夢枕

コマ・スペルンギルド

クレアムーンのエアード・ブルーマスター将軍の死亡が報じられたその日。
気がつくと僕―コマ・スペルンギルド―は何故か・・・雲の中にいた。
地面は見渡す限り白い雲、そしてその他の風景は真っ黒の見事なまでに白黒の世界。

「ここは・・・?」

辺りを見回し呟く。
何もない。
音もない。
当然誰かがいるわけもない。

と思ったのだが。

「よぅ」
「ぬおおッ!?Σ( ̄□ ̄;;;」

いきなり背後から声をかけられ、僕は悲鳴を上げる。
慌てて振り返ると、そこにいたのは今日死亡を聞かされたはずのエアード兄さん。

「エエエエエエ、エア、エア・・・!?」
「ええい、指を指すな」

慌てふためく僕を他所に、エアード兄さんはいつもと変わらぬ調子を崩さない。
僕は目をこすってエアード兄さんの足元を確認する。
足は・・・ある。どうやら幽霊ではないらしい。

「エ・・・、エアード兄さん・・・。アータ死んだんじゃ・・・」
「ん? まぁ、細かい事は気にするな」
「そ、そうッスか・・・。それで、一体何しに化けて出てきたんスか・・・」
「化けて出たとは人聞きの悪い奴だな。
 まぁ、お前にちょっと渡しておく物があったのを思い出してな」
「えっ???」

そこまで言って、今度はエアード兄さんが僕を指差しながら叫んだ。

「お前に俺の女難の称号をくれてやろうッ(爆)!」
「何ーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
「喜べ、お前を女難継承者と認めたって事だからな(笑)」
「待て待て待て! 僕のどこが女難だとッ!?」
「うるさい、女が関わった事で大変な目に会えば、それはもう女難なのだ(爆)!」

・・・ぽむっ(コラ)

「って、それ言ったら僕なんかエアード兄さんには全然敵わんッスよ!?」
「ええぃ! やかましい! 俺は死んでも治らなかったんだから
 しょうがないじゃないかッ(涙)! 女難で悪いかッ(号泣)!!」
「いや、泣かなくても・・・(^^;;;」
「まぁとにかく、そういうわけで女難の称号はお前のモンだっ♪」
「いらねぇッスよッ(悲鳴)! つかなんで僕なんだ!
 んなもんリボンかなんかで包装して神城さんにでも譲るよッ(汗)!」
「いや、刹那は要らないそうだから」
「もう行ってきたんかい(爆)!?」
「まぁ、女難の押し付け合いに負けたと思って観念しろ(笑)」
「アホですか!? んなもん納得出来るか(爆)!」

息をもつかせぬ攻防(違)を繰り広げる二人。

「ってエアード兄さん・・・なんかキャラ変わってませんか・・・?」
「ん? そうか?」
「帝国に捕まって誰かさんとしっぽりしてたせいなんでしょ・・・(爆)」
「Σ( ̄□ ̄;;; い、いやアレは違うんだ・・・。不可抗力なんだ・・・。
 いやお前には悪いと思ってる、不可抗力とはいえメイリィの裸まで見ちまって・・・(しどろもどろ)」
「何!! メイリィさんの裸を見ただとうッッッッ!?」
「あーッ!? お前ハメたなッ!?」
「チクショウ、カマかけたらとんでもない事実が発覚しやがったッ(号泣)!!
 僕を差し置いて・・・僕を差し置いてぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッッ!!!!!(T□T)ノシノシ」
「そこが問題かッ!?Σ( ̄□ ̄;;;」
「ううっ・・・、絶対メイリィさんとベストエンディング(?)を迎えてやるぅ・・・。(;;)」
「無理に一票(爆)。っていうか、女難に一票(何)」
「ギャー!」
「って、俺そろそろ時間なんだが」
「何の時間スか何の」
「ええぃ! いい加減グダグダ言うのは飽きた!
 『女難になるなら早くしろ、でなければ帰れ!』(爆)」
「Σ('Д ̄;;;;;;;;;;;;;;」
「『どうした?』」
「『なります! ボクがなります!!』(爆死)」
「なるのか・・・(笑)。『おめでとう(エ○ァ風味)』」
「『女難にされちゃった・・・女難にされちゃったよ・・・加持さん・・・。(TT)』(誰)」

ガックリとうなだれる僕を尻目に、エアード兄さんはケタケタと笑う。

「まぁ、せいぜい頑張ってくれ(笑)。
 おっと、そろそろ本気でヤバイ。じゃあ、俺は行くな。
 『コマよ、女難を克服するまで死んではならんぞ〜(爆)』」
「何だそのどっかの師匠みたいな口調はッ!?
 つか待ってくれよ、あんなもんノリに決まってるやん(汗)!!!」
「あっはっは、じゃーなぁ〜(笑)」
「待ってくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」




「・・・・・・・・・・ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・え?」

右手を突き出したまま飛び起きた僕の視界には、見慣れた天井が映った。
ここは・・・自分の陣の天幕の中・・・?

「ゆっ・・・夢か・・・」

ポツリと呟く。
そういえば、少し休むと言って仮眠を取っていたんだった。
ふと、体中にイヤな汗が吹き出している事に気付く。
そんなに女難継承者(謎)にされるのはイヤだったのか・・・。

「そ、そうだよなー! 女難なんか受け継がされてたまるかってんだ! あっはっは(汗)!」

半ばヤケクソ気味に言い放つ。
それにしてもエアード兄さんも人が悪い。
死んでからいきなり夢枕に立つなんて。
しかも用件がアレだとは。
もうちょっとマシな用で来てもらいたいものだ。
全く、これだから女難の人は(謎)。
ブツブツと独り言を言う僕。
と。

「・・・」
「ぬおおッ!? す、鈴峰さんッ!?」

冷たい視線を感じてその方を見やると、副官の鈴峰玲香さんが天幕の入り口に立っているのが確認できた。
どうやらわざわざ身の回りの物を持ってきてくれたようだが、
そのせいでさっきまでのアヤシイ独り言を思いっきり聞かれてしまったらしい。

「あっ、ちょっ、ちが、違うんです! これは! そのえっと!
 ちょっと鈴峰さん? 何で後ずさりなんかするんですか・・・?
 れーせーに話し合いましょうよ、れーせーにね・・・? ね・・・?
 あー待って! 逃げないでぇ! 僕は・・・違うんだぁぁぁあああ!!!!」

僕の静止の言葉も聞かず、鈴峰さんは脱兎の如く逃げ出した。
こんな時まで無口なのがあの人らしい・・・ってそんな事はどうでもよくて。

「待て。待ってくれ。これはエアード兄さんの陰謀だ(爆)。
 ・・・ハッ!?こ、これもまさか、女難ゆえ、なのかぁ!?」


アタリ(爆)。

(2002.10.21)


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