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■お泊り(風華編)■
■お泊り(風華編)■
tamakuzi
(トタトタ、パタパタ)
風華はいそいそと部屋の片付けをしていた。今まで弓に練習をしていたので少し額に汗が流れている。その横でカイザーが布団を持ってきた。
「美雪さんだったらこれ位の大きさで良いん?」
「それ位でいいですの。有り難うですの。」
ほとんど片付いたのか風華は台所に移動し始めた。そして今晩の下拵えをし始めた。
「あ、鍋か...ええな〜」
それを見カイザーはその鍋を美味しそうに眺める。
「カイザー君も食べていきますの?」
「い、いや、ええよ。夫婦水入らず邪魔したら悪いからな〜」
カイザーは冗談のつもりで言ったのだろうが次の瞬間、風華はカイザーをハリセンでハッ倒した。
「つ〜。何でハリセン持ってんねん!(涙目)」
「冗談は言うものではないですの! 美雪さんに失礼ですの!」
「美雪さんに対してそんなふうに剥きになるからレ○ぽく見られるって言ってんのにな〜...(ボソ)」
しかしその言葉はまずかった。風華は顔を真っ赤にしていた。
「むぅ〜〜〜...カイザーのばぁか〜〜〜〜〜!!!!!」
カイザーは吹き飛ばされたかのごとく部屋の外に追いやられた。
「はぁはぁはぁ...ふ〜全くも〜(クス)」
カイザーが出で言って15分ごろだろうか風華の部屋を誰かがノックした。
「はいは〜い。今開けますの〜。」
風華が扉を開けた瞬間、誰かが抱きついてきた。少し体勢がよろけるが何とか持ちこたえた。
「姉様〜!(抱き〜)」
「み、美雪さん。いらっしゃいですの。」
その光景を心配そうに村雲が見つめている。
「美雪様、風華様大丈夫ですか?」
「はい、私は大丈夫ですの。美雪さんは?」
「美雪は大丈夫ですの。姉様が支えてくださったので。」
村雲は2人が無事であった事にホッとした。
「では風華様、美雪様をお願いいたします。美雪様も御気お付けください。」
「美雪はもう子供じゃないです! ねぇ〜、姉さま。」
「ふふ、そうですの。村雲様大丈夫ですの。」
村雲はクスと微笑したがそのまま会釈をし風華の部屋を出で言った。
美雪が部屋に入るといろいろなぬいぐるみが有った。風華からぬいぐるみを集めている事は聞いていたがその数は10以上はあった。
「わぁ〜、ぬいぐるみが沢山あります〜。ふわふわですぅ」
美雪は熊のぬいぐるみを抱しめながら風華がやって来るのを待った。風華はお茶とお饅頭を持って来た。そして美雪を見てクスと笑ってしまった。
「今夕食を作りますの。何か食べたい物はありますか?」
風華がその様に聞くと美雪は少し考え始めたが結論が出たのか笑顔で答えだした。
「お魚が食べたいです。」
鍋の準備は出来ていたので魚のつみれを作る事にした。
「今日は寒いのでお魚のつみれを入れたお鍋にしましょう。」
そう言うと残りの作業をし始めた。そんな時美雪が風華の所に来て自分もお手伝いすると言い出した。
「ん〜...わかりましたの。一緒に作りましょう。」
風華は少し考えたが美雪の行為に甘える事にした。しかし美雪は料理をし始めてまだ時間が経てなかったので魚のつみれを作るのをお願いした。
「え〜と...姉様、お醤油はこれ位で良いですか?」
美雪はつみれを作るのは初めてであった。風華は美雪のつみれ作りの方に行った。
「あ、これは濃口ですの。薄口を気持ち程度に入れますの。」
「薄口...これですか? え〜と気持ち程度.....姉様出来ました!」
美雪が作ったつくねを少し食べてみる。その味に風華は驚いた。
「美雪さん初めてつみれを作ったのにとても上手ですの。すごく美味しいですの。」
確かに美味しかった。美雪は風華に誉められた事が嬉かったのかとても喜んでいた。お鍋に準備も出来たので風華と美雪は夕食を取る事にした。
「とても美味しいです。御出汁もとても美味しいです。この御出汁は姉様が?」
「はい、美味しいですか? 先程つくねのときに使ったお魚さんの骨をあぶってこの出汁の中に入れましたからとてもいい味が出てます。後、美雪さんのおかげです。」
「美雪のおかげ...ですか?」
美雪にはその意味が全く分からなかった。風華はその理由を説明し始めた。
「美雪さんの作ってくれたつくねも出汁になっているですの。」
「ではこのお出汁は私と姉様の共同作と言うわけですか?」
風華はコクリと頷いた。美雪もとても喜んでいた。その後女の子らしい雑談をしながら夕食を楽しんだ。風華と美雪は夕食が終わった後も他愛の無い雑談をしていた。時間も少し経ったとこで2人はお風呂に入る事にした。
「わ〜い、誰もいないです〜。姉様と貸し切りです。」
(どぼ〜ん)
美雪は少し熱いのかゆっくりとお風呂に浸かり始めた。風華は周りを見渡し、そしてお風呂に浸かり始めた。しかし美雪の姿が無かった。風華は少し心配になり美雪を探し始めた。
「美雪さ〜ん何処ですの〜」
その瞬間風華の後ろから誰かが腕を回してきた。美雪である。
「姉様お肌滑々です。」
「美雪さん、くすぐったいですの。美雪さんもお肌きれいですぅ。」
「えへへ〜〜〜。姉様後で流しっこしませんか?」
「そうですね...、じゃあもう少し浸かってから背中の流しっこしましょう。」
美雪は元気に返事をしながら静かにお風呂に浸かり始めた。
そうして2人はお風呂を上がり部屋に戻っていった。
部屋に戻った2人はまだ寝るには早いので読書をする事にした。美雪は普通の本を読んでいたが風華は少し古ぼけた本と言うより書物的なものを読んでいた。美雪は少し気になったのか風華の背後からそれを覗き込んだ。その本は兵法書だった。
「あ、あははは(汗)」
「姉様兵法書しか読まれないのですか?」
「いえ、普通の小説とかも読むのですがほとんど読み終わってしまいましたので...」
と言うと風華は本棚の一角を指差した。其処には小説らしきものが軍記物に混じって10冊ほどあった。しかもそのほとんどが恋愛物であった。
「あ、姉様これ読んでもいいですか?」
そう言うと美雪はその中にあった恋愛小説を指差した。
「はいどうぞ。今日中には読めないと思いますので貸してさしあげますの。」
「ホントですか? じゃあ姉様これ読んでみませんか?」
美雪は自分の持って来た本を風華に手渡した。
「え、嬉しいですが...良いのですか?」
「はい、私は一度読んでますので。」
2人は小説を取りかえっこして読み始めた。時間が少し経っただろうか寝るには少し早いが2人は床に入る事にした。布団をくっつけて一緒に寝る事にした。床にはいって数分経つだろうか美雪が風華に話し掛けてきた。
「姉様、姉様はいなくならないですよね?」
「はい? 如何しましたの、美雪さん?」
「もう、もう一人はいやです!」
美雪は泣き出した。また昔のことでも思い出したのだろうか、それとも風華が居なくなってしまう事を考えてしまったのか。
「前にも言いましたがもう昔の事ですの。それにもう美雪さんは1人じゃないですの。私がいますの。私は何処にも行かないですの。だから安心して.....美雪さん」
風華は美雪の手に何かを手渡した。それは何時も風華がしている深紅のリボンであった。風華はお気に入りだったがそれを美雪に手渡したので
「姉様これはとても大切なリボンなのでは?」
風華にとってはこのリボンは特別な思い入れがあった。このリボンは鏡香が風華のために作ってくれたリボンなのだ。故にリボンには風華の名前が刻まれている。
美雪はこのリボンを返そうととしたが風華は首を振った。
「私はこのリボンのおかげで何時も1人では無いと思えましたの。美雪さんこれからは1人ではないですの。どんな時も私と一緒ですの。」
美雪は安心したのかそのまま眠りについてしまった。風華は美雪の寝顔を見、頭を撫ではじめた。
「(大丈夫、私は居なくなったりしないです。この戦いも生き抜いて見せる。だから美雪さんも生き抜いてください...いざとなれば私は.....)」
風華はその様な事を考えなら寝ることにした。美雪を抱くようにして...
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(2002.11.10)