死地への突撃
ゲイル
「西からの風に血の匂いが混ざってる・・・」
ここはガイア、ここから山を挟んで西にはカルスケートの街がある、カルスケートはここしばらく大乱戦状態に陥って無数の死傷者が出ている。しかしいままでそんな血のにおいなど匂ったことなどない・・・
「ふぅ・・・疲れてるのか・・・まぁそんなことも言ってられないな・・・」
ゲイル率いる白馬騎兵団は補給無しで戦い続けていた・・・残りの兵力もわずか200人とちょっとといったところ・・・ガイア地方のど真ん中に部隊を展開しており首都への道は遠い・・・しかも先ほど首都に帝国軍が現れたという未確認情報がゲイル直属の密偵部隊(任務は偵察のみ)から入っている、これが本当なら首都へ戻っても補給が効かない・・・となれば・・・
(もう無理だな・・・何をしても・・・こいつらの命救ってやることが出来ない・・・くっ・・・だめな指揮官だな・・・私は・・・)
出来ればまたみんなで笑い、酒でも飲みながら語り合いたかった・・・
幸せな家庭を守るためにこの戦いに参加していると語ってくれたとある中年の兵士・・・
恋人に勇姿を見せると張り切って軍に入ったという若い兵士・・・
・・・思い出すだけで涙が出そうになる・・・残されたものになんといったらいいのか・・・
(ただでさえ長引いている戦争によって民は怒り苦しんでいる・・・その上に私の未熟さで新たな悲しみによってさらなる苦しみを味わうことになるのか・・・つらい・・・つらいな・・・)
(あの世でこいつらとまた会えたらいいな・・・)
さまざまな迷いの末・・・この半刻後、ゲイル隊は最後の突撃をかけることとなる・・・
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