残った者
ONE
何故......自分が......
本来ならば自分が先に逝かねばならぬのに.....
・・・・・・・・・何故、何故なんだ......
ザ――――――――――――――――
降りしきる雨の中、一人の人影が雨の中、雨具を付けず雨の落ちる先を見つめていた。
別に誰かを待っている訳ではない。
ただ何となく、何となくで.......居る。
目蓋閉じずに見つめる先に何があるだろうか?
その人影にしか見えない世界だろうか?それともただ偶然的に見ているのだろうか?
それはその人影にしか解からない。
体中、無数の雨に打ちひしがれ体は冷たくなってゆく。
だが今のその人影には感覚が無い。
自分の体がとても冷たくなっているのには解からない。
何かに集中して解からないのでは?
否、人影はただ立っているだけ。
立って雨雲(そら)を見ているだけ。
では、何かを集中的に思っているのだろうか?
否....とは言い難い。
可能性としては全く無いと言えないからである。
むしろ一番考えられるからである。
「・・・・・・・・・・・・」
その人影は何も言わない。
次第に雨雲(そら)が退き、人々が外を歩ける状態へとなって行く。
ザ―――――――――――――
だが、一部はまだ降り続ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
人影はゆっくりと視界を低くし、足を動かし始めた。
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