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2003年6月の図書館長日誌

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  • 2003年6月19日 23時07分24秒
    訴訟は経営立て直しの特効薬ではないはずですが……

    先日の日誌で御紹介したスライドショーの件ですが、
    最終的に、「htmlファイルをつなげて表現する」ということに落ち着きました。
    JavaScriptのデータが多くなり、ナロードバンドからの閲覧で支障が出始めていたのが最大の理由。
    ホームページビルダーというソフトは、ホームページ上の画像エフェクトにJavaScriptを多用しており、
    閲覧時にJavaScriptの読み込みでページか重たくなってしまうことを嫌う人は、今でも結構多いんだそうです。
    ボタンの上にカーソルを合わせると画像が変わる……という程度ならば、どなたでも大丈夫とのことなんですが……。


    この他にも、色々と仕事が入っている今日この頃ですが、
    最近気になったのはこんな話。

    コンピュータの世界では、数年前から「ERP」という概念・技術が登場しています。
    これは、前出リンクにある解説文にも示されるように、
    企業全体の経営資源をトータルに管理しようという考え方に基づいているもので、
    最近では、ドイツのSAP社をはじめとする世界各地のコンピュータソフトメーカーが、あれこれソフトの開発を進めています。
    で、最近、このERPを扱っている大手ソフトメーカーの間で、泥仕合とも呼ぶべき壮絶な戦いが起こっています。

    そもそものきっかけは、6月2日に、ERPを手掛ける業務ソフトウェアメーカーのPeopleSoftが、
    17億ドル相当の株式交換で同業者のJ.D.Edwardsを買収すると発表したことでした。
    この業界で、PeopleSoftは主として大企業向け、J.D.Edwardsは中堅企業市場向けに専門特化していたため、
    会社統合でよく発生しがちな「顧客が重なってしまうが故の無駄」とは無縁の合併劇と言われており、
    アナリストの中には「他に選択肢が無い組み合わせ」「極めて効果的になりうる合併劇の一例」と評する方もいました。
    無論、企業文化の問題など、企業合併に伴う諸問題とこの2社が無縁であるはずが無いのですが、
    当事者双方にとって明白なメリットがある上に、両者が合意した上での合併という「友好的な」ものであったため、
    企業合併劇としては、メディアや業界関係者の間で比較的好意的に受け止められたケースとなっていました。

    ところが、6月6日になって、Oracleという会社が、
    PeopleSoftの買収に乗り出す意思を明らかにしたため、話が思い切りややこしくなりました。
    元々、このOracleという会社はコンピュータ上のデータベースから事業を出発した会社で、
    この分野では第2位の実績を持つ大手企業。
    日本国内でCMを流したことも多かったので、名前だけは御存知の方も多いと思います。

    ここまでだったら、どこにでもある企業買収を巡る攻防戦ということで見過ごしていたのですが、
    その先に待ち構えていたのが「泥仕合」と形容することもできる壮絶な争いとなったので、目が離せなくなってしまいました。
    6月6日、PeopleSoftのCEOクレイグ・コンウェイ氏は、Oracle社の提案を
    「極悪非道な行為の歴史を持つ会社からの極悪非道な試み」と、極めて直接的な表現を使って非難。
    これに対し、6月9日、OracleはPeopleSoft買収の正式提案を米証券取引委員会(SEC)に提出、
    その中でPeopleSoftの取締役会に対し、「ポイズンピル」(※)と呼ばれる
    乗っ取り防止策の無効化を要求するという全面対決の姿勢を露にしました。

    ※ポイズンピル(毒薬)というのは株式会社の乗っ取り防止策の1つであり、
    具体的方法論には諸説ある(既存株主に対して株式を安価に与える、故意に不採算部門を作るetc)のですが、
    「企業買収にかかるコストを吊り上げ、買収の結果得られるベネフィットを引き下げる」という点では共通しています。


    で、この状況に最初に「ぶちきれた」のが、PeopleSoftの合併交渉の相手となっていたJ.D.Edwards社の皆さん。
    J.D.Edwars社は6月12日にOracleを不法妨害で提訴、17億ドルの補填損害賠償と金額未特定の懲罰的賠償を求めると共に、
    Oracleのラリー・エリソンCEOとチャック・フィリップス執行副社長を不正事業慣行で提訴、
    敵対的買収案に対する差し止め命令を求めました。
    続いてPeopleSoft社は12日に、Oracleからの敵対的買収提案を拒否する意向を正式発表。
    翌13日には、Oracleを不正事業行為、商業上の名誉毀損、PeopleSoftとその顧客との関係への不法介入の疑いで提訴、
    ヨーロッパなどで新聞の全面広告を使った反Oracleキャンペーンを展開。
    すると、6月18日には、Oracleが買収金額63億ドルに積み上げるとともに、
    「買収拒否の為の行動をとったこと」を理由にして、PeopleSoftと同社取締役会及びJ.D.Edwardsを提訴すると発表。
    ついには、同じ日にコネティカット州の検察当局が独占禁止法違反でOracleを提訴する計画であることを発表……

    ……とまあ、こんな感じで大規模な法廷闘争にまで発展してしまった今回の騒ぎ。
    買収騒動の行方については、今後のニュースを見守るしかありませんが、
    こうなると気になってくるのが、「ここまでしてOracleは買収を進めたがっている理由は何か」ということです。

    アナリストや記者、更にはインサイダーが色々なことを話していますが、
    総じて言えることは、Oracleの現在の地位が決して安泰ではないということでしょう。
    現在、ERPなどを含めたアプリケーション業界で業界第2位となっているOracleですが、
    PeopleSoftとJ.D. Edwardsの買収劇が実現した場合には、第3位に転落してしまうと見られています。
    かと言って、本業のデータベース事業のほうが調子がいいというわけでもありません。
    アナリストの間からは「順位が下がるのが嫌だったから、
    PeopleSoftの買収劇に急遽踏み切ったのではないか」とのコメントも出ていますし、
    更には、「PeopleSoftの営業を妨害したかっただけじゃないのか」というかなり恐ろしい見解や、
    両者のCEOの間に横たわる個人的確執(コンウェイ氏はかつてエリソン氏の部下として働いていたことがあったが、
    最終的にはコンウェイ氏がOracleが出て行ってしまった。
    で、それ以来両者が犬猿の中になった……ということらしい)もメディアでは取り上げられているのです。
    ですが、根本的には、Oracleが勢力挽回を果たさんと欲したが故の大博打が
    今回のPeopleSoft買収劇だった……と言って問題は無いでしょう。
    大博打にしては、準備不足という気がどうしても否めないのですが……。
    まあ、PeopleSoftとJ.D.Edwardsの合併劇を見て急遽決まった大博打だとしたら、
    準備不足になるのは仕方の無いことでしょうけどね。


    コンピュータ業界では、この他にもSCOというアメリカの会社がIBMを提訴し、
    その中で「IBMのLinux関連事業がSCOの持つUNIX関連の知的財産権を侵害した」という主張を展開しています。
    こちらについては、私がオープンソースコミュニティの“完全なる部外者である”ことや、
    双方の主張の正否を判断するだけの情報を手元に揃えられていないこともありまして、詳しいコメントは別の機会にします。
    とはいえ、この時期にコンピュータ業界で、「激震」と評することのできるほど大きな訴訟が相次いで起こっているところを見ると、
    「この業界も想像以上に危ういものなんだなあ」とつくづく感じてしまいます。
    ただ1つだけはっきりと言えることは、
    「IT技術者に、IT技術だけでなく法律の知識も求められる時代になった」ということでしょうか。


    なお、外国のメディアやアナリストの間では、必ずしも好意的とは見られていないOracleの合併劇ですが、
    Oracleの子会社である日本オラクルの株価は6月9日、17日に相次いで年初来高値を更新。
    親会社の四半期決算が良かったことと、親会社の仕掛けた大博打が比較的好意的に受け止められたのが原因のようです。

  • 2003年6月9日 00時12分50秒
    ホームページビルダーという名前の商品

    さて、新人社員研修も兼ねた私の初仕事が決まりました。
    それはすばり、派遣先会社のホームページのリニューアル
    ……ここで毎日やっていることを会社でもやってくれ、ということだそうです(爆)

    ただ、会社の方からは色々と面白い注文が来るものでして、

    「1027×768のレイアウトに全情報が収まるよう調整できないものか」
    「トップページを他の優良サイトへのリンクにしてみてくれ」
    「面白いイラストの使用許可が下りたので、早速使って欲しい」


    ……とまあ、次から次に興味深い問題が投げ掛けられるわけであります。
    そんな中、ソースコード直打ちが当たり前になっている私の手に負えなかった問題が1つだけありました。

    「PowerPointerのスライドショー、あれをhtml上で擬似的に再現できます?」

    一応フォローしておきますと、この『PowerPointer』というのはMicrosoftOfficeの中に入っているソフトの1つでして、
    いわゆるプレゼンテーション用のデータを作る為に専門特化したアプリケーション。
    一般には、「Excelの次に信用できるM$のソフト」と言われております(笑)
    で、このPowerPointerで使えるスライドショーをhtmlで擬似的に再現しろと言われ、頭を抱えること数分、得た結論は

    「JavaScript使わないと無理っぽい」

    というもの。
    無論、PHPなど他の言語でも擬似的に再現できそうなのですが、
    全部のファイルがhtmlなのに1個だけPHPのファイルが混じっていると見栄えが悪い、とか
    CGIの作り方を全く知らなかったり(爆)するなど諸般の事情により、結局JavaScript導入という話になりました。
    ……が、ここまで考えて気付いた致命的な事実が別に1個。

    「俺って、CGI並みじゃないけどJavaScriptの書き方を覚えていないんだ(爆死)」

    だったらどうしてJavaScriptを使おうと思い立ったのか、謎が残りますが(笑)

    ここまで来て止むを得ず、私はIBMのホームページビルダーの使用を決断。
    このソフトの中には、スライドショーなどいくつかのCGIを擬似的に再現できる機能がありまして、
    そいつを使ってスライドショーが何とかできるわけです。

    しかし、正直言いますと、私はこのソフトが嫌いでした。
    その理由は、ホームページビルダーで作ったhtmlファイルのソースを覗けば分かるのですが、
    インデントとして大量の半角スペースが並んでいるという、なかなか恐ろしい光景が広がっていたこと。
    昔の癖が残っていて、「半角スペースが無駄じゃん」と思わず考えてしまう始末……。

    他にも問題点がいくつかあったかもしれませんが、現時点では思い出せません。
    ソースコードと表示画面を見比べながらデータを作れるというのは凄く便利なんですけどね……。


    なお、会社側からの追加注文はこの後も続々登場。
    終わる目処が全く立っておりません(爆)

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