リュッカ前線

アザゼル+鴉

男が1人黙って報告を聴き入れる。
隣りに居る女性が対応をしている。
「取り敢えず以上です。よろしくお願いします」
兵士達が去る。
「・・・・・・・・正直、如何思う?」
男がようやく口を開いて女性に尋ねる。
「正直、言いたくは有りませんが我部隊の壊滅は堅いと思います.....」
「・・・・・・そうか」
女性の名は冴崎ひかる。
この男の側近だろう。巫女衣装を着、目より少し大きい眼鏡をしている。
男が空を見上げる。曇っているのか晴れているのか解からない夜空だった。
「鴉将軍.......今、何を考えているのですか?」
鴉はひかるの問いに黙りこむ。
ひかるは幼少の頃から戦術に興味を示し、巫女でありながらも軍法を学んだ。今でも勉強中のこと。
CALCM教官の士官学校の卒業生で鴉の先輩に当たる。
深淵の一刀に就任が決まった時は夜を明かすまで泣いたそうだ。
そして、後輩に当たる鴉がその指揮官と言う事を知ったの時は思わず笑った。
だが、今はそんな事は考える暇すらない。
リュッカの前線に帝国の補給部隊が現れ阻止するべくクレアの部隊が防衛網を開いた。
しかし、鴉の部隊は瀕死の状態の追い遣られた。
鴉曰く、自分のミス。だそうだ......
ひかるはそんな事は無いと言うが鴉は譲らなかった。子供の頃から自分の納得行かない事はとことん反論するひかるであったが鴉の態度には負けた。
鴉はまだ夜空を見上げ黙り込んでいる。
「永倉光成将軍......知っていますか?」
鴉の口調が変わり、ひかるに尋ねた。
「知っていますが.......」
ひかるは変わらずそのまま。
「前に光成さんの所に紹介状を書きました。無論、ひかるさんのです」
「・・・・・・如何してですか?」
「光成さんの所で戦術などを学んで欲しいからです」
「ですが.....」
「貴方にここは相応しくは無いと思い書いたのでは有りません。ただ、学んで欲しいからです」
「・・・・・・」
「今すぐにシチルへ向かっていただけ無いでしょうか?」
「まさか、この状況を予測して!?」
「光成さんから受け入れは貰ってます」
「ですが!」
「これは上官命令です。今すぐにシチルへ向かい、光成将軍の部隊と合流をしてください」
「・・・・・・・」
ひかるは深淵の一刀に就任してまだ日はそれほど経っていなかった。だが、兵士共々敬愛され、ひかるは終るまでここから去らない決心をしていた。
だが、鴉は去れと言って居ると同じだった。
ひかるにとってまだ去りたくは無かった。
しかし、再び帝国の部隊に攻撃をされると深淵の一刀は壊滅するだろう。
ただの偶然。偶然にも行くんだ。ひかるは涙を堪え光成の部隊へ向かう事にした。
「鴉将軍。死なないで下さい」
「私はまだ死ねません」
残り僅かな兵士達に見送られひかるはシチルへ向かった。
鴉の昔の知り合いと言う人達がひかるの護衛に回った。無論、組織の部隊である。
ひかるがシチルに入ったと同時に深淵の一刀の壊滅と鴉の負傷の一報が届いたのは言うまでもない。

後書き
光成PLさんから許可をちゃんと頂いております。
悔しい〜!w(涙)


(2002.09.30)


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