新たなる名称
グレイアス
ここは帝国軍第8部隊指揮官の天幕の中…。
「う〜〜〜む」
指揮官グレイアスは一枚の書類を前に悩んでいた。
「ん? グレイアス将軍、何やってるの?」
そこに顔を出したのは副官を務めるリルルであった。
リルルに見せた書類は「部隊名変更届」。
「あぁ、リルルか。 うちの部隊名を変更しようかと思ってるんだ。いい加減あちらさんも慣れたろうし、こっちも新鮮味ないしな」
それって「飽きた」って言いません?
「徒歩だし、歩兵部隊名乗っても良いよな…『ファルーン重装歩兵部隊』とか…。いやいや、最前線に立つ『帝都最終防衛ライン』やクレアムーンに侵攻する『ガイ・アヴェリ占領部隊』ってのも棄て難いな……」
………その名前は「味方が混乱するからやめろ」と言われてませんでしたっけ?
「ねぇねぇ」
クイクイとグレイアスの袖をリルルが引っ張る。
「どうした? チョコパフェは昨日奢っただろ?」
「そうじゃなくて。ボク、良い名前考えたんだ♪」
「ほう。どんなのだ?」
「ボクの名前を取ってね、『リルルちゃん親衛隊』♪」
一拍の静寂を置いて、グレイアスの叫びが響き渡った。
「却下だあああぁぁぁぁぁぁっっっっっ〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
〜1時間後〜
「将軍、この名前って……」
記入の終わった用紙を見て、伝令兵が言葉を詰まらせた。
「…大鎌の暴力に屈した…それだけだ。………今はそれ以上聞くな………」
身体のあちこちに包帯を巻いたグレイアスは悲痛な表情で首を振った…。
……リルルに脅されたんだね………
帝国第8部隊『ファルタス騎兵師団』改め『リルル親衛隊』
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「………す、すぐに改名してやる………」
「(くすくすくす……………)」
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