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雪が降って

tamakuzi/神那 美雪

本格的な冬に突入し聖都でも雪が本格的に降り始めた・・・。
「うわぁ〜風華姉様ぁ・・・雪が積もってきたですぅ」
毎年の事ながら雪が積もることを心待ちにしていた美雪がピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。
「まぁ〜本当ですの・・・み〜ちゃん今からお外で遊びませんか?」
「わぁ〜い・・・美雪も遊ぼうと思っていたですぅ!(抱きっ)」
「み〜ちゃん・・・よっぽど遊びたかったですの?」
飛びついてきた美雪を何とか受け止め優しく抱きしめる風華・・・
「えへへですぅ・・・」

「姉様姉様ぁ〜いっぱ〜い積もっているですぅ!!」
「あっ・・・み〜ちゃんそんなに走り回ったら危ないですの! ・・・あっ!」
ずるっ
「ふみぃ〜・・・」
顔から雪の中に突っ込んだ美雪・・・
「み〜ちゃん? 大丈夫ですの? ・・・どこか痛い所ないですの?」
「あぅぅ〜・・・美雪転んじゃったですぅ・・・」
慌てて美雪の前に駆け寄った風華だったが『テヘヘ』と笑う美雪を見てホッと安堵の息を漏らした。
「いいですの・・・み〜ちゃん?雪が積もっていて楽しいことはいいですが・・・はしゃぎ過ぎたらケガするですの!」
ちょっとお姉さんっぽく美雪に言い聞かす風華・・・
「えぅ〜・・・ごめんなさいですぅ・・・」
しゅんとなる美雪に『ちょっと言い過ぎたかな』と思った風華は軽くキスをして・・・
「み〜ちゃんが大事だからですの・・・ねっ・・・」
「はいですぅ・・・えへへ」
元気をとり戻した美雪は雪ウサギ作りを始める。
「ウサギさん♪ウサギさん♪ ・・・ほぇ〜姉様・・・何作っているですかぁ?」
美雪の後ろに雪がたくさん積まれていた。
「かまくらですの・・・み〜ちゃんも手伝ってくださいですの」
「かまくらさんですかぁ? ・・・美雪は穴を掘るですぅ・・・」
「ハイですの・・・風華は外装を整えますの・・・」
一生懸命かまくら作りに専念する二人・・・
小一時間程経ち立派なかまくらが完成した・・・。
「うわ〜い・・・かまくらさんですぅ・・・」
「み〜ちゃんが手伝ってくれたから早く出来ましたの・・・ありがとうみ〜ちゃん」
「どういたしましてですぅ・・・で姉様? ・・・それは何ですか?」
風華の持っている物に興味を引いた美雪が風華に尋ねる。
「あっ・・・これはですね・・・七輪ですの・・・ここに木炭を入れて・・・火をつけるですの」
赤く優しい火がかまくらのなかを優しく灯す・・・
「で・・・この上に網をのせて・・・み〜ちゃんの大好きなお餅を焼きますの」
と・・・風華はお餅を取り出し網の上に並べる。
「うわ〜・・・お餅♪お餅♪・・・早く焼けないかなぁ・・・」
「ふふっ・・・み〜ちゃん・・・もうちょっと我慢するですの・・・」
「はいですぅ・・・」

暫くして・・・
「姉様ぁ〜お餅さんがぷくぅ〜ってなってきたですぅ・・・」
「あっ・・・本当ですね・・・では熱々のうちに頂きますの・・・」
焼いている間に用意したお皿と調味料を取り出しお餅を取っていく。
「はい、み〜ちゃん・・・あ〜んですの・・・♪」
「あ〜ん♪・・・(モグモグ)・・・はにゃ〜美味しいですぅ」
「姉様も・・・あ〜んですぅ・・・」
「あ〜ん♪・・・(モグモグ)・・・み〜ちゃんに食べさせてもらったら何でも美味しいですぅの・・・」
と二人幸せな時間を送っている時に・・・かまくらの入り口から声が聞こえた・・・
「あ、あの・・・僕も入れてもらえませぬか・・・?」
「ふみ? ・・・!? ・・・ふぇっ・・・白いお化けですぅ・・・」
お餅を箸で掴んだまま硬直し泣き出す美雪・・・そして・・・
「だっ・・・どっ・・・どちら様ですの!?」
薙刀に手を伸ばす風華・・・
白いお化けは・・・慌てて編み笠や服に付いている雪を払った。
「なっ・・・ちょっ・・・僕です、コマです(汗)」
「ふぇっ・・・ひっく・・・」
更に泣いている美雪・・・
「何故泣く!Σ('Д ̄;;;;;;;」
「・・・ほらほら・・・み〜ちゃん・・・怖くないですの・・・ただのコマさんですの・・・ただの!」
「ただのッ(悲鳴)!?Σ('Д ̄;;;;;;;」
「ふみぃ・・・で・・・コマさん・・・どうしたですかぁ?」
落ち着きを取り戻した美雪がコマに尋ねる。
「いやぁ・・・ちょっと『新境地』を探しに外出していたら・・・吹雪にあいまスて・・・」
「はぁ・・・『しんきょうち』ですの・・・?」
「まーそれはどーでもよくて・・・で、僕こー見えても寒さに弱いものでして・・・」
「・・・コマさん・・・氷魔法使いではなかったですの?・・・」
風華が疑問をぶつける。
「いやーはっはっは、人間苦手なものは苦手・・・っと、うまそうッスね?」
堂々と威張りながらお餅をパクパク食べるコマ・・・。
「ふみぃ〜・・・美雪のお餅・・・(涙)」
「むっ・・・コマさん・・・そんなにがっついたらダメですの・・・風華特製コーヒー飲みますの」
「え? いやコーヒーは別に・・・」
「風華のコーヒー飲んでくれないですの?(クスン)」
「煤i'Д`;;;;;;;;;;; い、いやぁ〜コーヒーも大好きでねぇ(涙)♪・・・ブフーッ!」
その場にうずくまるコマ・・・
「特製風華ブレンドの味はどうですの?・・・」
「とっ・・・特製って・・・あ〜た・・・これ激甘すぎ・・・」
「み〜ちゃんを泣かせたら風華が許さないですの!」
「美雪スペシャルも飲みますかぁ?・・・」
コマをツンツンしながら美雪が尋ねるもののコマからの返事は無かった・・・
「ふぇっ・・・姉様ぁ・・・」
「口の中に突っ込んでおきますの・・・」
このとき一人の男はますます冬が嫌になったという・・・。

「でも・・・コマさん幸せそうですぅ・・・」
一応かわいそうだったので美雪と風華はコマをかまくらの奥に入れて暖めていた。
気絶していてもなぜかその顔は幸せそうだった。
「あぁ・・・温かい・・・」
「そっとしておいてあげるですぅ・・・はいコマさん・・・」
美雪が自分の上千早をそっとコマにかけてあげる。
「み〜ちゃんは優しいですの・・・」
餅をひっくり返しながら風華はクスッと笑った。
「ぬくぬくの夢を見ているみたいですの・・・はい、み〜ちゃん♪」
風華が新しいお餅を美雪に食べさせる。
「美味しいですぅ・・・じゃあ・・・姉様も♪」
「♪・・・み〜ちゃん美味しいですの♪」
温かく和やかだった・・・幸せな二人(+遭難者)の時間をある声が切り裂くまでは・・・
「あっ・・・だめだよ・・・メイリィさん・・・そんな・・・積極的に・・・」
一瞬にして二人の動作が止まる・・・
「えっ・・・今日は私がって?・・・もう仕方がないなぁ・・・」
美雪と風華は顔を見合わせ・・・
「・・・姉様・・・(赤面)」
「・・・み〜ちゃん・・・(赤面)」
「「追放決定!ですの(ですぅ)・・・」」
その日幸せな声がきこえるかまくらと一つの雪だるまがクレア宮殿に出来ていた・・・。

翌日・・・幸せそうなコマが雪だるまから兵士の手によって発見された・・・。
兵士「流石氷魔法を使われる将軍・・・こんなところで幸せそうな顔で修行をされてなさったか・・・」
「メイリィさ〜ん・・・♪」
幸い怪我も無くすぐ意識の戻ったコマであったが・・・
風華と美雪からはジト目で見られ女難の株が上がったのは言うまでも無かった・・・。

(2002.11.29)


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