開戦前夜

グレイアス

「また…戦が始まる」
俺は目の前に掲げたペンダントを明かりにかざしながら呟いた。
ペンダントの先に付いた青い石はランプの光を受け煌く。
しかし俺は煌く石のさらに向こうをぼんやりと見ていた。
このペンダントの前の持ち主を始めとした懐かしい面々…。
そしてもう届かない懐かしい日々…。
「俺もそろそろそっちに行くか…」
俺の呟きに幻の顔が小さく振られたように見えた。
「…そうか」
石を揺らしながら一人呟く。
その呟きに落胆と淋しさの響きが混じっているのに自分でも驚く。
軽く頭を振って気を取り直す。
「…ならば、精一杯足掻くか」
ペンダントをしまうと、椅子から立ちあがり、傍らに置いた剣を取る。
「すまんが、しばらくそっちで待っていてくれ」
想い出の人達に声をかけて剣を抜く。
いま少し未来を切り開く為に。

…………そして今、大陸中に戦禍の嵐が吹き荒れる……

(2002.10.02)


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