妹の見舞い

アザゼル+鴉

その日、カイザーに一報があった。
それを聞いたカイザーは焦りと不安が入り混じっていた。
カイザーは意を決し、風華の元へ向かった。
風華は丁度休憩時間で仮眠を取ろうとしていた。
「あ〜姉ちゃん。ちょっとええ?」
「はいですの?」
カイザーは如何なる風に事のを告げようか考えて微妙に焦った。
「あ〜え〜っと.....」
何かあったと思う風華。
そう言えば最近、戦場に出てるとは言えティリシアの姿を見ない。
アザゼルは鴉基リヴァイアサンの所に軍医として居るらしい。
「ティリシアさん.....大丈夫でしょうか?」
「なななななななななんあ!? 何で姉ちゃんそれ知ってるん!?」
「ほえ?」
いきなりカイザーが動揺して『何故それを知っている?』と言う言葉を言ったのに風華は全く心当たりが無かった。
その様子を見てカイザー。
「姉ちゃん.....まさかティリシアさんが入院したこと知らん?」
「え? ティリシアさん入院をしたんですの?」
カイザーは今まで緊張?していた自分に呆れ返った。
「さっきアザゼルさん(お兄さん)の使い魔が来てな、『ティリシア殿は出産が間近だから入院した』って言うたんや」
「なるほど.....だからさっきからそわそわして居たんですか.....」
風華はカイザーが何を言いたいか理解した。
「お見舞いに行ってあげるですの」 「え? でも......」
カイザーは少し嬉しかった。しかし、自分が居ない間に部隊が....そうなるかもしれない。
それを考えれば言うのが惜しかった。
「大丈夫ですの。カイザー君はティリシアさんの側に居てあげてくださいですの」
「ありがとう....姉ちゃん」
カイザーはティリシアが入院している病院へ向かった。
ちなみにアザゼルの使い魔は烏の鵠では無いので。
カイザー君、病院到着。
省略、ティリシアの病室(速っ!) 「あ.....カイザー......」
「見舞いに来たで」
カイザーはハッとした。
ティリシアの腹が膨れている。
改めて自分の子供がティリシアの中に居ると実感したカイザー。
「ありがとう.....綺麗.....」
カイザーが持ってきた花がそれほど嬉しかったのか顔がほころぶ。
「変わったな......」
「え?」
カイザーの言うとおり変わった。
今まで見たティリシアの顔ではない。一人の母親の顔だった。
以前の様な風貌は全く感じられない。それはそれでカイザーの心には何か足りないと感じた。
「カイザー.....」
「ん? 何や」
「浮気はしていないだろうな?」
急に豹変.....いや、母としてもカイザーの妻としても居たのだ。彼女は。
「し、してへんよ!」
急に言われた為かなり動揺をする。
「本当だな?」
睨み付けるティリシア。
「ほんま! ほんま!」
睨み付けられかなり焦りまくるカイザー君。
「ぷっ......」
真顔で睨み付けていたティリシアの顔が微笑む。
「冗談なのに本気にするとは........愉快だ
冗談であの顔せんといてーーーーーーーーー!と叫びたかったが取り合えず抑えた。
「でも.....私は変わっていない。私は私。お前はお前......違うか?」
ティリシアの伸ばした手がカイザーの頬に触れる。
言われてみればそうだ。
ほんと.....自分は馬鹿かもしれないな。
「そやな。元気な子産んでや」
カイザーも顔が笑う。
「うん.....カイザーも元気でね。私を置いていったら許さないからな....」
「解かってるって。自分の子供の顔見んで死ぬんは嫌やからな」
「絶対だからな......それと」
「それと?」
「浮気したら呪ってやる」
「うっ!」


「絶対尻にしかれるタイプだな。あいつは」
リヴァイアサンはまだ少し残っている酒を飲みながら思う。

(2002.11.30)


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