出陣前

アザゼル+鴉

今日の空は綺麗な青空だった。
「飛鳥、どうだ? ここが戦場、ここが本番だ」
後ろから鴉さんが声をかけてくれる。
何時も着ているスーツ姿では無く、立派に戦場に出る人の姿だった。
「やっぱり......緊張ます〜( ̄〜 ̄;)」
「ものは慣れようだ。........全く.....俺と同じ歳で初の戦場に出るとはな」
「え?」
「俺は13の時に初めて戦場に出た。まぁ、初めてだから右も左も解からなかった。だが、仲間がちゃんと道標を教えてくれたからここまで生きて来れた。お前も俺がそうしてやる」
何時にも増しての真剣な表情の鴉さん......
「お願いします。『先輩』(^^)」
「それは違うだろうが」
「な〜に言ってるんだろ? 私」
「・・・・・・・・・別に言いたい事があるならハッキリ言え」
「・・・・・・正直......恐いです」
私は泣き言の様に鴉さんに言った。
自分はちゃんと足手まといならないか?
自分はちゃんと戦えるのだろうか?
自分は死ぬのだろうか?
自分は..........
「全く同じだ」
「ほえ?」
淡々と述べていた言葉を差し置いて鴉さんが言った。
「全く同じなんだよ。言っている事がな」
「・・・・・・・」
私は鴉さんの言葉に耳を傾けた。
初めて戦場に出て戦場の先輩に私が言った同じ悩みを打ち明けた事。
今だから言える本当に知った恐怖。
何時も怯えていて死の恐怖と隣り合わせで生きていた事。
・・・・・・聞いていたら自分の悩みが小さいような気がした。
「その顔を忘れるなよ」
「え?」
鴉さんが私の頭を撫でて部隊が待機している所に戻った。
今になった解かったけど私は笑っていた。
不思議と笑っていたのだ。
私は自分の中である決意をした。
負けたくない。
死と言う恐怖に勝つ。
それが私の決意でも有り、クレアムーン第10部隊『深淵の一刀』の副将、“飛鳥将軍”の決意でもあった。

(2002.09.18)


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