とある山岳にて

ファミリア=スティーヌ

レヴァイアから更に南、ここはとある山岳地である。
今ここで、数百名からなる山賊が、近くの山村を荒らしているという。
賊としては、かなりの規模であり、レヴァイアの領土内にある、
この山村を救うのは、当然レヴァイアの役目である。
しかし、今のレヴァイアの軍事力は帝国により、その規模を規制され、
また多くの兵士達は、帝国軍と合流し、
レヴァイアには、最低限の兵しか残ってはいなかった。
本来ならば、レヴァイア正規軍の役目である「賊討伐」の役目が、
比較的精鋭揃いで、少数でも行動が可能なファミリアの指揮する
「レナスティーナ私兵軍」へと回っていたのである。

ファミリアがレヴァイア南部の山村に賊討伐に向って、数刻後…

頭目「た、助けてくれ! な、もう悪い事しないからよ。命だけは…あっ」

全てを言い終わる前に、山賊の頭目はファミリアの剣によって喉元を突かれていた。
その後も命乞いをする賊、逃げ惑う賊、それらに関わらず、
ファミリア軍の兵と、ファミリアは無言で賊を処分していた。

   副官「司令、これだけ打撃を与えれば、彼らも2度と現れないでしょう。
      何も命乞いする者まで…」

ファミリア「私に与えられた使命は賊の討伐です。
      逃げた者も命乞いをする者も、時が経てば再び賊となるでしょう。
      命乞いをする者を許し、逃がすのが使命ではありません」

   副官「しかし、山村の者達の目もあります。この場で人を殺めると言うのは…」

ファミリア「賊がどうして生まれるか、貴方はご存知ですか?」
   副官「それは、敗戦し帰る国を失い職に悩んだ者や、落ちた兵士達でしょう」
ファミリア「その通りです。この山村の者達も再びレヴァイアが戦場となれば
      兵士として駆り出される事も無いとは言えません。
      この山村が襲われ、職を失わないとも限りません。
      この山村の者達の誰かが、もし賊となった時、私に斬れと言うのですか?」
   副官「…まるで、レヴァイアが再び戦場となり…再び敗戦するような言い方です」
ファミリア「…」


ファミリア「さぁ、もう良いですよ。目をお開けなさい」

賊の処分が終了するまでの間、目隠しをさせていた
年端もいかない子供達の目を開けさせ、ファミリアは僅かに微笑んだ。

(2002.10.06)


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