深淵の一刀の終わり
アザゼル+鴉
「もう.....御免だ」
彼はそう呟いた。
私は彼に付いて来た。
勿論、現在の深淵の一刀に配属されるまでは影ながら支えてきた。
だが、彼は心底疲れ果てていた。
「静亞........」
「分かりました」
彼の言いたいことは大体分かった。
私は待機している兵士達のもとへ向かい、集めた。
私はあえて『鴉将軍が用がある』と伝えた。
「リヴァ...いや、鴉将軍。一体何の用で?」
彼らの代理が自分達の前に居る『鴉』将軍へ問う。
「俺は......疲れたよ.....」
「何に.....ですか?」
私は彼の言いたいことが痛いほど分かった。
今思う。
あの時、彼と会ってなければ......こんな...苦しい気持ちにはならなかっただろう。
「人間の血.....人間の亡骸を見るのにだ.....」
彼はいたって無表情....とは言い切れない。
「ずっと...嫌と言うほど俺は戦場で戦ってきた。その度に血を浴び、亡骸の上に立った....」
彼の言の葉に耳を傾ける兵士達。
「俺から最後の命令だ」
誰も声を出さなかった。
彼らも分かったんだろう。彼が....鴉(指揮官)が何を言いたいか。
「各位へ告ぐ。各将軍の部隊へ向かえ。俺はここ(戦場)から去る......それじゃあな.....」
彼はそれを告げて愛馬、黒紅雷に乗り姿を消した。
軍医として来ていたグリード・アザゼルも消えていた。
そして.....深淵の一刀はここで消えた。
私も....戦場から姿を消した。
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