夕食会

神那 美雪

「風華姉様ぁ〜じゃがいもの皮むき終わりましたぁ〜」
いつものように美雪が笑顔で風華に話しかける。
「まぁ・・・美雪さん、上手に出来るようになりましたの!」
「えへへですぅ・・・」
風華に褒められ顔を少し赤らめてはにかむ美雪。
「さぁ・・・今日は大勢の人がいらっしゃいますからね・・・頑張りましょう!」
風華が美雪の髪を優しく撫でる。
「はいですぅ(ガッツ)・・・」
「それに美雪さんのお料理デビューですの(ニコッ)」
「・・・あぅ〜・・・緊張してきましたぁ〜(ガチガチ)」
「ふふっ・・・」
カチカチに固まった美雪を見てまた優しく微笑む風華であった。
この前お菓子デビューを果たした美雪は今回は夕食会としてお料理デビューを果たそうとしていた。
「あっ・・・美雪さん・・・お鍋! こげますよ!」
「ああっ〜(ダッシュ)・・・危なかったですぅ・・・(汗)」

『・・・さて・・・このように人に誘われたのはいつの頃以来だろう・・・』
氷月は正装で美雪の居室の前に来ていた。
以前美雪から『夕食会やりますので・・・是非氷月さんもいらしてください(ニコッ)』と誘われていたのだ。
『神那さ・・・美雪さんの笑顔は断れないな・・・(汗)』
そう考えながら美雪の居室をノックした。
「は〜い・・・今開けますぅ・・・あっ氷月さん・・・いらっしゃいですぅ(ニコニコ)」
扉の向こうには人参を持った美雪と、美雪と同じエプロンをした風華が氷月を出迎えた。
『この二人の・・・未来図か・・・』
二人の姿を見て氷月もなにか温かく安らぐ気持ちになった。
「氷月さん・・・どうぞ中に入ってください」
「あっ・・・神な・・・失敬、美雪さん・・・では失礼します・・・」

「姉様、姉様ぁ・・・煮物完成しましたぁ〜」
「ほんとですの〜・・・(パクッ)ん〜いい味ですの!」
煮物を試食した風華が笑顔で応える。
そこへ・・・。
「美雪さん、風華さん・・・僭越ながら私も一品作ろうと思いまして・・・」
氷月がエプロン姿で入ってきた。
「本当ですか?・・・わぁい・・・楽しみですぅ」
「では氷月さんもお願いしますの。・・・美雪さん、ちょっと横にずれましょう」
「はいですぅ・・・」

「なぁ・・・カイザー・・・本当に行くのか・・・」
「当たり前や・・・姉ちゃんと、美雪さんの誘いやで・・・ティリシアさんも世話になったやろ?」
「・・・だけど・・・この格好は・・・」
「何や、姉ちゃんがティシリアさんにって・・・似合ってるぜ・・・」
「かぁぁぁっ(赤面)・・・」
ちなみにティシリアの格好は以前カイザーに告白した時のように、風華の白のロングスカートと白のセーター、赤のリボンが可愛らしく頭に飾られていた。
「美雪さん、姉ちゃん、来たぜ」
「おいっ・・・カイザー(赤面)」
ティシリアの抗議も虚しく美雪と風華がドアを開けた。
「あっ・・・いらっしゃいですぅ・・・きゃぁティリシアさん可愛いですぅ(ハート)」
「(赤面)」
「本当ですの! よく似合っていますの!」
「(超赤面)」
「まぁまぁ・・・姉ちゃんも美雪さんも、ティリシアさんをいじめんといてや」
「カイザー〜・・・実験に付き合えよ〜(未だ赤面)」
そんな二人の姿に美雪と風華は顔を見合わせ微笑んだ。
「お二人とも中にはいるですぅ」

「いやぁ・・・遅くなってしまいまスた」
コマが皆より遅れて美雪の居室に着いた。
「美雪さん・・・コマですよ」
「あっ・・・コマさん・・・(汗)」
「どうしましたか・・・美雪さ・・・(汗)」
「???・・・どうしましたか?」
「・・・いえっ・・・まともな格好していますので・・・ねぇ美雪さん」
「ふぇっ・・・怖いよぉ・・・(涙)」
「何故泣く!Σ('Д ̄;;;;;;;」
「コマさんが・・・まともだから・・・ほら美雪さん泣かないですの・・・」
「ひっく・・・姉様ぁ・・・(抱きっ)」 「よしよし・・・」
まともな格好でも美雪に泣かれるコマさんって・・・

「さぁ皆さんお待たせしましたぁ」
「ほとんどの料理を美雪さんが作ったですの!」
美雪と風華が料理を持ってきた。
煮物・・・焼き魚・・・果物の盛り合わせ・・・それに混ぜご飯。
色とりどりの料理が並ぶ。
「これは氷月さんが作ったですぅ」
「いやぁ・・・以前ある人に教わったものでしてね・・・」
鶏を丸々一匹使った料理が付け加えて並ぶ。
「では・・・全部揃ったところで食べるですぅ」

「美味しいですよ・・・美雪さん」
煮物を食べながら氷月が応える。
「まじで美味いで・・・なぁティシリアさん」
「ふん・・・このくらい私も・・・」
カイザーとティシリアも応える。
「うーむ、こりゃウメェ!」

コマはあれこれと食べつくしている。
「よかったですの美雪さん・・・大成功ですの!」
「ふぇぇん・・・姉様ぁ・・・」

料理も大半を食べつくしたところでコマがあるものを取り出した。
「やっぱ宴会にはこれっしょ♪」
どんとビンを取り出す。
「何ですの・・・これは・・・?」
風華が不思議そうにビンを見る。
「さぁ・・・飲んでからのお楽しみ・・・」
皆のグラスに液体を注ぐ。
「では・・・美雪さんの成功に乾杯・・・」
それぞれが口に液体をふくむ・・・そこで風華が声を上げた。
「美雪さん! 飲んじゃ駄目ですの!!!」
「ほえっ・・・クラクラするですぅ・・・ハフゥ(赤面)」 美雪が顔を赤らめる・・・目は虚ろだ。
「コマさん! お酒じゃないですか!」
「いやー、はっはっは。宴会なんだしいいじゃねぇッスか(笑)」
「美雪・・・脱ぎまぁすぅ・・・」
いきなり立ち上がり上着を脱ごうとする美雪。
「駄目ですの! 美雪さん!」
「ほえっ・・・姉様ぁん・・・姉様も脱ぐですぅ・・・」
美雪が風華の袴に手を伸ばす。
下着がチラチラ見えそれに呼応してカイザーが鼻血を噴出させる。
それに対抗してティリシアも上着を脱ごうとする。
「ぐわっ・・・ティリシアさん・・・タンマタンマ」
「カイザー・・・私のを見て(ちょっと赤面)」
一方
「いやぁ・・・美女の交わりと男女の交わり・・・ぐはっ」
コマは氷月の一撃により気絶・・・。
「姉様ぁ・・・」
「美雪さん・・・落ち着くですぅ・・・皆さんが見てますの!」
「では・・・風華さん・・・私はコマ殿を連れて帰ります・・・ごゆっくり・・・」
「へっ!? 氷月さん! ・・・ごゆっくりってなんですの?」
「姉様ぁ・・・姉様の胸ですぅ・・・(トロン)」 「ティリシアさん俺らもココを出るでぇ」
「あん・・・カイザー・・・続きはお部屋で・・・ってことでお姉さまはこのまま美雪さんのお部屋で楽しみな!」
「ちょっ、カー君・・・ティリシアさん・・・!」
「姉様ぁ・・・」
「美雪さん・・・そんなとこ・・・ダメ・・・ですのぉ」
この夜、美雪の酔いが醒める事はなかったという・・・。

(2002.11.13)


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