自分への戒め
アザゼル+鴉
ある日の夜。
鴉はパンドラを呼び出した。
自分に対しての大切な事で.....
「か〜らす。呼びましたか〜?」
「ああ、呼んだ」
今宵は雲無き星空。
「何ですか?急に呼び出したりなんかして.....」
「ちょっと.....な」
土手で腰掛けながら星空を見続けている鴉。
パンドラも一息付いて座る。
「・・・・・綺麗ですね〜」
「ああ、綺麗だ......」
沈黙する両者.......
「あのな.....パンドラ」
鴉が急に語り掛ける。
「はい?」
鴉が次の言葉を発する前にパンドラが...
「今は、氷月ですよ。・・・・・・・・・・・・まあ、あなたにとっては大した差では無いでしょうが」
「あん? 昔の名前か?」
「まあ......そんな所です。続きをどうぞ」
パンドラ基氷月.....まあ鴉にとってはあまり変わらないが。話の続きを聞く。
「あれからしばらくして考えた。色々な.....」
「何を.....ですか?」
「自分と向き合う事に付いてだ.....」
パンドラはそれを聞いて理解した。
自分、つまりリヴァイアサンと向き合って....と言う事なのだろうと。
「あれじゃあ俺が逃げていると同じだ」
「鴉さんは鴉さんで逃げていませんよ」
「いや、逃げている.....自分、鴉と言う存在が消えるのが恐くて逃げたんだ.....」
パンドラは鴉の言葉の一つ一つを聞き逃さず聞き入る。
「なるべくリヴァイアサンと言う自分から離れようと思ってあの仮面をお前に渡した。けど、結局は戒神が残っていた.....所詮、逃げる事が無理だったんだ」
「それで?」
「一度は死にたいとも思った。けど、それじゃあ約束を破る事になっちまう.....大切な友人との約束を.....だから、俺は自分への戒めとしてあの仮面を....」
「ほれ」
パンドラが何処から出したのか解からないがあの仮面を鴉の前に差し出した。
「んでもってぇ!」
「ぐぉ!」
パンドラの右ストレートが鴉の顔にヒットする。
そして追撃のアッパー。
「目は覚めましたか?」
「あ?」
鴉はパンドラの言葉の意味が解からなかった。
「泣き言なんて.....鴉さんには合いませんよ。そんなことを言ってたらカルコムさんにもダナエさんにも皆に笑われちゃいますよ。私は笑う前に殴りますけどね」
鴉は一度目を瞑り、考える........
思わず顔が綻ぶ。
「ありがとな、礼をしてやる」
「ふえ?」
パンドラは鴉の笑顔に呆気を取られてしまった。
「どぉぉぉぉっせい!」
「ふぎゃ!」
鴉の一本背負い。
「ま、礼をちゃんと言うからな。確かに俺には泣き言は似合わんな」
「・・・・・・うりゃ」
パンドラの背後からの奇襲。
「ぐほぉ!」
すかさず鴉も反撃。
そして一夜が過ぎた。
何故か顔に怪我を負っている鴉とふらふらに歩いているパンドラが次の朝に目撃された。
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