見つめ続けて…

料理長

カルスケートでの激戦は終局を迎えていた。
共闘していた部隊は今やほとんどが、共和国首都に侵入していた。

アームズ率いる帝国第15部隊は、グルス率いる山賊部隊を一蹴した後、
エヴェリーナ部隊も連続で撃墜した後、最後までカルスケートに残留していた。
(色々と嗅ぎ回っていた様ですが………お望みの中枢部に招待したつもりですよ……)
捕獲したエヴェリーナ将軍はすぐに捕虜を受け取りにきた者に明け渡した。
(まぁ……この娘の前で尋問というのも…ねぇ(-_-メ)…)
傍らにいるホタル・ブルーフォースを見やる。


「隊長、これからどうなさいますか?
まだ近辺では帝国第13部隊と共和国第10部隊の戦闘が行われているようですが、援軍に参りますか?」
副官であるバンダムが指差した方を見ると、確かにこの地で最後と思われる戦闘が行われている様だ。
バーネット将軍か…。

「やめておこう。我々の無粋な真似なぞいらないだろう。」
「では……」
    :
    :
この大陸に来てから、八年間。
(潮時ですね…)
そろそろ、時代が大きく動く。
八年前、自分がこの地に来た日に見たのと…同じ病。
彼女同様、もう長くは無いはずだ。

見守る選択肢もある。
だがこの八年、そして今回の戦争で帝国将軍達の強さは十分に受け止めた。
(彼らなら……軽々と乗り越えそうですね…)

いまだ剣と剣の火花の残り香が立ち込める戦場を一瞥する。
(長居しすぎましたかね…)
長年の眠りから覚ました『相棒』に弾を装填し、バンダムに振り向いた。
    :
    :
「あぁ。このまま前進。これより帝国第15部隊クッキング。
共和国首都、城塞都市ガイ・アヴェリへ侵攻する。」

(さぁ、最後にほんの少し…この地の歴史に、隠し味を添えさせていただきますよ…)

(2002.11.29)


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