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2001年03月29日00時07分31秒
1年前にも似たような話があったような……
さて、本日のコラムのネタは、昨日のニュースで散々叩かれ、
今日のワイドショーでも散々叩かれることになるであろう、薬害エイズ事件関連の判決。
血友病患者への非加熱血液製剤の投与を指示し、HIVに感染、死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた 元帝京大副学長に対し、無罪(求刑は禁錮3年)の判決が下されました。
薬害エイズの被害者達もマスコミも、前例があった(起訴された製薬会社の歴代3社長は実刑判決)ので
今回も有罪判決が出るものと確信していたようです。
だから、ニュースではほぼ全員が異口同音に「予想外」と語っていました。
刑法・刑事訴訟法の専門家ではないので、判決そのものに関する詳しい論評はできませんが、
パッと見たところ、1985年7月の加熱製剤承認が被告人達の有罪・無罪を分ける要因の1つになったようです。
……さて、言わずもがなでしょうが、この判決に対して随所から反発の声が上がっています。
でも、考えてみれば、今から丁度1年前にも似たようなことがありました。
山口県光市で発生した強盗殺人事件の被告(少年)に対して無期懲役の判決が下された事例です。
検察側は事件の残虐性などを根拠に死刑を求刑し、比較的多くの人々がこれを支持していたのですが、
判事は過去の判例などを参照し、それに基いて無期懲役という判断を下したのです。
この時も「裁判所は国民感情から遊離した存在と化している」という非難の声が上がっていました。
この2つ判決の間には直接の関係はありませんが、
日本の法曹界や裁判所に対する国民の信頼を損なってしまったという点では全くの同類。
福岡で発生した捜査情報漏洩事件に続き、
裁判所や法曹界全体に対する信頼を失わせる事例の1つとして挙げられることになるでしょう。
法学部卒業生としてはこれほど頭の痛いことは無いのですが……。
追記1:裁判とは別にちょっと気になるニュース。
3月27日付タイ紙が政府宗教局関係者の話として報道したところによると、僧りょ約3万人が薬物漬けになっているとか。
高い尊敬と信頼を集めるべき人々が、一般人から見放されそうになっているのはここでも一緒なのでしょうか……?
追記3:戦争史研究で知られる作家の児島襄さんが死去。74歳。 約50歳年下の後輩として、心から御冥福をお祈り申し上げます。
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