美雪と風華のお泊り
神那 美雪
「♪♪♪〜」
美雪の部屋から明るい鼻歌が聞こえてくる。
「えっと・・・ここはこんな感じで・・・あっ姉様は明るい色が好みかしら?」
一生懸命部屋の模様替えをする美雪・・・そこにノックがきこえる。
「はい・・・どうぞ」
開かれたふすまから入ってきた人物・・・美雪よりやや身長が低いものの大人びた顔立ちの美しい巫女・・・美雪の副官である村雲である。
「ご苦労様です、村雲さん(ニッコリ)」
美雪は村雲に台にひく布(今のテーブルクロス)を持ってきてもらっていた。
「美雪様、一応言われたものを持ってきましたが・・・本当にお一人で大丈夫ですか?」
不意に村雲が尋ねた、その真相が理解できず美雪は「ほえっ?」とした顔になっている。
その顔を見て村雲は微笑みながら話す。
「いや・・・先日お化けをお部屋で見られたとかで・・・寝るときも私と、夜のトイレも一緒にですし・・・特に料理・・・」
「大丈夫です!(赤面) みっ・・・美雪ももう数えで16ですぅ。もう大人ですぅ!(強調) おっお化けなんていないですぅ!(自棄)・・・」
半分やけくそ半分ベソをカキながら反論するも今一説得力に欠ける。
しかし、長く美雪のそばにいた村雲にとって美雪の次に言いたい事は手に取るようにわかる。
「だって・・・」
「「風華姉様がいらっしゃるもん!!」」(見事なハモリ)
「・・・村雲さん・・・よくわかりましたね(汗)」
「ええ・・・美雪様と永く一緒ですから・・・(ニッコリ)」
そうこうしているうちにまたふすまがノックされる。
「美雪さん・・・来ましたの!」
とびっきりの笑顔で風華が入ってくる。
「風華姉様ぁ!(猛ダッシュ抱きつき)」
突然抱きつかれ風華も腰をついてしまう。
「美雪様・・・大人の女性でしょ・・・もう少しおしとやかにならないと・・・」
その光景につい突っ込んでしまう村雲。
「美雪様・・・流石に猛ダッシュ抱きつきは近距離からは・・・(激汗)」
風華も流石に痛い様子。
「ごめんなさい・・・姉様・・・けどうれしかったからつい・・・」
「いいんですの・・・私もうれしいですの・・・けど美雪さんダッシュまでにしててくれると助かりますの・・・全力で来られると(苦笑)」
落ち込んだ美雪の頭を撫でながら優しい口調で風華は答えた。
「では・・・風華様・・・美雪様をよろしくお願いいたします。・・・」
出て行こうとした村雲はハッと気づいたように戻ってきて風華に耳打ちする。
「・・・大変でしょうけどがんばってください・・・」
風華は理解したらしく笑顔で頷き、美雪は再び『ほえっ』とした顔で呆然と村雲を見送った。
そして時間はすぎ夕食の時間になった。
美雪は先日風華の部屋で教えてもらった料理を見事に仕上げ、風華から賞賛を受けた。
お返しにと風華も魚料理を作っては美雪から「姉様ぁ作り方を教えて〜」とせがまれていた。
夕食も食べ終え・・・入浴。
「わぁい!姉様と一緒です〜(ハート)」
「美雪さん・・・お風呂で走り回るとこけますよ」
お姉さんというか・・・母親のようなことを言いながら浴槽につかる。
「ああっ!!」
「どうしたんですの? 美雪さん」
急に美雪が叫び声を上げたので風華もあたりを警戒する。
『帝国の暗殺者? ・・・いやそれとも女性の最大の敵・・・覗きですの?』
あたりを警戒するもそれらしい姿はない・・・。
そして美雪の答えに流石の風華もこけてしまった。
「姉様・・・おっぱい大きいですぅ!(憧れ)」
「みっ美雪さん!(汗) そんな声上げたら外に聞こえますの・・・!(激汗)」
「けど・・・美雪はまだ姉様より小さいですぅ(涙)」
「大丈夫ですの・・・美雪さんもまだ成長しますの!」
風華はちょうどいい大きさの美雪の乳房を軽くもんであげる。
「ああん・・・姉様ぁ」
トロンという表情になる美雪を見て悪戯っぽく話しかける。
「さっき大声を上げたお返しですの」
その後ちょっとのぼせかけた二人は美雪の居室に帰る途中『鼻血ぶ〜』で倒れているコマを見つける・・・。
どうやら美雪の「おっぱい」発言が近くを通っていたコマに聞こえたらしい。
男性の悲しい性である・・・想像してしまいあわれに撃沈・・・の様子。
「大丈夫ですのコマさん?」
「けど姉様・・・コマさん幸せそうな表情です・・・」
「本当ですの・・・このまま違う世界に行かなければいいですの・・・」
「そうですね・・・衛生兵の皆さんに伝えておきましょう・・・」
「きっとまたメイリィさんの想像して果てたんですの・・・」
あわれコマ将軍・・・女難の壁はいつ越えられるのか・・・。
居室に戻り美雪は風華とピッタリくっついて布団に入った。
今まで話さなかったこと・・・過去の辛い話・・・ここまでの経緯・・・すべて荒いさらい風華に話した。
風華も途中ですすり泣く美雪を優しく抱きしめながら話を最後まで聞いた。
「美雪さん・・・どんなに辛いことがあっても過去のことですの・・・忘れることは・・・出来なくてもこれから楽しく生きていくことが両親とお兄様の願いだと思いますの・・・」
「姉様ぁ〜・・・うわぁぁん」
「美雪さん・・・」
「すぅ〜すぅ〜」
美雪が優しい寝息を立てる・・・泣きつかれて寝てしまった様子だ。
「ふふっ・・・美雪さんこれからも私が見守って行きますの・・・」
美雪の額に優しくキスをする。
「むにゃ〜・・・風華姉様ぁ・・・」
「ふふっ・・・おやすみですの・・・かわいい妹さん」
こうして二人は温かい床に就いた・・・。
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