2001年3月の図書館長日誌



サロニア私立図書館・玄関へ戻る日誌収蔵室で過去の記録を閲覧する



  • 2001年03月29日00時07分31秒
    1年前にも似たような話があったような……

    さて、本日のコラムのネタは、昨日のニュースで散々叩かれ、
    今日のワイドショーでも散々叩かれることになるであろう、薬害エイズ事件関連の判決。
    血友病患者への非加熱血液製剤の投与を指示し、HIVに感染、死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた
    元帝京大副学長に対し、無罪(求刑は禁錮3年)の判決が下されました。
    薬害エイズの被害者達もマスコミも、前例があった(起訴された製薬会社の歴代3社長は実刑判決)ので
    今回も有罪判決が出るものと確信していたようです。
    だから、ニュースではほぼ全員が異口同音に「予想外」と語っていました。

    刑法・刑事訴訟法の専門家ではないので、判決そのものに関する詳しい論評はできませんが、
    パッと見たところ、1985年7月の加熱製剤承認が被告人達の有罪・無罪を分ける要因の1つになったようです。

    ……さて、言わずもがなでしょうが、この判決に対して随所から反発の声が上がっています。
    でも、考えてみれば、今から丁度1年前にも似たようなことがありました。
    山口県光市で発生した強盗殺人事件の被告(少年)に対して無期懲役の判決が下された事例です。
    検察側は事件の残虐性などを根拠に死刑を求刑し、比較的多くの人々がこれを支持していたのですが、
    判事は過去の判例などを参照し、それに基いて無期懲役という判断を下したのです。
    この時も「裁判所は国民感情から遊離した存在と化している」という非難の声が上がっていました。

    この2つ判決の間には直接の関係はありませんが、
    日本の法曹界や裁判所に対する国民の信頼を損なってしまったという点では全くの同類。
    福岡で発生した捜査情報漏洩事件に続き、
    裁判所や法曹界全体に対する信頼を失わせる事例の1つとして挙げられることになるでしょう。
    法学部卒業生としてはこれほど頭の痛いことは無いのですが……。


    追記1:裁判とは別にちょっと気になるニュース。
    3月27日付タイ紙が政府宗教局関係者の話として報道したところによると、僧りょ約3万人が薬物漬けになっているとか。
    高い尊敬と信頼を集めるべき人々が、一般人から見放されそうになっているのはここでも一緒なのでしょうか……?


    追記3:戦争史研究で知られる作家の児島襄さんが死去。74歳。
    約50歳年下の後輩として、心から御冥福をお祈り申し上げます。

  • 2001年03月25日00時16分07秒
    x番煎じのゲーム(xは自然数)

    昨日の深夜、こんな速報が流れました。

    出典はこちら
    Tacticsブランドのネクストン(http://www.nexton-cop.com/)が新ブランド“BASE SON”とそのデビュー作
    「ONE2〜永遠の約束〜」を発表。
    世界観のみを引き継ぎ、登場人物、舞台設定、スタッフは一新される予定。
    原画家は賞金100万円のコンテスト形式で公募される。

    BASE SONサイト(工事中、4/23公開予定)
    http://www.nexton-cop.com/baseson/
    情報元はメルマガ「メガストアEXPRESS」



    私? 多分買いません。他の人が買ってレビューをして下さるまで待つとしましょう。

  • 2001年03月24日00時09分25秒
    宇宙の歴史にまた1ページ

    旧ソ連(→ロシア)が管理していた宇宙ステーション、ミールが最後の時を迎えました。
    15年かけて地球を8万回以上も周回した後、最後は大気圏に落下して流星の如く燃え尽きた……
    ……いや、我ながらちょっとセンチメンタルな気分になってしまいました。
    ロシア国内には、ミールの廃棄に反対する意見(あれはロシアの宇宙開発の象徴云々)ってのもありましたが、
    ミールを人的被害ゼロで落下させることに成功して、ロシアの底力を証明できたわけですから、
    今回の廃棄作戦はロシアにとっても必要なものだったんでしょうね。
    また、ミール廃棄作戦が成功したことにより、
    「宇宙に発生した巨大なゴミを安全に処分する」ことが可能であることも立証されたわけですから、
    今後の宇宙開発も以前と比べて「やりやすく」なるでしょうね。

    それにしても、この1週間は良くも悪くも「ミールに振り回された1週間」という印象があります。
    実際に破片が落下する危険性があった国々では、防災担当者の方が大忙しでしたが、
    そういった責任を背負っていない方々は、純粋にこの天体ショー(?)を楽しんでいたようです。
    世界中の天文学者がミールの撮影に挑戦していたことは言うに及ばず、
    アメリカの旅行代理店の中には「落下中のミールを生で観察するツアー」をやってしまったところもあります。
    あとは、芝生に「ミール破片用の的」と称して×の字に芝生を借りこんだおじさんや、
    海上に10数メートル四方の標的を浮かべ、
    「これに破片が命中したらアメリカ全国民にタコスを奢る(だったっけ?)」とのたまう方まで現れるほど。
    こういうのを見ていると、「世界には平和な場所もあるもんだなあ」とつくづく実感する次第。

    何はともあれ、ロシアの科学者の皆様、お疲れ様でした。
    ……ところで、ロシア版スペースシャトルはどうなったのでしょう?

  • 2001年03月23日00時34分57秒
    自炊1年間の教訓

    さて、私が下宿先を変え、完全自炊状態に突入してから1年が経ちました。
    それまでは学生ハイツのような場所で生活していましたので、自炊しなくても別に問題は無かったのですが、
    「さすがに今からは自炊しないとまずいよな」ということで、
    色々な手を使って男の手料理(?)に挑戦していたわけでございます。
    で、自炊を1年間続けて分かったことについて、色々と書いてみたいと思います。

    (1)想像以上に醤油の消費量が多かった
    単に、自分でそばを作る回数が増えただけなのですが、
    その際に「スープも自分で作ってやる」と無謀なことをのたまったのが原因で、
    醤油の消費量が他の調味料とは比較にならないほど多くなってしまったのです。
    ちなみに、最も消費量が少なかった調味料は砂糖。黒砂糖が1年間で20グラムも減っていない……。

    (2)関東圏の味噌は赤味噌・合わせ味噌が「標準」らしい
    普段は川崎市内のスーパーで味噌を買っていたのですが、偶然味噌を切らした瞬間に、
    親が「足りない食材があったら米と一緒に送ろうか」と言ってくれたので、味噌を一緒に入れるよう頼みました。
    そして、数日後、味噌が届いてから味噌汁をいつも通りに作ってみて思わず一言。
    「味噌の量が少な過ぎたか」
    実際には、実家から届けられた味噌が白味噌だったためにこうなっただけのこと。
    しかし、ここでも塩辛い食品に自分の舌が慣れてしまっていることにちょっとびっくり。

    (3)必須技能は【見切り:賞味期限】【見切り:季節感】
    1人で生活している限り、賞味期限と季節感はどうしても無視せざるを得なくなります。
    ……というか、「限界まで食費を下げてやる」と意気込んでみると、
    「今日が賞味期限」というパンを元値の1/3で購入したり、
    400グラムで100円のそうめんを10月にキログラム単位で購入したり(ォィ)と、
    「賞味期限」「季節感」という単語を無視しなければならなくなるのです。
    季節感がどうしても欲しい方は、1パック200円程度のお惣菜を買いましょう。

    あとは、実家にいる時と比較して、肉・野菜の消費量はあまり変わらないのに、
    魚の消費量だけは減っているという笑えない現実が目の前にあります。
    ……100グラム40円以下で鶏のムネ肉が売られていたら、問答無用で1キロ買っていたからなあ(^^;)。
    魚の安売りセールでも、ここまで値段は下がらないはず(T_T)。


    なお、筆者のような食生活を続けた場合、体調を壊さないという保証は全くありませんのでそのおつもりで。

  • 2001年03月19日07時29分38秒
    良い子にも分かる「法輪功」講座

    タイトルからもお分かりの通り、本日のコラムのネタは中国の宗教組織「法輪功」です。
    私がこの団体に入っているわけではありませんが、昨今の中国情勢を読み解くキーワードの1つは間違い無くこれですので、
    タイムリーではないのですが、取り上げてみることにしました。

    ただ、調べてみて分かったのですが、この団体に関する資料には「中立的」な物が実に少ない。
    2001年3月19日4時30分、Yahoo!で「法輪功」をキーワードに検索をかけたところ、
    2000件前後のページが見つかったのですが、そのうちトップ200のページを追っていると、その大半が

    (1)法輪功のことを取り上げた外国メディアのHP
    (2)法輪功部内者による法輪功の宣伝・広報HP
    (3)法輪功摘発を指揮している中国政府の事実上の広報機関である『人民日報』のオフィシャルサイト


    のどれかに収斂されてしまうという非常に愉快な(?)状態。
    中立的観点に立つアウトサイダーの記事はたったの3件だけでした。凄いもんでしょう?

    ……では、そろそろ本題に入りまょう。
    まず最初に、そもそも「法輪功とは一体何か」というのを説明しなければなりません。
    ここで書くのは面倒なので(ぉぃ)、こっちのページを御参照下さい。
    法輪功部内者が書いたことによる偏重(こいつが凄い)を除いた範囲で掻い摘んで説明しますと、

    ●創始者は李洪志氏。1992年5月に設立された。
    ●活動の主目的は「法輪功」と呼ばれる気功術(?)の修練。心身両面での修練を主眼に置いている。


    ということになるようです。中国ではどこにでもあるような気功団体の1つということになるのでしょうか。
    これに対する中国政府の最初の敵対的行動がこちら。リンク切断時に備え御説明しますと、

    ●中華人民共和国民政部は1999年7月22日法輪大法研究会及びそのコントロール下にある法輪功組織を不法組織と認定した。
    ●以降、法輪大法(法輪功)に関する一切の宣伝や中国政府による法輪功関連決定に対抗する為の活動は禁止される。


    という内容。事実上、法輪功を非合法化したことになります。
    たかが1つの気功団体に対して中国政府がここまで強硬な態度を示す理由ですが、
    中国政府に言わせると、その理由はこちらとかこちらとかいったことになるようです。
    ただ、これにも中国政府による偏重が存在すると見るべきなので(引用しなかったのは偏重の度合いがひどいと判断したから)、
    この2つの記事がどこまで本当なのかは分かりません。
    中国政府側の資料の中で偏重の度合いが低い物としてはこちらが挙げられます。
    また、中国政府の部外者にも、こういった声が存在します。
    これらの声を集めると、「法輪功にはオウム真理教などカルト教団としての特徴が数多く見られる」ということになります。
    しかし、実際には、中国共産党幹部の中にも法輪功の賛同者がいるらしいことや、
    法輪功参加者の数があまりに多いこと(法輪功側の発表では1999年時点で愛好者が1億人以上とされている。
    中国政府は法輪功参加者の数を
    200万人前後と推計しているが、これでも多過ぎるとの印象は拭い去れない)など、
    「『カルト教団』にしてはあまりに巨大な」法輪功に対し、中国政府が必要以上に怯えている……というように感じられます。
    で、この強迫観念の発露が中国での法輪功に対する強硬措置と、法輪功側による感情的反発に繋がっているのでしょう。

    正直申し上げますと、私は中国政府が法輪功に対して抱いている「怯え」というものが実に良く理解できます。

    なぜかって?

    昔の中国には、「宗教団体が主導する大規模な反乱」という前例がいくつも存在するからなんです。
    例えば……

    黄巾の乱(184)←太平道(道教の源流の1つ)
    白蓮教徒の乱(1351〜66/1796〜1804)←白蓮教(阿弥陀信仰が呪術的方面に変質した民間宗教団体)
    天理教徒の乱(1813)←天理教(白蓮教の別派勢力)
    太平天国の乱(1851〜1864)←上帝会(キリスト教系の宗教結社)
    義和団事件(1900〜1901)←義和団(白蓮教の一派)

    などなど。
    民間の宗教団体が反政府活動の中核を担うという出来事が、過去の中国では何度も発生しているのです。
    しかも、その多くが国家の存亡に直結しうるほど大規模なものでした(1351年からの白蓮教徒の乱では元が滅亡しましたし)。
    だから、法輪功とかつての白蓮教徒や上帝会が重なって見えたとしても不思議ではないのです。
    ……しかし、こういう理由で法輪功の摘発に踏み切ると、
    今度は法輪功側が「不当な弾圧だ」と猛反発して反中国政府活動を先鋭化させる可能性もあります。
    こうなると、140年前に数百万人が命を落とした反乱の再来……なんて馬鹿な話も飛び出しかねないわけでして……。

    はたして、今回も歴史は繰り返されるのでしょうか?(これについては繰り返さないほうが良いに決まっているのだが……)


    追記1:
    この件に関する日本政府の対応ですが、私が外務省の資料などを調べた限りでは、
    「中国政府の姿勢・方針を暗に支持している」というふうに感じられました。
    その根拠ですが、

    (1)法輪功に関連する首相・外務大臣・外務報道官などの談話の類が1つも見つけられなかった
    (談話が無い以上は「中国政府の方針を黙認している」と考えるのが筋)。
    (2)外務省が設置していた「国際経済・金融システム研究会」で中国問題が取り上げられた時、委員の1人が
    法輪功問題を述べる際に中国で過去に発生した反乱を引き合いに出していた。
    ※なお、研究会の報告は外務省のオフィシャルページ内に存在。

    といったところ。




    追記2:
    より詳しいことを知りたい方の為に、こちらのHPを御紹介しておきましょう。
    なお、閲覧によって発生する不利益(時間消耗など)について、私は一切責任を取りませんのでそのおつもりで(--;)。

    FalunDafa in Japan(法輪功の日本語オフィシャルサイト)
    「法輪功」真相(「人民日報日文版」内)

  • 2001年03月15日22時49分10秒
    口蹄疫という名前の魔物

    『口蹄疫』という病気がございます。 WindowsのIME98では一発変換されないという、あまり知られていない病気です。
    ……でも、普通の人が知らないのは当然のことなんです。何しろ、これは家畜の病気なのですから。
    どういう病気かといいますと、

    ●ウイルス性の病気で、病気に罹るのは蹄を持つ家畜。伝染力は非常に強力。
    ●主な症状は40〜41度の高熱、多量のよだれ、口腔・鼻腔・蹄の隙間などの水泡・びらん。
    ●結果として痩せたり乳が出なくなるなど衰弱し、死ぬことも少なくない。
    ●人が感染することはなく、感染した牛などの肉を食べても人体に影響は無い。
    ●抜本的な治療策はなく、この病気に罹った家畜は殺処分される。

    日本では、1908年と2000年に感染例が報告されています。

    今、この病気がヨーロッパで猛威を振っています。
    今回の震源地はイギリスで、その後フランスでも感染例が報告されました。
    15日現在、ポルトガルやサウジアラビア、アラブ首長国連合で感染の疑いのある牛が発見されているようです。
    実際に感染している牛の数は決して多くないはずなのですが、世界各国は混乱に陥っています。
    イギリスやフランス、更にはEU全体からの畜産物の禁輸措置に踏み切るのは当然として、
    「伝染力が非常に強い」ということでイギリスでは人の移動が制限されています。
    羊など一部の畜産業では、家畜を移動させることができないために全滅寸前に陥っている農家も存在しているそうですし、
    イギリスとアイルランドでは観光収入が減少したという報告もあります。
    マクドナルドの最高財務責任者は、イギリスでの売り上げが口蹄疫で打撃を受ける可能性がある、と話しています。
    口蹄疫の波紋はイスラム教世界にも広がっていまして、
    1年で最も華やかなものになる「犠牲祭」で、普段は羊の肉などを使う代わりにチキンを買う人も増えているとか。
    ヨーロッパからの家畜の輸入が多くない日本では大きな騒ぎにはなっていませんが、
    イギリスやフランスに対する輸入制限措置は既に発動されていたはずです。


    口蹄疫のニュースを聞いて私が思い出してしまったのは狂牛病のニュース。
    人体への伝染可能性が指摘されているという、家畜に対する病気としては口蹄疫と並び恐れられている病気です。
    さて、外国のニュースを御覧の方ならば御存知だと思いますが、
    しばらく前に発生してヨーロッパを大混乱に陥れた狂牛病も、発生源はイギリスだったはずです。
    単なる偶然……にしてはちょっと首を捻りたくなります。
    実際、アイルランドの政府高官はイギリスに対して「狂牛病の反省が生かされていない」と怒りを爆発させています。
    イギリスでは、総選挙が5月3日に予定されているようですが、
    この口蹄疫の混乱の中、果たして予定通り実施されるのでしょうか?
    今のところは、野党に対して圧倒的優位に立っている(支持率で20ポイント差)労働党政権ですが、
    今回の口蹄疫騒動が思わぬブレーキになる……かもしれません。

  • 2001年03月14日09時13分01秒
    憂鬱なニュース

    本日の日記は背景色が黒になっていますが、これは事故でもミスでもありません。故意にやりました。

    通常、インターネット上で「ある特定の事柄・組織」に対して重大な懸念・抗議を示す場合、
    サイト全体の背景色を真っ黒(BGCOLOR="#000000")にすることが慣例になっています。
    ただ、私のサイトの場合、ページ数がちょっと多過ぎるので、色を黒くするのはこのコーナーだけにしたいと思います。

    ……で、私がここまでして重大な憂慮の念を伝えようとしているのは、アフガニスタンでの仏像破壊。
    10日以上前に発せられたタリバンによる仏像破壊命令ですが、どうやらそれが完遂された模様です。
    破壊対象となった仏像には、世界的な文化遺産で知られているバーミヤンの仏像も含まれているようでして、
    CNNがバーミヤンの仏像が爆破された瞬間の写真を公開しています。

    以前、このサイトでも触れましたが、このニュースには心底頭に来ています。
    私は戦争を「必要悪」と割り切る人間ですが、それでも戦争遂行時には「必要最低限のモラルが存在する」と考えています。
    その中でも最も重要なものの1つが「文化財の破壊の禁止」
    一応、国際条約の形で定められている約束事でして、1954年5月14日署名・1956年8月7日発効の
    「武力紛争の際の文化財の保護のための条約」(1954年5月14日署名)の中で、

    第4条1(文化財の保護)
    締約国は、武力紛争の際に破壊又は損傷を受ける可能性のある目的に自国及び他の締約国の領地内に所在する文化財、
    その直接の周辺及びその保護のために使用される施設を使用しないようにすることにより、
    並びにその文化財に向けていかなる敵対的行為を行わないようにすることにより、
    その文化財を尊重することを約束する。


    ……と書かれています。日本語訳がちょっと変なような気がしますが、要約すると、
    「戦争遂行目的で文化財(とその周辺施設)を利用したり、文化財を破壊したりしないように約束する」
    ということなんです。もっとも、

    第4条2
    本条1に書かれる義務は、真にやむをえない軍事上の必要がある場合にのみ免れることができる。


    と免責条項がついています。
    ただ、この文化財の保護というものは、この条約が無かったとしても守って然るべき暗黙のルールだと考えています。
    ちなみに、第2次世界大戦の際、アメリカは文化財保護を名目に、京都に対して爆撃を1回も行わなかった記録があります。

    でも、タリバンはこの暗黙のルールを破ってしまいました。
    元からこの条約に参加していなかったので、この条約の条文を守らなくても良い……というわけではありません。
    しかも、戦闘に巻き込まれて「壊れてしまった」のではなく、
    確信犯で石像を「破壊していった」のです。
    バーミヤンという場所は軍事上の要衝に位置しているのですが、そんなことは関係ありません。

    なお、イスラム教徒による石像破壊の歴史は実に古く、
    630年にマホメットがメッカに戻った時、カーバ神殿に収蔵されていた石像・木像などが全て破壊されています。

    ……だからったって、本当に壊すことは無いと思いますけど(--#)。
    日本などが石像の移築を提案していたのに、それも全ても無視してしまっているし……。
    タリバンは「宗教的理由」と言ってますけど、この言い分はイスラム諸国ですら通用していない有様。
    このままですと、アフガニスタンが国際社会から孤立することは間違い無いのですが、
    タリバンはそれでも良いと考えているのでしょうね。
    それこそ、アフガニスタンをイスラム原理主義者の桃源郷にするくらいの心積もりなのでしょう。

    なんかもう……「好きにやって下さい」とも言うことすらできない状態です。
    もう1ランク上のきつい言葉ということで、「おまえら『えいえんのせかい』へ逝って良し」と吐き捨てたくなる気分です。
    この後、タリバンのシンパから「オマエモナー」と掲示板で書き込まれたらどうしようか(ぉぃ)

  • 2001年03月10日23時17分35秒
    3月3日のコラム・回答編

    現在、隣で『土曜ワイド劇場』が放映中。
    いつの間にか、十津川警部が高橋英樹に代わっている……。

    で、その途中で流れたニュース速報について。
    これで次の日米首脳会談は事実上無意味なものになってしまいます。
    北朝鮮問題で共同歩調を取ることが可能になり(日本にとっては「太陽」よりも「北風」のほうがありがたかったりする)、
    潜水艦事件のわだかまりを解消できるという絶好のチャンスになるはずなのですが、
    当事者の一方が「4月に政治的理由で辞めさせられる」のでは、
    ブッシュさんも良い気はしないでしょう。しかも、次の政権は選挙管理内閣だし。
    今回の内閣不信任案否決から遠回しな辞任発表に至るまでの一連の流れって、
    アメリカと日本の野党支持者に対してあまりに礼を失した態度にしか思えないのですが……。
    「党利党略としては間違っていない」ことは以前述べたのですが、
    このことと「道義的に正しい」ことは別問題。


    とまあ、それはおいといて。
    3月3日のコラムに書いた「無人島に持って行く5本のゲーム」ですが……かなり難しい問題だったと思います。
    出題した人間ですら答えが分からないのですから(^^;)。
    オフライン環境の友人に対してこの質問をぶつけてみたのですが、
    最初の3本か4本まではスムーズに答えが出たものの、残りのソフトが何になるのか、考えるほど難しいそうです。
    問題そのものはそんなに珍しいものではないのですが……。
    昔から頻繁に使われている「無人島に持っていく1冊の本」というお題の改題ですし。

    で、かくいう私の答えなんですが……

    ●『DRAGON QUEST 3』
    ●『FINAL FANTASY TACTICS』
    ●『Tactics Ogre』
    ●名称未定(渡航時に最も性能の良いRPG製作ツール)

    残り1つ……候補が7本(^^;)。
    ちなみに、このうちRPGが4本、SLGが1本、SRPGが1本、パズルゲームが1本。
    このうちパソコンゲームはRPG・SLG・SRPG・パズルゲーム各1本ずつ。
    まかり間違っても、テキストノベル形式のゲームは持っていかないでしょう。
    ……というか、24時間以内に飽きるのは確実なので
    (アドベンチャーゲームの2回目プレーをしたことって殆ど無いし、
    18禁ADVの場合はCG100%の時点で以降のプレーを完全に中断させている)。
    アドベンチャーゲームって「最も『消費速度』が速い」ゲームなので、
    無人島でじっくりどっぷり……なんてプレーには本質的に向いていないと考えています。

    ちなみに、名前を挙げた3本の合計プレー時間は約1100時間
    この間調べてみたら、『FFT』だけでも表示時間が600時間越えていたなあ……
    「THE CONSUMER」へのレビュー投稿後もプレー時間が増えていたんです)。

  • 2001年03月05日23時05分34秒
    政界ドラマ『再編』・プロローグ感想文

    今日、衆議院本会議で内閣不信任案が否決されました。
    造反者が殆どいないと見られていたので、これは事実上予想通りの展開になっています。
    これで、法律上は森内閣は信任されたはずなので、
    次の不信任案が出る(=次の臨時国会?)まで、森首相にはしっかりと政権運営をしてもらわねばなりません。
    首相の器ではないとはいえ、その地位に就いている以上はその任をしっかりと果たしてもらうのが筋ですし、
    当の森さんも政権続投には自身満々の姿勢で臨んでいます。
    個人的には、支持率がどこまで下がるかを見てみたいし(ぉぃ)。

    これで終れば話も楽だったんですが、政治的には必ずしも信任されたわけではないようです。
    自民党の若手議員や公明党、保守党からは森首相退陣論が早速噴出しています。
    今日は、自民党の若手議員が自民党の古賀幹事長のところに押し掛けて、
    「首相は進退は明らかにすべし」とあからさまな辞任要求を突き付けました。

    この辺りの動きが、政治を詳しく知らない一般の国民にとっては良く分からないんですよ。
    「首相退陣論を立ち上げておきながら、どうして不信任案に反対するのか」と。
    大学で政治学をやっていて、多少なりとも政治の世界を知っている人間から見れば「さもありなん」という話なのですが……。

    新聞などマスコミは別の見方をするかもしれませんが、
    与党3党が森首相の不信任案に反対した理由は、
    「今、総選挙をされたら大敗は必至だから」だと考えています。
    例えば、今回、不信任案が可決された場合、森さんには

    (1)素直に辞任する
    (2)衆議院を解散する


    という2つの選択肢が残されていました。
    しかし、(1)の選択肢を取ることはおそらく無いと思います。
    周囲の批判・退陣要求を軽く聞き流すことができ、支持率が1桁になっても強気の発言を続ける人ですから、
    不信任案が可決されても自ら降りる……なんてことにはならなかったと思います。
    しかも、不信任案可決後の身の処し方は首相の専権事項。
    周囲がどれだけ脅しを利かせ森さんを辞めさせようとしても、森さんが「衆議院を解散する」と決めてしまったら、
    誰もその決定には逆らえないんです。

    となると、その先に登場するのは衆議院を解散するという(2)の選択肢。
    この場合、連立与党は森さんを首相候補にして戦うことになるわけなんですが、
    公明党にとって、この時点での総選挙実施というのは、悪夢が正夢になりかねない展開。
    悪夢が正夢になるのを避け、総選挙での大敗を避ける為には、連立政権から離脱するしか道は無いと思われます。
    ところが、こうなると今度は自民党が崖っぷちに立たされる(公明党との選挙協力というカードが失われる)ので、
    自民党も「総選挙をする」とは言い出せなくなってしまうのです。
    自民党総裁の首を取り換えて総選挙を乗り切ろうとしても、今回ばかりは無理ではないかという気がしますし、
    今の自民党の規約では、総裁選の前倒しは不可能ですからねえ……。

    というわけで、「森首相の続投には反対だが、内閣不信任案には反対せざるを得ない」という
    国民にとっては不可解極まりない結論が導き出されてしまうのです。
    野党もここまで計算して不信任案を提出したんじゃないかなと思いますよ。
    次の選挙で連立与党を攻撃する為の材料を増やし、あわよくば総選挙を実施に移す為にね。


    実を言いますとね、私の頭の中には、
    「不信任案を可決した上で連立政権が総選挙に勝利する」為の奇策があるんです。
    しかし、この奇策を実行に移す場合、相当な数の人間が犯罪者になってしまいます(爆)。成功率も低いですし。
    ……というわけで、このアイデアは秘中の秘ということにしておきましょう(ニヤソ)。
    どうしても知り合い方は、私に対して直接問い合わせて下さい。

  • 2001年03月04日22時31分50秒
    騒がしかった週末

    私の周囲が騒がしかったわけではありません。
    今度の週末は、困ったことに世界中で示し合わせたように色々なトラブルが連続して発生してしまいました。

    2001年3月4日(日) 20時50分 <イスラエル>爆発で48人死傷 パレスチナ過激派の自爆テロか(毎日新聞)
    テロが起きたのはイスラエル中西部のネタニヤの中心街。少なくとも3人が死亡した模様。
    パレスチナの過激派による自爆テロだそうです。

    2001年3月4日(日) 19時40分 <英国>BBC前でタクシー爆発 北アイルランド・テロか(毎日新聞)
    BBCの建物の窓ガラスなどが壊れ、地下鉄駅の駅員1人がガラス片で負傷。
    同警視庁は北アイルランド紛争のカトリック系過激派の犯行とみて調査中。

    2001年3月4日(日) 19時55分 <タイ>旅客機事故の原因は爆発物の可能性 首相狙ったテロか(毎日新聞)
    バンコクのドンムアン国際空港で3日午後、タクシン首相が搭乗予定だった
    バンコク発チェンマイ行きタイ航空ボーイング737型旅客機が爆発、炎上し、客室乗務員ら8人が死傷した事故。
    この事故について、空港当局者は4日、爆発物が仕掛けられた可能性があると明らかにしました。
    正直申し上げると、これは100%予想通りの展開。

    2001年3月4日(日) 16時58分 「責任逃れしない司令官」=ワドル前艦長への絶賛伝える−米紙(時事通信)
    絶賛の根拠となっていたのはワドル氏を知る現役・退役双方の潜水艦乗組員にインタビュー。
    「彼は非常に良心的な将校だった」とのコメントが寄せられています。
    ……まあ、良心を持つ人間もミスだけは犯してしまうものです。
    もし、事故を証言を巡る氏の言動に日本側が嫌悪感を抱くとすれば、
    それは氏の人格が原因ではなくて、アメリカと日本の法文化の違いが原因なのかもしれません。

    2001年3月4日(日) 19時55分 <ボス二ア>クロアチア人強硬派の連邦離脱を公式宣言 情勢緊迫(毎日新聞)
    ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国のエラビッチ幹部会議長は3日、
    同連邦からのクロアチア人民族強硬派の離脱を公式に宣言。
    しかし、この地域ではトラブルが絶えませんね。「火薬庫」であり続けるのは100年前も今も一緒なのでしょうか……。

    2001年3月4日(日) 14時18分 米軍機が悪天候のジョージア州で墜落、21人死亡(ロイター)
    事故が発生したのはアトランタ南方160キロのユーナディラ近郊。墜落したのはC-23型シェルパ機。
    以前、オスプレイという米軍機がトラブルを起こしていることはここでも御紹介しましたが、また事故ですか……。
    本当に、最近は米軍関連の事故も多いなあ……。

    2001年3月3日(土) 21時40分 <タリバン>バーミヤンの石仏像を破壊 ロケット砲などで(毎日新聞)
    私が現実世界の人間に対して殺意を抱くことは殆ど無かったのですが、
    今回の石仏像の破壊を命令した人間に対しては、かなり本気で殺意に近いものを感じました。
    こういう極端なことをするから、世界中(特に非イスラム圏)でイスラム原理主義が憎まれ、
    イスラム教そのものに対する不信感・嫌悪感が広まっていることに、当事者達は気付いているのでしょうか?

    2001年3月4日(日) 3時5分 <特報・日米首脳会談>19日軸に調整 原潜事故、関係修復で(毎日新聞)
    最初はアメリカ側から「次期首相と首相会談を」という話も上がっていたほどですが、
    結局はえひめ丸衝突事故の事後処理を優先させた模様。
    でも、ちゃんと実施に移されるのでしょうか?
    明日は不信任案の採決が行われる予定ですし……。

    というわけで、明日は政界ドラマ『再編』・第1回の感想を書く予定(ぉぃ)。

  • 2001年03月03日04時01分44秒
    ゲーマーの皆さんにお尋ねする質問

    さて、ゲーマーの皆さんに質問です。

    今から無人島に行かなければならないという時に、
    無人島にゲームソフトを5本だけ持っていくことが認められたとしたら、何を持っていきますか?

    なお、モデムを除く周辺機器は全て揃えられているものとします。


    人によって回答が異なる問題ですが、
    自分のゲーマー人生を振り返るきっかけとして、皆さんも考えてみてはいかがでしょうか。

    ちなみに、出題者である私は5本のうち1本を「ゲームのエディター」と答えてしまいました(爆)。

  • 2001年03月01日00時14分08秒
    敢えて長野県知事を批判してみるコラム

    本日の題材は、2月28日に開会された長野県議会。
    2月に同県の田中康夫知事が『コンクリートのダムは要らない』と記者会見で突然発表し、
    現在工事に着手されていない県ダム事業を全て計画中止にすると発表してから最初の県議会であり、
    最初の日から議員と激しい論議が行われている模様です。
    県議会は田中知事にとっては「オール野党」という笑うしかない状態ですが、
    1月時点で90%に届かんとする高い支持率を誇っているのが現状です。

    ただ、この際ですしはっきりと申し上げますが、
    田中さんがやった今回の脱ダム宣言、お世辞でも誉めることができない代物なんです。
    どこが問題に感じられたかというと……

    (1)県庁内の異論を無視した一方的な宣言であること。
    議会答弁で県知事と県庁職員の答弁が正反対になっているのはあまりにお粗末。
    この他にも、田中さんには県職員を無視した言動を見せることがしばしばありまして、
    「県知事の公式発表を夜のニュースで初めて知る」ことも珍しくないのだとか。
    この豪快さ──私には無謀としか思えない──は、田中さんに行政官としての経験が全く無い故でしょうか。

    (2)対案を提示していないこと。
    脱ダム宣言をしたまでは良いのですが、その代わりにどのような水道・治水計画を立てているのか、
    田中知事は何も提示してくれませんでした。
    対案を提示していたなら議会や県庁の説得もやりやすくなりますし、私も今回の発表を評価することができたのですが、
    ダム計画の対案が存在しない現状では、脱ダム宣言を評価することはできません。
    せめて、ダム計画に代わる治水計画の具体策を提示してもらいたかったですね(脱ダム宣言の中にちらっと書く程度ではなく)。


    ダム事業そのものの是非についてはケース・バイ・ケースで判断すべきですし、
    長野県のダム事業のうちどれが無駄でどれが必要不可欠なのかは、
    手元に資料が無い以上、断言することはできません。
    ここでは、純粋に行政手法の観点から見た論議に終始させて頂きました。


    ……まあ、正直申し上げますと、私は田中知事について大して期待していなかったので、
    今回の長野県議会の混乱ぶりを見ても「予想通りの混乱ぶりだな」という印象しか抱きませんでした。
    同じ無党派知事である福田昭夫さん(栃木県知事/前今市市長)には大きな期待を寄せているのですが……。



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