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2002年12月の図書館長日誌

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  • 2002年12月26日 14時57分17秒
    上司に恵まれない部下の記録/『三国志VIII』プレー報告書

    『Rune Quest』ネタかあ……昔を思い出してしまいました。
    しかし、「『赤い月の兄』とその12(ないし13)の下位カルト」と言われて笑い出してしまう辺り、
    我ながら業が深いですなあ……無論、TRPGに関して、ですが(何


    さて、最近『三国志VIII』を入手しまして、しばらくの間プレーしておりました。
    この作品、普通のSLGとは一味違いまして、_三国志の時代を生きた武将の人生を追体験するゲーム」となっています。
    戦略級SLGというよりも一種の育成ゲームに近くなったわけです。
    で、自分で武将を登録できるとなった以上は、自分で登録した武将で三国志の時代を体験したくなるというのが人情というもの。
    というわけで、途中までとなりますが、『三国志VIII』のプレーログを紹介したいたと思います。
    2世紀末から3世紀に掛けての中国史を知らない方には全然面白くないでしょうが、そこは御容赦を。

    今回の物語の主人公となる女性は「六条珠那」さんという、洛陽出身の政治家。
    典型的な内政官タイプのキャラで、ゲーム開始直後から政治力のパラメータが90を超えているそこそこの人物でした。

    ゲームを開始したのは190年1月の洛陽。
    最初は洛陽の中でマターリと勉強やっていたわけですが、
    政治力90オーバーの化け物が街の中に転がっているというのに、
    それを自軍に招き入れようとしないほど将軍達も暇人が揃っているわけではありません。
    ゲーム開始後半年も経たない内に、当時洛陽を支配していた董卓に招き入れられ、
    彼の元で内政官としてデビューすることになりました。

    さて、『三国志』では暴君の代名詞的存在として知られている彼ですが、
    どういうわけか彼(及び彼の配下)と彼女の相性はなかなか良かったようです。
    気が付いた時には、董卓や呂布をはじめ、董卓軍に属する有力武将の半分以上と仲良くなっていました
    (一番凄かったのは呂布。時間さえあればもう少しで義兄弟になっていたかもしれませんでした)し、
    旅行中に「発見した」周瑜を出会ったその場で口説き落とし董卓の配下に加えることに成功したり
    (無論、彼とも仲良くなりましたともさ)、
    たまたま董卓の配下に加わっていた徐晃という武将(史実では曹操の配下になりました)と
    義兄弟の契りをかわすことに成功したりするなど、
    今回の日誌のタイトルには相応しくないような(笑)大活躍を見せていたものでした。

    ただ、問題となったのはここから。
    珠那さんが大活躍を見せていた董卓軍なんですが、
    この勢力は、ゲーム開始時点からずっと、10を超える有力諸侯による包囲同盟の餌食となっていました。
    で、包囲同盟の援軍を得た馬騰という中国北西部を根城とする武将が急激に力を伸ばし始め、
    董卓の勢力を西からどんどん食い潰していったのでありました。
    最初の頃は比較的まともに交戦できていたのですが、
    最後のほうには15万対6万というどうしようも無い兵力差での戦闘を強いられるなど
    (同社で出された過去の『三国志』シリーズとは異なり、
    今回は2倍以上の兵力差を逆転して勝利を収めるのが極めて困難になっています)
    守勢一方の戦いを続け、ついには董卓も死亡してそのどら息子が支配する小さな城1個を残すのみ。
    さすがにここまで来ると人材の流出が激しくなるものでして、
    他勢力からの武将の引きぬきが続出するようになりました。
    で、義兄弟の契りを結んでいた徐晃までもが引き抜かれて遠い異国の地へ……。
    「さすがにここが潮時だろう」と思っていたら、当の徐晃をヘッドハントした勢力からお誘いがやって来ました。

    ここであっさりと「イエス」と答えてしまったのが運の尽きだったわけです。

    彼女達を引っこ抜いたのは当時華北を中心に勢力を広げていた劉備の一派。
    早い時期に潰されることも珍しくないのですが、今回は強運にも恵まれ、
    195年の時点で兵力20万を擁する巨大な軍閥に成長していました。

    で、今まで同じように内政に励む傍ら、国内の有力武将と会うべく何度も足を運んでいました。
    ……ところが、どうも相手方の反応が芳しくありません。
    親密度の上がり方が、董卓の時代と比べて著しく悪くなっていました。
    仲が良くなったのは、劉備が勢力を拡大する中で敵国から引っこ抜いて来た武将達ばかり。
    劉備とその義兄弟との間の関係は「知己」もしくは「無視」の状態から一向に改善されません。
    最も困ったのは彼女が軍師として赴任していた先の国の太守・孔融。
    彼とは10回近く顔を合わせてやっと親密度が「知己」にまで上昇するという有様。
    国力が最大値にまで上がり切り、政治家として留まる価値が無くなったことは明白であるにもかかわらず、
    彼女の配置転換を却下し続けるのでありました。
    この時期、珠那さんの政治力は既にアイテム込みで104(97+7、無論大陸随一です)に達しており、
    その政治力は中国北部に広がっていた産業の遅れていた地域でこそ発揮されるべきものであるはずなのに、
    愚かな(?)CPUはそれを認めようとはしませんでした。

    「これはどうしてかしら?」

    ここで『三国志』のゲームシステムをようやく思い出したPL。

    このシリーズに登場する武将の相性は、過去の作品では全て「相性」というパラメータで管理されていました。
    この値は0から149(とか99)まで用意されており、
    2武将の「相性」の値の差が小さいほど「仲が良い」と判断されるわけです
    (なお、149と0が隣接しているため、相性はリング状に繋がっています)。
    で、魏・呉・蜀の3ヶ国の君主がそれぞれ三角形の頂点を構成するかのようにほぼ等距離を保った状態で配置され、
    その周囲に配下がわらわら集まる……これが過去の同シリーズでの慣例となっていました。

    もしも、『VIII』の相性管理が同じルールだっとしたら?
    史実では魏や呉に属することになる武将とべったりラブラブ(爆)な関係を結べた彼女って、ひょっとしたら──

    ここから先の結論はあえて述べません(爆)


    ちなみに、ゲームのほうは198年まで進行。
    劉備の勢力は快進撃を続ける一方、
    軍師の珠那さんは何もすることが無く自宅で勉強を続ける毎日。
    本気で下野も検討し始めている今日この頃でありました……。

    実は、このエピソードにはおまけがもう1個あります。

    彼女のプレーを一旦中断してから次に男性将軍を1人作りました。
    彼は中国南西部を出発後放浪している間、ついに劉表の目に止まり彼の元に仕官したわけですが、
    理由は不明ですが君主や劉表の部下達との折り合いがよろしくないようです。
    最も折り合いが悪かったのは、在野から登用された黄忠という猛将(ちなみに、史実ではこの人は劉備の配下となりました)。
    何しろ、4回も酒宴に同席したというのに未だに無視されたままなんです。
    これで3人目が蜀の武将と仲が悪かったら本当に頭を抱えたくなります。
    まさか、プレーヤーの性格や相性を機械が読み取っているというわけではないでしょうし……。


    なお、関係者の皆様に事務連絡。
    今回の帰省は2002年12月31日から2003年1月6日までを予定しています。
    この間、いつものメールアドレスが利用できなくなりますので御了承下さい。

  • 2002年12月18日 16時28分45秒
    『Tales of Destiny2』報告書

    ……というわけで、『Tales of Destiny2』のプレー報告でございます。
    先月末に発表されたソフトなんですが、同時期に『ダーククロニクル』という作品が発表され、
    私の周囲では『ToD2』よりもそっちを先にプレーしようとした人が多かったため、計らずもプレーヤーが少なくなった一作です。

    作品の設定は『Tales of Destiny(1)』の18年後となる世界。
    で、主人公は『ToD(1)』の主人公だったスタン・エルロンとルーティ・カトレットの息子という設定です。
    父親に憧れ「英雄になりたい」との願望を抱く息子が父親の影を追って冒険の旅に出掛け、
    その中で世界の命運を左右する事件に巻き込まれてしまう──という筋書きです。

    『ToD(1)』という前作が存在するため、どうしても前作と比較されてしまうのですが、
    ここでのレビューでは、そんなことを無視して評価を下してみることにしました。

    操作性
    (/10)
    7メニュー画面の仕様などには特別気になる点は存在しなかった。
    ただ、イクシフォスラーの操縦が不便だった点や、
    街・ダンジョンの数と比較してワールドマップが広過ぎる点、
    戦闘画面でTP、SPの残量を数値的に把握できなかった点が問題に感じられた。
    また、アイグレッテという場所で、キャラの移動に関するバグが確認されている。
    音楽
    (/10)
    10+ワールドマップや戦闘のBGMが多数用意されている点に注目したところ。
    過去のシリーズとは異なり、ボス戦のBGMに聞き応えのある曲が揃っているように思えた。
    画像
    (/10)
    9ゲーム中の画像は綺麗だったのだが、オープニングの演出に不満が残った。
    システム
    (/10)
    10 基本的な戦闘システムは前作までと一緒だが、今回の作品では新たに「SP」という能力値が登場。
    この能力値はキャラクターの戦意を表した物で、ゼロになると武器攻撃が不可能になってしまう。
    そのため、過去のシリーズのように、通常攻撃と技だけで敵を薙ぎ倒して行く力技が不可能となり、
    状況に応じて攻守を切り換える(前列のキャラを後列に回して術を使わせる、ガードさせる)など
    過去のシリーズには無い戦略が必要になった。
    この新ルールが入ったせいなのかどうかは知らないが、
    今回の作品では全員が術を使用できるようになっている。
    また、戦闘中の行動によってキャラクターの成長速度が微妙に変化したり、
    技・術に追加効果を自由に付与することが可能になるなど、
    戦略的な幅は前作とは比較にならないほど広がっている。
    もっとも、そのせいでゲームシステムは複雑になっているし、データ量も爆発的に増えているので、
    必ずしも良いことばかりとは言えない。RPG初心者には難しいかもしれない。
    設定
    (/10)
    9基本的な部分は『ToD(1)』の設定を継承。
    人物
    (/10)
    9主人公達(カイル、リアラ)より、ジューダスなどサブキャラ達のほうがキャラが立っていたように感じられた。
    キャラ達の性格を垣間見ることができるフェイスチャットは必見である。
    なお、ジューダス(=リオン・マグナス)は『ToD(1)』と比較して性格が若干丸くなっており、
    パーティー内での役割も参謀ということで落ち付いているため、
    『ToD(1)』で見られたような猛毒の毒舌っぷりを楽しむことはできない。

    ヒロインであるリアラよりも、ハロルド・ベルセリオスのほうが可愛く見えたのは内緒ということで(爆)
    脚本
    (/10)
    9 一部ネタバレなので御注意を。
    今回の作品はいわゆるタイムトラベルネタなのだが、
    『CHRONO TRIGGER』のように各時代間の往来が自由にできるわけではなく、
    タイムワープは固定イベントで発生するだけとなっている。
    そのせいもあって、ストーリーが『Tales of Phantasia』と被って見えてしまうところがあった。
    ただ、おつかいイベントが連発される(というよりも、それしかなかったような気がする)という
    不毛な光景が消えている分、『ToD(1)』と比較すれば改善されていると言える。

    なお、ラストバトル直前の会話が一部の方には好評だった。
    曰く「論理を摩り替えた主人公達とそれに逆切れしたラスボスという構図がなかなか面白い」
    主観評価
    (/30)
    30 全体として見ると、様々な個所で前作から大幅な改善が施されている。
    合計
    (/100)
    93 前作『Tales of Destiny』のファンなら、すぐにゲームショップへ直行しても損はしないと思う。
    ただ、ファンでない方々に推奨できるかどうかはちょっと微妙かもしれない。


    ちなみに、同時に『三国志VIII』もプレーしていましたので、
    そちらのプレー記録も近日中に公開したいと考えています。

  • 2002年12月13日 00時05分17秒
    タバコ増税に賛成する人、反対する人

    欧州のタバコ市場から『マイルドセブン』が消えそうになっているという御時世、
    世界的には愛煙家にとって肩ますます身の狭い時代が訪れそうになっています。
    そんな中、これまで日本はアメリカと並び「比較的」タバコに対して寛容というイメージがあった
    (欧州のタバコ事情を考えれば、まだまだ恵まれているほうです)のですが、
    千代田区でポイ捨て禁止条例が正式に施行され、企業での分煙・禁煙が徹底して行われるようになるなど、
    諸外国と同じように、愛煙家受難の時代が訪れようとしております。

    そんな中、日本の与党3党が税制改正でタバコ税と酒税の改正を決めたことが議論を呼んでいます。
    異論が続出する中、最終的に決まった増税幅はこんなところ。

    タバコ……1本当たり1円
    発泡酒……1缶当たり10円
    ワイン……1本当たり10円

    いずれも嗜好品に対する課税強化であり、論議が始まった頃から大きな騒ぎとなっていました。
    例えば発泡酒の場合。
    そもそも、この発泡酒というのがビールメーカーの新たな市場開拓を目指した企業努力の産物だった
    (現行の酒税では、ビール中に含まれる麦芽の量で税率が変わったため、
    麦芽の量を少なくしてより低価格の商品を作り、市場拡大を押し進めていた)せいもあり、
    課税されることとなった各ビールメーカーは猛反対。
    また、今ではビールと殆ど変わらない味の発泡酒も売り出され、発泡酒が完全な市民権を得ていることもあり、
    酒税引き上げ──発泡酒の小売価格引き上げに対して「どうにかしてくれよオイ」とぼやく方も多いのではないでしょうか。
    冷静に考えると、麦芽の量だけで税率に境界線を設けていたというこれまでの税制が、
    税の公平性の観点から言って根本的に間違っているような気がするのですが、それは脇においておきます。


    しかし、発泡酒のように反対論の方が大きい声を占めているのと異なり、
    タバコ税に関しては「どんどん課税すべきだ」という声も存在しています。
    そんな声を上げていらっしゃる諸団体の1つが、「禁煙医師連盟」の皆さん。
    その意見の数々はサイトを実際に御覧して確認してもらうしかないのですが、
    その中で興味深いと感じたのが、FAQのコーナーにあったこんな記述。

    あなたたち医師は増税よりもタバコの製造禁止や非合法化を目指すべきでは?

    禁煙・分煙を願う者のほとんどは、この世からタバコが消滅したらどんなにか良いと思っているはずです。
    だから非合法化するなどして、一切、タバコが流通しなくなれば理想です。
    しかし、残念ながらタバコの供給削減政策で上手くいった試しはほとんどなく、
    タバコの需要削減政策をとる方が現実的・効果的です。


    一見すると「おや?」と思われるかもしれませんが、
    タバコの販売が市場原理に則って行われていることを考えれば当然の話でもあります。
    だからこその「タバコ税増税賛成」ということなのでしょう。


    さて、先程のFAQのコーナーにもありましたが、このサイトには「元ネタ」が存在します。
    それがこちらのサイト
    御覧になればお分かりでしょうが、こちらは増税反対の皆様。
    こちらの言い分を平べったくすると、「嗜好品のタバコに6割の税率を掛けているのはいかがなものか」というもの。
    政治(?)活動に関しては増税賛成派よりも先んじているようでして、
    増税反対を謳うステッカーを街中で見かけた方も多いのではないでしょうか。

    ※参考ながら、私がこのステッカーを発見したのは専門学校のコーヒーの自動販売機に貼られていた物。
    分煙化が進んでいるという謳い文句ながらも愛煙家が大勢を占めているという学校内の一幕をまざまざと見せ付けられました。



    賛否はともあれ、現在の日本におけるタバコ税が6割を突破していることは厳然たる事実。
    今回の増税案が通った場合には、タバコの税率は65〜70%に達することになるでしょう。
    しかし、税率だけを見れば、今の日本のタバコ税が非常に高いと感じられるかもしれない一方で、
    多くの国で税率が7割を突破している諸外国と比べれば、日本のタバコ税が「安い」のもまた事実。
    結局のところ、タバコを吸っているかいないかによって、この問題に対するスタンス
    ──6割を超える税率を高いと感じるか安いと感じるか──が大きく変わってしまうので、
    ここで私が何か言っても皆さんの意見が変わることはそうそう無いと思います。

    しかし、この問題に関する賛否両論を眺めていてふと気付いたのですが、
    「我々はタバコを吸ってタバコ税を支払い国家財政に貢献しているんです」
    気勢を上げている(増税賛成派から見れば「開き直っている」)愛煙家の方には一度も会ったことがありません。
    6割を越すタバコ税を支払っているのですから、そんな声があったとしても不思議ではないのですが、どうしてなんでしょう?
    タバコ税を巡る問題を見ていて、その論点だけが頭から離れずにずっと残ったままとなっています。

    ※ただ、本当にタバコを吸うことが国家財政に貢献しているかというと、必ずしもそうとは言えません。
    タバコによる健康被害によって発生する医療費支払いが、タバコ税による収入を相殺してしまうことになりますからね。



    ちなみに、タバコを吸わないという官房長官閣下によると「1円じゃちょっと小さい」とのこと
    ニュースによると、財務省の出した原案では「タバコ1本につき2円増税(=1箱で40円?)」だったそうで、
    このことを踏まえた発言と考えられます。
    それにしても、この問題はなかなか根が深いようで……

  • 2002年12月5日 22時46分40秒
    政界ドラマ『再編』・第8話感想文

    前回の週末(11月29日)から今週の月曜日(12月2日)にかけて、
    私は知人宅で『RPGツクール2000』で作成されるシナリオの協議などを行っていました。
    その隣では『Tales of Destiny2』が動くという状態でしたので、
    約3日間はテレビのニュースや新聞に殆ど目を通していませんでした。
    その間に、こんな大事が進行しているとは全く思っておらず、
    自宅に帰ってからニュースを再確認して思わず「何だコリャ」と唸ってしまいました。

    今回の話にサブタイトルをつけるとすれば、『迷走』か『殿、御乱心』といったところになるでしょうか。

    この大事の渦中にいたのは民主党代表だった鳩山由紀夫氏。
    約1ヶ月前、明治学院大学での公演中、某番組関係者の替え歌によって揶揄された御本人でもあります。
    11月27日に行われた記者会見で、自由党・社民党との統一会派形成に前向きな姿勢を示していたのですが、
    それがいつの間にか民主党・自由党の合流──更には新党結成という大々的な話に切り替わってしまいました。
    で、一連の動きに業を煮やした半鳩山派の面々が一斉に代表の辞任を求める声を上げ始め、民主党内は大混乱。
    結局、昨日になって、代表と幹事長が辞職することで騒動に一先ず区切りがついたわけですが、
    党内の混乱が収束する気配が全く見えない今日この頃になっております。

    この1件、如何様にも捉えることができる事件でした。
    考えようによっては「鳩山さんが自爆しただけ」と言えますし、
    また別の解釈を取れば「民主党が寄り合い所帯に過ぎなかったことを身を以て証明した」とも言えますし、
    更に異なる分析を行えば「小沢さんは今でも嫌われていることが証明された」と述べることもできます。
    ただ、どの解釈を取ったとしても、1個だけ変わらない事実が存在するようです。
    それは「野党としての民主党幹部の責任感不足」と呼ぶことができるでしょう。

    今回の一連の騒動ですが、9月に行われた党代表選挙の頃から「伏線」が張られていると言われています。
    私の記憶が確かならば、この時「実際に」立候補したのは4人だったと思います。
    しかし、実際にはこのほかにも数名の立候補予定者がおりまして、その際に「候補者の一本化」が行われていました。
    候補者の一本化だけならまだ良かったのですが、鳩山氏が選挙の結果当選し、
    その後「論功行賞」として、鳩山氏と「候補者の一本化を行った」人が現在の幹事長に滑り込むという事態が発生しました。
    その結果、党の内外から批判が相次ぎ、鳩山氏の求心力が低下。
    んで、起死回生の策として考えたのがこの統一会派構想だったわけですが……結果は御覧の通り。

    ※論功行賞の人事を行ったから批判されている鳩山氏ですが、幹事長に「取り立てる」人間をもう少しちゃんと考えていれば、
    こんな醜態を党外に曝け出すことにはならなかったと思います。
    過半数の政治評論家が「あの人選は何だ」と批判を雨霰のように浴びせ掛ける有様でしたし……。


    鳩山氏が代表職の辞意を表明してから、早速次の代表を選ぶべく作業が始まっているようでして、
    今のところ、次の代表には前の幹事長だった菅直人さんと、
    岡田克也さんという元通産官僚の衆議院議員(幹事長代理)の2人が有力視されているようです。
    このうち、菅さんについては良く知られた方ということもありますのでここではあまり触れません。
    で、岡田さんのほうですが、一般の方々には名前を知られていない点がちょっと難しいところです。
    しかし、政治家としての手腕という観点から言えば期待を寄せることができる人物ですし、何よりも「40代」という点が重要。
    これを機に党首脳部の世代交代が進めば、民主党も現在より多少はまともな政党に変化できそうです。
    しかし、民主党という政党は、自民党以上に参加者の政治思想のバリエーションが広い政党。
    55年体制の呪縛や安全保障問題に関する一定の意思統一・意識変革などが行われない限り、
    政権を担うだけの実力を持った党に成長することは無いですし、
    健全な野党として、議会内で政治力を十分に発揮することもできないでしょう。
    その意味においても、55年体制の呪縛を知らない若手政治家の更なる台頭が民主党に求められていると言えます
    (てなわけで、私は岡田さんのほうに新しい代表になってもらいたいんですけどねえ……)。

    でも、危機において自ら火中の栗を拾おうとする勇敢(命知らず?)政治家が残っている分だけ、
    某野党よりかは数段マシとも言えますけどね。


    ちなみに、鳩山氏を揶揄する替え歌を歌う企画を行った某バラエティー番組の方は、12月中の打ち切りが決定したそうです。

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