新たなる将軍の誕生
ゲイル
カルスケート東方・ガイアの街入り口
「また来たか・・・この街に・・・」
前回カルスケートに来た時、ゲイルは・・・
陽動作戦に参加、風神騎士団に背後から急襲し、それなりの戦果を挙げるがその後一騎討ちに負け、治療をする一方でゴゥドの使節護衛に駆り出された。その間に強行をたくさん使ったので兵に疲労の色が濃くなって病人が多数出たので最寄のガイアの街に引き返すこととなった。
「今度はもう少し活躍しなければ・・・共和国がかなり押されている状況だからな・・・少しは周りを助けねば・・・」
共和国軍はこのときかろうじて首都方面への入り口を閉ざし帝国軍の猛攻からやっとしのいでいる状態だった、もちろんゴゥド使節団は動けない。
「さて・・・まずはどこに行くか・・・んっ? なんだ? あんなところにいる部隊が? 帝国軍でもなさそうだが・・・」
(山賊ではないのか? 主よ・・・)
「ほう・・・ドルト隊が攻撃していたあの山賊か・・・皆殺しにしたと聞いていたが・・・少し生き残っていたようだな・・・」
(どうする? 主よ・・・手始めにあの山賊でも皆殺しにして部隊に勢いをつけるか?)
「いや・・・賊は賊でもあんなに少ない者たちを皆殺しにしてしまうのは・・・」
(賊は少ないうちにやるほうがいい、そのうちまた仲間を集め攻撃してくる)
「あの山賊の布陣なかなか見事だと思う、我が部隊の副司令官になってもらいたいのだが・・・」
(・・・・・・・)
「よし! 一筆したためてみよう」
・・・・・・
「よし、できた!あとは返事を待つのみ・・・」
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山賊の本拠地
「お頭、共和国の連中から手紙が届きましたぜ」
「ほう・・・どれどれ・・・」
頭領へ
共和国将軍になってください
漆黒の騎馬軍団
軍団長 ゲイル
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「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・返事できねぇ・・・文章短すぎて・・・あほじゃねぇの」
「いたずらですかねぇ・・・んでお頭、どうしやす・・・」
「・・・・・・ほっといていいんじゃねぇか、別に・・・どちらにせよ俺たちには死しかないだろう・・・降ったところで処刑場がまってるだろう・・・」
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三日後・・・
「返事返ってこないなぁ・・・」
(ほんとにアレで敵が降伏するとでも思っているのか・・・)
「一生懸命に書いたつもりだったんだが・・・」
(書くとき妙に力が入ってたような・・・て、文章に力をいれろ〜!!)
「仕方ないな・・・本人に直接会って話してみよう・・・」
(・・・主自らか? そこまで危険を冒してまでして降伏させる価値があるのか?)
「無意味な殺生はしたくないしな・・・それに・・・厄介な敵でも味方にすれば心強い味方となる、あのドルト将軍からの攻撃に耐え、残り少なくなった状態でもいまだに逃亡兵がでてないと聞く、頭領の力量の高さがあるからと思うが・・・」
(・・・・・・・)
「それに彼らには逃げ場が無い、生の道に迷っているだけだし、そこから救ってあげてもいいんじゃないか?」
(そこまでいうのなら・・・)
「よし! 全軍移動するぞ、準備せよ!」
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「お頭、共和国の連中が攻めてきましたぜ!連中の総勢2000!!」
「・・・ついに来たか・・・野郎ども、覚悟は出来たか! 突っ込むぞ! 最後に奴らに俺たちの強さを見せてやれ!」
「お頭」
「なんだ、止めても無駄だ、もうどこにも逃げられん、最後に山賊として大暴れしてやるぞ!!」
「敵の大将が直接お頭に会いたいと言って来ておりますがどうしやす?」
「なんだと!? 本人が本当に来ているのか?」
「そうっす」
「・・・(このあいだの手紙はこういう意味だったのか・・・)」
「・・・会ってみるか・・・」
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この後2時間にも及ぶ説得によって山賊団の頭グルスはついに降伏、共和国将軍として迎え入れられた。一応は素人なので(他の連中に信頼もされていないので)とりあえずゲイル率いる漆黒の騎馬軍団の副将として将軍としての指揮の仕方、心構えなどを伝授されることとなった。
グルス配下の山賊たちも全員命を救われてそれぞれ軍に入ったり家族の許へ帰ったりしたと言われている。
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