対面

ファミリア=スティーヌ

ファミリアは今、帝国皇帝セルレディカの前にいた。
片膝をつき、首部を垂れるファミリアを見下ろすかのように、セルレディカは玉座に座していた。
エルを含めた3人の姿しか見当たらない。
投降したとは言え、ファミリアは帝国にとっては敵であった存在である。
セルレディカとファミリアの間は十分な距離がとられ剣刀の類も所持を許されてはいない。
セルレディカにとって、今この場でファミリアを斬り伏せる事も可能だろう。
だが、この謁見はファミリア自身が望んで申し出たものであった。
帝国に投降する際の、ただ1つの条件として…

ファミリアがセルレディカの前に現れ、既に半刻…
いまだ互いに言葉の1つも発してはいない…無言の中で会話を繰り広げているようであった。
互いに言葉を交わさずとも、互いが言おうとする事、そしてその答えが見えていたからである。
正論など見つかるはずもなく、ましてや異論などもあるはずが無い事を…

ファミリアは立ち上がり一礼をすると、踵を返し一言セルレディカに言い放った。

「強過ぎる光は、失われた時に訪れる闇もまた強過ぎます…お大事に…」


数刻後…
誰かがファミリアに問いただした。
何ゆえ満足な兵も持たずに戦場へと向かうのか?

「私の兵は私を慕い、私を信じ着いて来た者達です。その結束は鉄よりも固く…」


PS:設定上、帝国駐屯兵を使用していながら、私兵軍残兵使用と言う形になっています。
  ご了承くださいm(_ _)m

(2002.11.11)


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