一騎討ち終わって

煌槍の彩音

帝国の将の背を見送る彩音。
「…討ち取れなかった…私の精進が足りないという事なのね。」
討ち取れなかった為か、心身にいつも以上の疲労感を感じ立ち尽くす。
「軍団長、大変です!」
駆け寄る兵士。
「どうした? そんなに慌てて。」
疲労感を感じさせない笑顔で答える彩音。
「友軍が、全て友軍が国境線にまで後退しています。我々は孤立してしまいました。」
「…」
「軍団長、我々は、我々はどうすれば良いんですか?」
「…軍議でそのような話は…今更考えても仕方の無い事か。全軍に撤退命令、殿は私が勤める。」
「そ・それでは軍団長が」
「討ち死にするつもりはありません。雑兵如き何人来ても大丈夫、帝国の将とて一対一なら遅れを取るつもりはありませんから。」

(2002.09.19)


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