闇医者の後

アザゼル+鴉

「潮時のご様子......」
白衣を着、その下にスーツを着ている黒いヤギの仮面を付けた長身の男の肩に一羽の梟が止まっていた。
「彼も覚悟を決めて下した決断。我には反の論を述べるすべは無いのだ」
梟は男の言の葉を聞き入れるのみ。
「赤竜の因縁を見守るのみ.....それだけなのでしょうか?」
梟が問う。
「彼から声が来れば行くまで。其れだけ」
男、アザゼルは妹が出産したことはちゃんと耳に入っている。
だが、行ったら行ったで何を言われるか大方予想は出来た。
「良いのですか?」
梟がアザゼルに問う。
「煙たがられるのは十分承知、仕方がありませんよ」
「暫く....何処へ行きますか?どこでもお供致しますよ」
梟、和逗深が主である闇医者に問う。
「一度....ハルバート辺りまで行きますか.....あそこ辺りには良い調合薬が見つかりそうですからね」
「その後のことは言わずとも周知してます。それでは......」
長年、付き合ってきたのだ。何を言いたいか十分解かる。
和逗深はクレアの夜空を舞った。
「流石.....何を言いたいか解かってる」
アザゼルは和逗深に背を向ける形でハルバートへ向かった。
翌日。
かなりの距離を歩いた....いや走った。
アザゼルは国境の検問を裏道で免れ、ハルバートの街中を走っていた。
あの後和逗深が戻ってきて前、ハルバートに居た鳩達から『滅多に手に入らない調合薬を見た』と伝えに来た。
しかもそれを売っている店が以前アザゼルが買いに言った時『売ってない』と言っていたのが別の人物に売っていたのだ。
ある意味怨念絡みなのだ(ぉ
「あの店主.....必ず勝って(買って)やるぞ......」
常人には無い只ならぬ殺気(?)を放ちつつその店へ行く。
その店に近付くにつれ、冷静さを取り戻しいざ、出陣!(ぉぃ
「たのもー!(ぇ」
「あん?」
いかにもあくどい雰囲気を出している店主が現れた。
良かった。世代交代はしていないようだ。
「つい最近、滅多に手に入らない調合薬がここに入ったとの情報入手。故に譲っていただきたい」
胸をはり、言うアザゼル。
「ねえ」
即答。
アザゼルに精神ダメージ100!(何か変になっていますが気にしないで下さい(笑い) 「(中々やるな.....)」 「(まだ粘る気か....前よりレベルが上がっているようだ。ちぃとこいつは手強そうだ)」 店主に精神ダメージ50。
店の前では只ならぬ雰囲気が出ており、客が全く寄らない。
「其処に何時までも居られると営業妨害で訴えるぞ?」
アザゼルに精神ダメージ240!
「(ぐっ......そうきたか.....なら!)」
「(どんな手で来ても俺は平気だぜ!)」
余裕な店主にアザゼルの攻撃!
「以前、来た時同じものを頼んだら『無い』と仰いましたよね? ですが他のお客に売っていたのは何故なんでしょうかねぇ?」
店主にクリティカルヒット!ダメージ500!
「(何ぃーーーー!? まだ覚えていたのかっ! だ、だがそれはぁ!)」
店主が動揺し、言う前にアザゼルが.....
「私が変な格好をしているからですか? しかし、私は『客』です!」
店主の急所に当たった! そしてクリティカルヒット! ダメージ1000!
「ぐはああああああ!」
店主KO! 勝者、アザゼル!
(何の戦いだよ.....(笑い)
「ふ.....負けだ.....好きなだけ持っていきな....ちなみに只だぜ....そして俺を負かしたのはあんたが初めてだ(がく)」
「きょ....強敵だった.....」
そう言いながらもアザゼルはちゃっかりと残り全部を頂いたとさ。



「結局アザゼルさんきいひんかったなあ」
暫く風華に特別休暇を貰ったカイザーはアザゼルの診療所で難とか働いているティリシアの元に来ていた。
「別にいいわよ。くそ医者がこなくっても」
ティリシアがぐっすりと眠った我が子、ティリアとカイを寝かせる。
「けどなあ.....」
「けど.....」
ティリシアは二人の我が子の顔を見ながら悲しげな表情になる。
「くそ医者なら来るかと思ったんだけどな.....ちょっと残念.....」
「・・・・・・・・ま、何時か来るんちゃう?」
「そうだね」

(2002.12.04)


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