<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN"> 風華の幸福とカイザーの受難





風華の幸福とカイザーの受難

tamakuzi

「どうしたのでしょう?」
風華は麻耶に呼ばれ広間に向かっていた。
「(ま、まさかリュッカ陥落の責めなのでしょうか)」
風華はその様なことを考えると少し気が重くなった。
「うりゅ〜」
大広間の前まできて流石に緊張したのか風華は深呼吸をした。
この前呼ばれた時は確かカイザーの副将に昇進してもらった時以来3度目である。
「月風様、クレアムーン第12部隊聖クレア天風隊隊長成瀬風華ただいま参りました」
緊張している風華に麻耶はクスと笑い楽するように命じた。
「そう硬くならずとも良いですよ。今回は貴女に少し渡したいものがあるのです」
「私にですか?」
「この短刀を貴女に差し上げましょう。貴女も忙しかったようなので渡す機会が無かったのです」
麻耶はそう言うと風華に手は渡した。
「こ、これを私に...宜しいのでございますのでしょうか?」
緊張のあまり言葉が少し変になるが麻耶は気に止めなかった。
「これからもクレアムーンのため手を貸してください」
「は、はい! 麻耶様のためなら」
風華は感極まって麻耶の事を名前で呼んでしまった。
しかし短刀をもらい大はしゃぎする風華を見て少し笑ってしまった。

風華は部屋に戻るまで終始ふにゃけ顔であった。
流石の兵士や文官、更には将軍させも彼女の道を閉ざすことは無かったという。
そして風華は自分の部屋にようやくついた。が、まだにやけていた。

部屋ではカイザーが一人で留守番をしていた
「月風さんに呼ばれたとか言ってたが...何か有ったんだろうか?」
カイザーは麻耶のことをサン付けで呼ぶ癖がある。
その事でよく風華に注意されるが本人は治す気が無かった。
(ガチャ)
扉が開く音が聞こえたので風華が帰ってきたのだと思いカイザーは声をかけた。
「姉さんお帰え...イ??」
カイザーは風華の顔お見るや普段あまりださない声をあげた。
「ど、どないしたん?」
風華の顔は普段の面影は無く正しくフニャケ顔であった。いや、今にも溶けそうな感じであった。
「でへへへへ〜〜〜〜(ふにゃ〜ん)」
「(な、何や...なんか怖!)」
カイザーは恐怖とはまた何か違う悪寒を感じていた。
「(な、何か悪口言ったら元に戻るかな〜...)」
カイザーは死を覚悟で風華の悪口を言った。しかも本気で... 「な、な〜そこのちっこいのはよご飯作ってくへんか?(どや?)」
普段ならここで何か飛んでくるはずなのだが風華はまだふにゃ〜んとなっていた。
「うふふふふ〜〜〜何食べたいの? カー君?(ふにゃ〜)」
カ、カー君! おかしい! おかしすぎる! カイザーは今にもこの宮殿を壊したくなるような感じがした。
確かに風華は優しいし温厚な正確だが風華の気にしていることを言ったはずなのだが...
「(も、もっときついことをいわねば...)」
カイザーは机に遺書をおき風華が一番気にしていることを言った。
「ねーちんのぺちゃ○○!!!!!!!」
普通の部屋なら確実に外まで聞こえた言葉だろうが一応防音はしてあるらしく外までは聞こえなかった。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
カイザーは息を荒くしつつ心の中で念仏を唱えていた。
「最後の言葉が『ねーちんのぺちゃ○○』なんて...虚しい(涙)」
流石の風華も怒ったのだろうかカイザーに近づく。
「(ひっ!!)」
カイザーには風華の周りに怒りのオーラが漲っているように見えた。
しかし風華はカイザーのおでこを1度突き
「もぅ、この子ったらぁ〜。そんなこと言ってはメですの(ふにゅ〜、にこにこ)」
カイザーは目を丸くした。そしてこれは地獄より地獄的だそのように思った。
その晩カイザーは風華の笑いにも似た狂気の寝言とその恐怖から寝れなかった事は言うまでも無かった。

(2002.10.30)


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