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2004年1月の図書館長日誌

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サロニア私立図書館・玄関へ戻る日誌収蔵室で過去の記録を閲覧する

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  • 2004年1月19日 21時05分41秒
    私は忍者……だそうです

    日本の自衛隊がイラク入りし、センター試験当日に寒波が到来した今日この頃。
    ちょっと物理的に寒いのが災いしたのか、私の職場では風邪が広まっております。
    明日、顧客が来るというのに……伝染さなければいいのだけど……


    さて、とくそんさんのサイトで紹介されていたのを見て、
    思わずやってしまった「ファンタジー職業適性診断」。結果はこうなりました。

    ファンタジー職業適性診断
    戦士レベル3天性の才能あり
    盗賊レベル1努力すればなんとか
    僧侶レベル1努力すればなんとか
    魔法使いレベル5天性の才能あり

     占い師「そなたに最も似合う職業は、感情を殺して万全を期す『忍者』じゃ。

     戦士の『力強さ』『素早さ』と魔法使いの『慎重さ』『正確さ』を併せ持つタイプじゃな。
     感情表現が弱く、裁判や責任追及に向く。綿密な調査と攻撃との両方ができるところが特徴じゃ。
     時間を無駄にすることや、他愛も無い雑談、プライベートな交流などが苦手なようじゃの。
     雑談で心を和ませることもたまには必要。趣味の話をしてみることをお勧めするぞ。」

    (職業メモ)盗賊の隠密・調査能力に暗殺能力と独自のポリシーを加えた職業。魔法よりは薬毒(薬草)を使う。


    微妙に過大評価されているような気もするけど(汗)……ま、いいか。


    本当は、今日あたりから1月2日に予告した「インターネットと実社会における歴史認識の落差」を
    ちらほら書こうかと思ったのですが、今日はちょっと時間が無いですね……明日朝早いですし……。


    それにしても、この挿絵は……懐かしー(爆)

  • 2004年1月14日 01時07分25秒
    日比谷公園サイズの島を巡る攻防

    急に寒くなった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
    この気温の変化に対応できず、私は先週末から今週頭にかけて、体調を崩したままとなっておりました。
    ただ、日本の寒波も、ニューヨーク市内で氷点下17度を記録した大寒波に比べれば、まだマシなほうでしょう。


    それにしても、今年は年初から韓国との関係がかなり悪化しているようです。
    小泉首相の靖国神社への初詣に始まり、今度は韓国による竹島(韓国名・独島)切手発行が問題となっています。
    竹島のサイズは1平方キロメートル以下……とあるサイトでは「日比谷公園並みのサイズ」と紹介されているのですが、
    この小さな島が日本と韓国のいざこざの種となっています。
    (とはいえ、日比谷公園サイズの島でも、12海里の領海と200海里の排他的経済水域がセットで付いて来るのですから、
    領有権争奪の対象になるのは至極当然の話なんですけどね)

    「竹島切手」発行を発表 「固有の権利」と韓国(共同通信)
    【ソウル8日共同】
    韓国の郵政事業本部は8日、日韓で領有権を争っている竹島(韓国名・独島)をテーマにした切手を含む
    今年の切手発行計画を正式発表した。竹島の切手は今月16日に発行する。
    同切手をめぐっては日本政府が昨年9月に発行中止を要請していたことが分かっているが、
    郵政事業本部は8日「切手の発行と流通は基本的に当該郵政当局の固有の権利」と強調。
    「今回の切手は政治的性格を完全に排し、独島の優れた自然環境などを素材として
    通常の手続きで発行するもの」とし、万国郵便連合(UPU)協定などの趣旨にも違反していないと主張している。
    同切手は「独島特別切手」との名称で、島のイラストに鳥や花をあしらい、
    4枚1セットで56万セットを発行予定。[1月8日15時3分更新]


    日本の地図では、竹島は島根県隠岐郡五箇村の所属となっており、日本側も竹島の領有権を主張している為、
    対抗措置として総務大臣が日本版の竹島切手の発行を検討するといった話が出ています。
    小泉首相や両国の外務省は、6ヶ国協議の開催も念頭に入れ、事態の沈静化を試みているのですが、
    韓国の新千年民主党が1月11日に「高句麗史と独島の主権守護特別委員会」を編成したり
    韓国の各党がかなり過激な口調で日本を非難したりするなど、
    例によって例の如く(?)、韓国内の世論が熱を帯びるという状況になっています。


    実際に竹島(独島)がどちらの領有だったかという問題なんですが、これが意外と根が深い。
    私がインターネットで資料を集めたところでは、大雑把に書くと

    1905年に日本が島根県に編入、国際的に承認される
    →第2次世界大戦終了後、GHQにより一時日本の施政権が及ばない地域に指定される
    →1952年、韓国の李承晩大統領が海洋主権宣言を行う(いわゆる李承晩ライン宣言)

    ※竹島(独島)は李承晩ラインの北西側にあり、韓国による竹島領有宣言が行われた状態となる
    →1954年、日本が竹島問題の国際司法裁判所への付託を提議するが、韓国が拒否
    →1965年、日韓基本条約調印、竹島問題は紛争処理事項とされる


    ……といった経緯を辿っています。

    李承晩ライン宣言後、日本は外交努力による解決を重視し過ぎた為か、
    竹島に人を派遣するなど直接的な行動はあまり行われていません。
    一方、韓国による竹島(独島)進出の動きは止まっていません。
    1954年以降、韓国は竹島(独島)に警察官を配置するだけでなく、
    800人以上が竹島(独島)に戸籍を置いているという状況になっています。

    ※この記事に掲載されている写真(韓国人による反日デモ)の中には
    小泉首相の「遺影」も掲載されているのですが、さすがにこれはやりすぎじゃないでしょうか。
    そういう度の過ぎた反日運動をやっているから、日本と韓国の温度差は広がるばかりになってしまうというのに……


    日本側から見た竹島問題の概要については、外務省などのサイトを訪問するよりも
    IT関連企業にお勤めの田中邦貴さんが運営するサイトのほうが余程詳しいので、こちらのほうを御覧下さい。
    無論、公平な検討を加えるには、日本語で記述された韓国側の言い分を記したサイトが必要ですが、
    生憎見つけることができませんでした(御存知の方はどうか御一報を)。

    ところが、その資料を探している間に、こんな興味深い資料が見つかりました。

    「対馬は韓国の領土」と歌うミュージシャン
    日本人が主張する「竹島は日本固有領土とは言い難い」という意見

    対馬の領有権に関しては、今更確認する必要性が無いくらいに自明のはずなんですが、
    韓国では、それすらも民間レベルでは問題視されることがあるわけですから、
    竹島(独島)の帰属問題で、韓国国民がどういう対応を示すかは言わずもがなといったところでしょう。
    後者の文献については、主張の裏を取る為の調査・研究が必要になるのでしょう。
    ただ、日本が正式に竹島領有を宣言したのは1905年のことなので、
    後者の文献にある19世紀の調査が、竹島(独島)領有権にどれだけ影響するかは過小評価して考えたほうがいいでしょう。
    (それ以前に、文献内に記述されている記事の時間的記述が不正確な気がしてならないので、
    記事の正否を検討する前に記事の「中身」を正確にしないといけないのですが……)



    ……ここまでが事実関係の整理を行った部分。

    今からは、竹島を巡る問題に関する図書館長の雑感になります。
    「雑感」ですので、意見としてはまとまりの低いものになっていますが、そこは御容赦を。

    竹島が「近代史以前はどっちの領土なのか」という点については、あえてすっ飛ばします(爆)
    論議を始めたらきりが無い上に、位置関係としてはどちらが領有権を主張してもそれ相応の正当性が確保できますし、
    歴史的資料を引き合いに出したら「いつの資料まで遡ればいいのか」「改竄の可能性は無いのか」など
    余計な心配をする必要にも迫られます。
    現に、歴史的文献の改竄可能性については、
    日韓両国からアクセス可能なチャットや掲示板では日夜論議されていますし……。

    そんなわけで、私としては、近代国家成立以前の竹島領有権に関する論議は別の方に譲り、

    (1)1905年の日本による領有宣言の合法性
    (2)サンフランシスコ平和条約で定められた日本の領土
    (3)1952年の李承晩ラインの合法性


    ……という3点に絞って話を進めたいと考えています。
    で、このうち(1)については、宣言を行った経緯や当時の国際政治の環境などを考えると
    「合法」と判断しても差し支えないと思います。
    (官報で告示は出ているし、どこの国からもクレームはつかなかったし)


    次に(2)サンフランシスコ平和条約における竹島の扱いですが、
    こちらのサイトに、同時の外交交渉も含めた詳しい話が載っているので、
    私がここで説明するよりも効果的かと思われます。
    中身を掻い摘んで説明すると、こんな感じになります。

    平和条約の米英共同草案では、竹島は韓国側の領土ではなかった
    (図書館長・注:日本が放棄するのは朝鮮本土、済州島、巨文島及び欝陵島だけ。普通は、これに付随する島々も
    領有権を移すのが慣例であるが、欝陵島と竹島の距離は「付随」と呼ぶには離れ過ぎである)

    →韓国政府が竹島を自国の領土として承認するようアメリカと交渉
    →アメリカ側がこれを拒否、草案の中身は全く変わらずそのまま平和条約に


    以上のような経緯を辿っているので、竹島が日本の領土として認められたように解釈されている意見が広く存在します。
    ところが、このサンフランシスコ平和条約、大韓民国が批准国に含まれておらず
    大韓民国が竹島を公式に「手放した」という証明にはならないのです

    つまり、サンフランシスコ平和条約だけでは、日本による竹島領有の証明としては100%完全ではないのです。
    無論「日本が竹島を領有することにアメリカをはじめとする40ヶ国以上が暗黙の合意を与えた」
    という言い方は成立しうるでしょうし、
    それだけでも日本による竹島領有権証明の大きな助けにはなると思いますが……。

    では、サンフランシスコ平和条約を見たついでに、1965年に締結された日韓基本条約を調べてみましょう。
    条文を見てみますが……おや、「竹島」とは一言も書かれていないですね。
    これでは参考資料にはならないですね……。
    それから、日韓基本条約に関しては、条約締結時に
    「日韓両国の全ての紛争は、まず外交ルートを通じて解決されるべきこと、
    さらに、これで解決できない場合は、両国政府が合意する手続きによって調停し、解決を図ること」

    という合意が得られていたそうなんです。
    (これは、インターネットでよく言われていることなのですが、
    具体的な原典へのリンクは見つかりませんでした)
    ただ、日本側はこの合意が成立する以前から、竹島を紛争地域と見なしているのですが、
    韓国側は紛争地域とすら見なしていないというのが実情なのです。
    結果、上に記述した合意は、竹島問題に限れば死文化しています。
    日韓基本条約では、竹島問題は「棚上げにされた」というのが最も適切なところでしょう。


    一方、(3)李承晩ラインというのは、李承晩大統領が海洋主権宣言において設定した漁船立入禁止線のことです。
    実際のラインについては、こちらを御覧下さい。
    ラインの内側では日本を含む外国漁船の操業が禁止され、
    韓国軍によって日本の漁船が拿捕される事件が頻発しました(日本側には死者も出ています)。
    また、このラインが竹島の東側に引かれたため、
    結果的に韓国による竹島占有が既成事実化する端緒になったという面があります。

    現在の我々の感覚からすると、必ずしも異常ではない
    ──排他的経済水域を守るために過剰行動に出ているようなもの──というのが、
    表向きの李承晩ラインの位置付けです。
    ところが、この行為は、当時の国際慣習法からすれば、ほぼ間違い無く違法になるなんですよ。
    当時の国際法では「領海は3海里、その外側は公海」というのが一般常識でしたから、
    3海里のラインを超えて数百海里も離れた場所に漁業占有権を設定するという行為は、
    強盗同然に見なされても仕方の無いことなんです。
    それに、近隣諸国がラインを引くことに合意しているのなら、李承晩ラインにも一定の合法性はあったのでしょうが、
    最も近い国である日本が合法性を真っ向から否定している状態でしたから、合法性なんてあったものじゃありません。
    ※この件については、1953年の日弁連も違法であるとの認識を示しています

    念の為にフォローしておきますと、200海里の排他的経済水域を最初に提案したのはケニアで、
    しかもその年代は1971年でした(翌1972年のヤウンデ会議において、その概念が公式に提唱されるようになります)。
    つまり、李承晩さんは日本の混乱期をついて火事場泥棒を行ったのか、
    1970年代の国際海洋法に初登場する概念を先取りしたのどちらかになるというわけです。
    ……ですが、李承晩さんの行為は、「現在の」竹島の法的な領有権にとっては意味が無いんですよね。

    だって、李承晩ラインは1965年に、日韓漁業協定の成立で撤廃されちゃったんですから。


    こうなると、(1)と(2)が竹島の領有権に関する法的根拠となるわけです。

    そして、この2点だけを見ると、
    100%の証明は難しいが、竹島問題に関する票決で日本が多数を取れるだけの状況証拠は存在する状態。
    「竹島は日本固有の領土」と強弁しても、韓国人以外からは笑われずに済みそうだ……といった感じになります。
    ただ、日本と領土を争っている相手は、世界で最も日本人を嫌っている(と言われている)国なので、
    外交交渉だけで解決できるとはとても思えません。
    かといって、国際司法裁判所など国際機関への付託などは韓国が拒否するので、この方面での解決も期待薄。
    そのことを踏まえているのか、インターネットのチャットなどでは、
    「竹島に自衛隊派兵しても文句は言われないよね」という少々危険な意見すら飛び出しています。

    「近攻遠交」とは、東アジアの国政情勢を実に良く表している単語なんでしょうかねえ……。


    しかし、これだけで終わらないのが今回の騒動。下の「オチ」については、触れずにはいられません。

    竹島、汚染と生態系破壊進む=韓国の大学が調査(時事通信)
    【ソウル8日時事】
    日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)で、汚水や廃棄物による汚染と生態系破壊が進んでいる−。
    9日付の韓国紙・東亜日報(早版)は、同国の慶州大によるこのような調査結果を掲載した。
    同島をめぐっては、韓国政府が島の生態系をテーマにした切手を16日に発行する予定で、
    日本が領有権問題を理由に中止を要請している。[1月8日23時1分更新]


    では、ここでもう1回、韓国側の考えている竹島(独島)切手の販売理由を振り返って見ましょう。

    「今回の切手は政治的性格を完全に排し、独島の優れた自然環境などを素材として通常の手続きで発行するもの」

    竹島(独島)の領有権問題は一旦全て脇に退けても構いません。
    「竹島(独島)の自然を謳った切手を発行しようとしている側で
    竹島の環境破壊を引き起こしているのはどこの誰だ」

    韓国政府の人間を小一時間問い詰めなければ……(爆)

  • 2004年1月5日 21時51分37秒
    最後の聖典

    本日、帰省から帰還したところでございます。
    そして、帰還直後に早速更新が「2つ」入りますので、こちらでも御紹介。

    1つ目の更新は、マッハはやぶさ様から頂いた『女神転生外伝ラストバイブル』シリーズのレビュー。
    最も古い作品ですと、製作されたのが今から10年以上昔になるという、まさに「往年の」作品。
    マッハはやぶさ様のサイトである− ルシフェリウム −では、
    現在同シリーズのリメイク(復活……と言ってもいいかも)に向けた活動を展開中とのこと。
    トップページは『ラストバイブル』に関するポータル(玄関)サイトにもなっていますので、
    興味を持たれた方は是非御訪問下さい。

    このマッハはやぶさ様からのレビューでも触れられていたのですが、
    『ラストバイブル』に限らず、『女神転生』シリーズの音楽は評価が高く、
    熱烈なファンの方も結構いらっしゃるようです(オフラインの友人にも1人います)。
    一般的には、戦闘シーンの曲が受けているらしいのですが、
    私が聞いた限りでは、戦闘「以外」の曲のほうが名曲揃いじゃないかなという印象があります。
    『ペルソナ2』をプレーした時には、曲を聞きたいが為だけに1時間立ち止まったまま放置……ってことも何度かありました。
    もっとも、最新作の『真・女神転生III NOCTURNE』は、迷宮の曲よりも戦闘の曲のほうが聞き応えのある作品でしたが……。

    2つ目の更新は、1つ目の更新に伴う追加措置です。
    実を言いますと、これまでGameBoy作品のレビューを頂いたことが無かったものですから、
    今回マッハはやぶさ様から頂いたレビューを見て、「どこに乗せようか」と一瞬迷ってしまいました。
    ……で、色々考えた末に、(連作のレビューを頂いたこともあり)GameBoy作品のレビューは
    原則としてSuperFamicom作品のレビューページと同一のページに設置させて頂くことになりました。
    今後GameBoy作品のレビューを投稿される場合には、何卒御理解・御協力をお願い致します。
    (GameBoy作品のレビューが山のように届いたら、ページを分割することになるかもしれませんが……)

  • 2004年1月2日 16時45分10秒
    政治部記者の初仕事

    新年、明けましておめでとうございます。
    日誌中心の更新となりますが、今年も何卒よろしくお願いします。


    それにしても、今年は元旦から政治部の記者さんが急がしそうで、少々同情を禁じえないところがあります。
    政治部の記者を忙しくさせたのは、元旦にいきなり靖国神社を訪問した小泉さん。
    元々、小泉さんは年始に伊勢神宮を訪問していたのですが、12月31日に伊勢神宮訪問の中止が決定され、
    その翌日(出発間際になって)、突然「靖国神社に初詣しに行く」と言い出したものだから大騒ぎ。
    いつもの通り、内外(厳密には日本とその周辺国3つくらい)のメディアが騒ぎ出し、
    中国や韓国の外務省も正月から多忙なお仕事を抱えることになってしまいました。

    で、今回の小泉さんによる確信犯(もしくは愉快犯)的な元旦の靖国神社参詣は、
    私の実家でもちょっとした問題となっていました。
    個人的には「参詣するのは好き勝手にしてもらえばいいけど、わざわざ元旦にするこたぁないだろ
    (建国記念日とか終戦記念日とか、“絶好の”タイミングは他にもあったというのに)」というのが本音なのですが、
    その他の親戚筋の意見はかなりきれいに真っ二つに分かれていました。
    片や、「中国や韓国に『これ以上歴史問題でウダウダ言うな』と無言の脅しを掛けた」と賞賛する20代末の人がいれば、
    「歴史というものを知らなさ過ぎる」と批判する50代の姿あり。
    そして、この歴史論争を眺める私の片手には、『親日派のための弁明』という、
    韓国の元左翼で親日派のノンフィクションライターが執筆した韓国批判の本がありました(爆)

    この『親日派のための弁明』という本は、私が帰省時の暇潰しの名目で購入した本の1つで、
    新横浜から福岡に向かう新幹線の中で読破してしまったものです。
    内容は、上でも軽く触れた通り、「韓国人による」(ここがポイント)韓国批判の本。
    作者が扱っている時代は19世紀後半から20世紀前半が中心。
    その中で、作者は現在の韓国で売国奴同然に扱われている当時の親日派勢力・改革派勢力を高く賞賛し、
    “革命”(当時、内乱続きで荒廃していた李氏朝鮮が一旦独立した後、保護国を経て日本に併合された過程)に抵抗した
    李氏朝鮮の宮廷内に残る守旧派勢力や一部の反日主義テロリストを批判し、
    反日の姿勢を貫いたことを理由に彼らを高く評価している現在の韓国社会(特に教育界や知識層)を
    容赦無く滅多切りにしています。
    作者の金完燮(キム・ワンソプ、3文字目は「火言火」+「文」)さんは元々左翼運動に身を投じており、
    光州事件で学生運動側に加わっていた経験を持つ方。
    そのため、19世紀から20世紀の朝鮮史の解説において、「ブルジョワ革命」という文言が頻繁に使用されていますし、
    20世紀後半に韓国で行われていた軍政に対して批判的な論調が目立ちます。
    日本人の視点からすると、韓国の軍政時代もそんなに悪いことばかりではなかったという気がする
    (韓国の高度経済成長もソウルオリンピックも、どちらも軍政時代の産物じゃなかったっけ?)のですが……まあ、いいや。

    ちなみに、この本は韓国でアダルト雑誌並みの有害図書指定(本当の「ビニ本」状態です)を受けているそうです。
    ……そりゃあ、「独島(竹島)は日本の領土である」とはっきり言い切ったりしていれば、
    時の韓国政府にとって面白いはずが無いでしょう……特に、ここ2代に続く親北朝鮮政権にとっては。


    最近、この本に限らず、韓国や中国の歴史認識や外交姿勢を批判する意見が増えています。
    そのことを「正常なナショナリズムの萌芽」と評価するか、
    「第2次世界大戦の亡霊を蘇らせる行為」と批判するかは、
    その人が育ってきた環境や歴史認識などに因るところが非常に大きいと思われますので、
    嫌韓論・嫌中論の是非は、ここではあえて触れないことにします。

    しかし、インターネットで歴史・政治のサイトを漁っていると、嫌韓論・嫌中論に肯定的なサイトが特に多いように思われます。
    このことは、マスコミの伝える“世論”とインターネットの“世論”の落差を示す好例でして、
    インターネット世界の言論動向を知る興味深い傾向と言えるでしょう
    (ひょっとしたら、『インターネットの法と慣習』辺りが取り上げてくれるかも……)。
    インターネットの世界を知らず、マスコミが伝える日本と韓国・中国の関係が「全て」と考えている人は、
    この落差に驚かざるを得ないのではないでしょうか。

    では、この落差がどこから来るのか?
    ……少し考察してみたいのですが、今は紙面(というよりも時間)が足りませんので、場を改めて論議したいと思います。

    書き上がってみたら危険な文献になるかもしれませんが、それはいつものこと、ということで(ぉ

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