満月
アザゼル+鴉
ただ見つめる。 好む酒をあおりながら。 ふと気付く。 口から血が出ている。 少し止まる。 気にせず再び飲む。 「美味い.......」 ただ飲む。 誰かを斬る喜びを抑えたいが為。 其れを知るのは自分だけ。 ただ虚空の満月の夜空を見ながら飲む。 傍らには付き添いとして居る者とともにあおる。 「奴も飲めば落ち着くだろうに......」 古き者のことを思いながら思う。 木々の間から現る月光の美しさ。 何度この下で戦ったことだろう...... 古き事を思いながらあおる。 「美味い......」 ただあおるだけ。 まだ、待つ。 そのほうがよきこと。 一度でも手合せをしたい者が何人も居たが止めた。 今は......大人しくしていよう。 討つべき者を憎みながら。 「・・・・・そう言えばまだ知られてなかったな」 「何がですか?」
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