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一騎討ち終わって
 
 
 煌槍の彩音 帝国の将の背を見送る彩音。
 「…討ち取れなかった…私の精進が足りないという事なのね。」
 討ち取れなかった為か、心身にいつも以上の疲労感を感じ立ち尽くす。
 「軍団長、大変です!」
 駆け寄る兵士。
 「どうした? そんなに慌てて。」
 疲労感を感じさせない笑顔で答える彩音。
 「友軍が、全て友軍が国境線にまで後退しています。我々は孤立してしまいました。」
 「…」
 「軍団長、我々は、我々はどうすれば良いんですか?」
 「…軍議でそのような話は…今更考えても仕方の無い事か。全軍に撤退命令、殿は私が勤める。」
 「そ・それでは軍団長が」
 「討ち死にするつもりはありません。雑兵如き何人来ても大丈夫、帝国の将とて一対一なら遅れを取るつもりはありませんから。」
 
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