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2002年5月29日 22時50分23秒
インドとパキスタンの国産ミサイルマニュアル
一触即発の状態が続くインド・パキスタン国境。
現在、ここには両国合わせて100万人以上の陸軍兵士が動員されているだけでなく、
多種多様なミサイルも配備されています。
その中には、核弾頭が搭載可能なミサイルも含まれています。
……ですが、その名前は(当然と言うべきか)カタカナ揃い。
我々日本人にとって馴染み深いとは到底言えないようなものばかりです。
そこで、今回はインド・パキスタンの紛争を賑わせている(?)ミサイルに着目し、
名前の由来や性能など「いつもとはちょっと変わった観点」から眺めてみたいと思います。
パキスタンが作ったミサイル
●中距離弾道ミサイル「シャヒーン」(射程750/2500km)
核兵器搭載可能なミサイルで可動式。開発を行っているのはパキスタンの原子力エネルギー委員会。
短距離ミサイルの「シャヒーン1」と中距離ミサイルの「シャヒーン2」という2種類が存在。
中華人民共和国が技術開発に関与している。
「シャヒーン」という単語は「鷲」という意味があるらしい。
●中距離弾道ミサイル「ガウリ」(射程2000km→3000km)
複数のバージョンが存在するミサイルで核兵器が搭載可能。カフタ研究所が開発。
これまでの射程は2000km前後だったが、2002年5月時点における最新式「ガウリ3」では射程が3000km前後に伸び、
インド国内のほぼ全域が射程圏内に含まれることになった。
北朝鮮が技術開発に関与しているとのうわさがまことしやかに流れている。
こちらには「光輝な女神」の意味があるらしい。
●短距離弾道ミサイル「アブダリ」(射程180km)
開発名は「ハトリ2」。
1747年に独立を宣言したアフガニスタンの建国者(パシトゥン人)の名前が「アマド・アブダリ」だったのだが、
彼からこのミサイルの名前を取ったのかどうかは不明。
他国の地名にも使われているところから、アラビア語圏/イスラム教圏ではさほど珍しくないのだろうか。
●短距離弾道ミサイル「ガズナビ」(射程290km)
別名「ハトフ(ハトリ?)3」。核弾頭が搭載可能かは不明。語源も不明。
10世紀にアフガニスタンを支配していた「ガズナ朝」と関連があるかどうか……うーん……
●短距離ミサイル「ハイダー1」(射程300km)
詳細は良く分からない。
「ハイダー」で検索をかけても、出てくるのはオーストリアの政治家ばかり……。
インドが作ったミサイル
●短距離ミサイル「プリトビ」(射程250km/350km)
インド軍の地対地ミサイル。核兵器の搭載可否は不明。1997年から実戦配置されている。
複数のタイプが存在し、最新版は「プリトビ3」。
意味は「地球」。
●中距離弾道ミサイル「アグニ2」(射程2000km以上)
核兵器搭載可能なミサイル。1999年4月11日に発射実験が行われている。もともとは対中国用に開発されていた。
意味は「炎」。バラモン教、ヒンドゥー教における火の神でもある。
※ちなみに、インド軍のアグニミサイルの主な基地はアッサム州に設置されています。
ここからだと、中国もパキスタンも「アグニ2」で狙うことが可能とされています。
●地対空ミサイル「トリシュル」(射程50km)
2002年1月30日に実験を行った国産の地対空ミサイル。最高15キロの弾頭が装着可能。
意味は「銛(もり)」だそうな。
「戦術核が国境に配備された」という笑えないニュースも飛び出している両国の情勢。
これらのミサイルが実際に使われないことを祈るばかりです。
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