孤独が故に

グリフォリア

記憶にある一番幼い自分は、何故か今と同じように刀を携えていた。
理由は当然、知らない。
いや、覚えてないだけで本当は理由があるのかもしれないが。
とは言えども、自分の名前さえ知らないのだから、そんな事を覚えてなくても当然と言えば当然なのかもしれない。

『杓羅』

それが私が長年使用してる愛刀の名前。
太刀の根元にそう彫られていたからそう名付けたけど、それが本当にこの刀の銘なのかは定かではない。
でも、この刀の持ってる特性を考えても合ってると思うから変える気はない。
最も、私自身この刀の事はあまり知らない。
誰が打ったのかとか、一体いつ打たれたのかとか。
そう言う類の事は全く知らない。
と言っても、元々そう言う事に興味はないので、大して気にならないけど。
私が知ってる事は、この刀が妖刀と呼ばれている事。
そして、『斬ったモノを燃やす』特性がある事ぐらいだ。
私にとってはそれが重要だった。
『炎を生む力』を持つ私にとって、杓羅を持つ事は結果として自らの能力を高める事に繋がるからだ。
長年使ってきたけど、この刀はどういうわけか折れるどこから刃こぼれさえしなかった。
だから、私は今でもこの刀を使っている。
一体どういう経緯で私の手元にあったのかは解らないけど。
最も、私は大半の事には興味はないのだけれど。

何故なら、私は常に『孤独』だから。

一人であるが為に私は強くなった。
だから何も必要としない、何も求めない、何もいらない。
生きていく為の物などさえあれば良かった。

『家族・友達・恋人』

私には必要ないものであり、私には理解さえできないもの。
他人には興味が全然湧かない。
唯一、私が求める他人は強者。
強き者を倒して私はより強くなる。
私が孤独であるのは、最強を求めるためだから。
『最強の証』を求めるが故に、私は孤独なのだから。
『最強の証』を求めるには孤独でなければならないのだから。
だから、私と常に共にあるのはこの杓羅と私が生み出す炎のみ。

そうして今日も彼女はその冷たき眼差しとは裏腹に熱き炎を操り一人、戦場に立つ。

(2002.12.19)


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