そんな散々な一日

エアード・ブルーマスター

「なんか……ここに来てから酷い目にばかり遭っているような気がするな…」
そんなむなしい事を副官二人に言いながら、エアードは服に付いている壷の破片を取っていく。

――思えば、今日もさんざんな一日だった。


朝…
目を覚まして外に出た途端黒猫が目の前を横切っていった。
そのせいか知らないが、どこからとも無くやってきた壷が頭を直撃。
すぐに医務室に…
風間先生に「寝る時間にはまだ早いが…」と言われ、すこし運命というものを呪いたくなる。


昼…
昼食後釣りに向かう途中、落とし穴に引っかかる。
さらに金タライの追い打ち…その後、何とか脱出するが……。
「や…やっと出られたか……早く行かないと見つけられるじゃないか…」
「どこに行くんですか?」
「当然釣りに……………ん?」
「へぇ…釣りですか……またさぼろうとしたんですね?」
「し、時雨……これはだな…………(−−;」
「問答無用。副官も増えたんですからきちんと仕事やって下さい」
ずるずるずる…


夕方…
仕事を無理矢理させられた後、散歩に行こうとするが…。
「ねぇ、エアード君。今ちょっと暇かな?」
「ん……暇と言えば暇だが………い、いや、やっぱり忙しいな…!」
「ちょっと、逃げないでよ! せっかく新しい壺を焼いたんだから!」
「うるさいっ! これ以上壷を当てられてたまるかっ!!」
全速力で来た道を戻るが…
「もう、しかたないな〜…えいっ!」

どごぉっ!!!

……あっさりと投げられた壷が後頭部に直撃…その場を通りすがった時雨によって回収される。


「………とまぁ、こんな一日だったな……」
「エアード将軍…それっていつものことのような……」
「言わないでくれ………」
先ほどから何かをしていた紗耶が二人の元にやってくる。
「お茶…どうぞ……」
「あ、サンキュな……………………紗耶……これは?」
「お茶ですが……」
紗耶が渡した湯飲み――その中には茶葉だけが入っていた。

「ふぅ……やれやれ…」
エアードは自分で入れ茶を飲みつつ、やっと一息ついている…。
時雨は、紗耶にお茶の入れ方について話をしている…さっきので教育が必要だと思ったらしい。
「ん……饅頭か………一つもらうかな…」
そう言って、机の上にあった饅頭を一つ口にする。
「……!? △*☆@&!!??」
突然のエアードの悲鳴に時雨が駆けつける。
「エアード将軍どうしたんですか!?」
「こ、この…饅頭…………」
「饅頭が何か!?」
「この饅頭……お前が………作った…の…か……?」
「はい、そうですが……って、エアード将軍!? エアード将軍、しっかりして下さい!」

その言葉を聞いた途端、エアードの意識は闇に包まれ翌日の昼まで目を覚ますことはなかった…。

(2002.09.08)


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