手紙…そしてお萩
イリス・ザッカリン
帝国と帝国領レヴァイアによる混成部隊「Blood Black」 その部隊の指揮官であるイリス・ザッカリンは一通の手紙を書いていた。 送り先はレヴァイアのとある町…宛名には彼女の息子の名が書かれている。 息子の名前はオード・ザッカリン、イリスが20歳の時の子供である。 元同僚の夫は既に他界しており、今はイリスの叔父の元で暮らしている。
「ふぅ……」 ある程度書いたところで、少し休憩を入れる。 「………」 無言のまま、以前自分宛に送られてきた一通の手紙を見る。 それは我が子からの物であり、中には何気ない日常のことが書かれている。 ただ、最後に「死なないで」の一言があった。 (死ぬわけにはいきません…たとえどんな目にあっても、生きて帰ります……)
そこへ、なにやら荷物を抱えた兵士がやってくる。 「イリス将軍、叢雲将軍よりお届け物です」 「叢雲さんから…?わかりました、そこに置いておいて下さい」
しばらく後、子供への手紙を書き終えたイリスは先ほど届けられた荷物を見た。 「一体なんでしょうか…?」 送られてきた物を見てみると、そこには大量のお萩があった。 「これは…お萩ですね……」 一つ食べてみましょう…そう思って、お萩を一つ口に運ぶ。
「…………………………」 (オード…ごめんね…お母さん……今死ぬかもしれない…)
数時間後、報告に来たキリカが倒れているイリスを発見。 そのままイリスは丸二日間目を覚まさなかったため、その間の部隊運営はキリカに任された。
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