。
    この研究者の発見に対しては、海外の学者から異論が飛び出すこともありましたが、
    「石器が見つかった」という「既成事実」によって反論が封じられ、
    過去の通説だった考古学上の定理が修正されることになったらしいのです。

    もっとも、遺構を誤魔化すことは不可能ですが……。

    まあ、考古学に限らず、文学・哲学・政治学のほぼ全てと一般的な法学の大半、社会学の半分近くは、
    統計学・数学など「科学的」手法による証明が不可能なんですけどね……。
    私が学んだ政治学や法律学で行われている論理的で理知的な論議も、
    自分の持つ政治的価値観・倫理観を理論武装しているだけに過ぎない場合がままあるのです。
    (私が過去にこの種の理論武装をしたことがあるので、事情が多少なりとも分かるんです)

    プレッシャーに負けた考古学者が犯した過ちが提起した問題は、
    想像以上に重大であり、危険なものなのかもしれません。

  • 2000年11月05日 23時20分36秒
    ハロウィンという単語に悲劇を思い浮かべてしまう私

    ハロウィンというお祭りがあります。これはキリスト教の万聖節のイブで、
    子供達はかぼちゃの中身をくりぬいてジャック・オー・ランタンというちょうちんを作り、
    夜になると怪物の格好をして、近所の家を訪ね歩き、

    "Trick or treat?"

    という決まり文句を言ってお菓子をもらう……というお祭りです。
    お祭りの起源は古代ケルトに行われた秋の収穫祭。

    さて、仮面・仮装・コスプレをして街中を歩くわけですから、その姿は
    ハロウィンのことを知らなければただの挙動不審者に映ってしまいます。
    そして今年、8年前と同様にショッキングな事件が起きてしまいました。
    今回の犠牲者となったのは黒人俳優のアンソニー・リーさん(39)。
    『ER』『ライヤー・ライヤー』などに出演していた方です。
    10月28日午前1時(日本時間同日午後五時)頃、ハロウィーンの仮装パーティーに出席していた
    リーさんが、窓の外から懐中電灯で室内を照らした警官におもちゃの短銃を向けたところ、
    本物の銃と勘違いした警官がリーさんを射殺したというものです。

    ロサンゼルス市警は「銃を向けられれば、銃で対抗する訓練を受けている」と語り、
    警官の行動に問題がなかったとの見解を示しています。
    しかし、やはりと言うべきでしょうか、「相手が黒人だから撃った」という非難の声が上がっています。
    ここで人種差別を持ち出しても意味は全くないのですけどね……。
    かと言って、この事件を元にして銃規制問題や警察問題を論議するのは少し筋違いのような
    気がしますし……(故人には失礼ですが、この事故の責任は専ら被害者にあります)。

    ……いやはや、何ともやりきれない事件です。

    最後になりますが、故人の冥福を慎んで申し上げます。

  • 2000年11月04日 07時24分26秒
    連休中に風邪を引くという悲劇

    本当に掛かるとは思いませんでした。
    サークルのほうで大事な用事が入っていたのですが、
    熱が38度以上ある体ではちょっと無理かも……。
    無理を押していくべきか、自宅で休むべきか悩むところ……。

  • 2000年11月03日 00時27分32秒
    どちらがいいのやら

    10歳の子供2人がリバプールのショッピングモールから2歳の子供を誘拐した。
    彼らは郊外の線路脇で子供に虐待を加えた後に殺害、線路に遺体を投棄し轢殺体に見せかけようとした……。

    これは7年前のイギリスで実際に発生した犯罪です。
    加害者だった少年は逮捕され、裁判所で終身刑もあり得る不定期禁錮刑を受けました。
    その後、イギリス政府は少年達の刑期を最低15年にしたのですが、
    EUから文句を言われたり、イギリスの国内法が変更されたりした結果、
    彼らの刑期は8年で確定しそうな情勢になっています。

    で、その加害者だった2人の少年の出所が近付いていると聞き、
    今のイギリスで少年犯罪に対しどのように立ち向かうべきかを考える論議が続けられています。
    伝統的にイギリスは犯罪全般に対して厳罰主義を取っていました。
    一昔前は、殺人が一律死刑になっていました(今では死刑は廃止されています)。
    この流れは少年犯罪にも受け継がれていまして、
    その気になれば10歳以上の子供に対して大人と全く同じ刑罰を科すことすら可能になっています。
    しかし、この厳罰主義に対しては、「犯罪に対する断固たる態度」を求める意見と、
    日本のように少年に対する特別法を制定して一定の保護を図ろうとする意見が鋭く対立しています。
    どちらが正しいかは一概に言えませんが、私がニュースなどを見た限りでは、
    少しずつですが少年を「特別扱いする」ように法体系を整備し直す方向に動いているようです。

    一方、日本では、逆に少年犯罪に対する厳罰化を求める声が大きいように感じられます。
    で、10月31日の少年法改正案衆院通過。このニュースに対するマスコミの反応も様々ですが、個人的に興味深いと思ったのが、
    いわゆる「リベラル系の」ニュース番組である『NEWS STATION』と『NEWS 23』で、
    同じニュースの取り上げ方が大きく異なった違ったこと。
    前者では、少年犯罪被害者を直接スタジオに呼んで生の声を紹介し、
    「現改正案でも穴がある。もっと被害者に配慮して、少年達に罰を与える方向性での改正を求める」
    というような意見を紹介していました。
    ところが、後者の番組では、前述したイギリスの事件に関わった法律家兼人権活動家のインタビューを取り上げ、
    「今までの日本の少年法は外国の見本になっているのに、それをわざわざ変更する必要性は全く無い」
    というニュースキャスターの談話をその後に続けて用意しました。

    「だからどうした」と言われればそれまでの話ですが、
    いわゆる「リベラルな」人達の間でも問題に対する認識に差が出てしまうほど、
    この少年法の問題というのは取り扱いが難しいものだと実感した今日この頃です。

  • 2000年11月01日 23時15分47秒
    私がスマイルマークを減らした理由

    今回、サイト全体でかなり大規模な改造を行いました。
    それは「スマイルマーク」の部分的撤去。

    (^^;) (--;) (T_T) \(^o^)/

    ……といった記号のことを指していますが、
    真面目な文体で真面目な内容が書かれているページにあるスマイルマークをできる限り除去しました。
    文章の流れ上、削除が不可能な場所が数ヶ所ありましたし、
    馬鹿な言葉をそのまま残した方が面白い場所ではそのまま残していますが、
    それ以外は全て消したつもりです。

    どうして削除したかと言いますと、スマイルマークの乱用は論説文に相応しくないと思ったからです。
    まもとな文章の中に笑いを誘うような言葉を入れ、それに「(^^;)」のようなマークを付けるという行為は、
    通常の論説文や学術論文では絶対にやらないものです。
    インターネットではこれらのスマイルマークが多用されていますが、
    スマイルマークが真面目な文章の中で使われることに嫌悪感を感じる人間がいるも結構います。

    (というのも、嫌悪感を感じる人にとっては、スマイルマークを使用したことが
    著作者の「逃げ」の姿勢の現れだと感じられるらしいんです)
    そういうわけで、こういう結果になりました。

    今は、前日からの徹夜が続いているので、このあたりで眠らせてください。

    ZZZZZZZZZZZZ……




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