閑話休題?

朝霧 水菜

その日、ラグライナ帝国の訓練場には約2000人の帝国兵が集まっていた。
その誰もが皆、緊張した面持ちでじっ、と正座して整列している様は、
何ともいえない張り詰めた空気を感じさせる。
実際、慣れない者がその場に居合わせたら、失神してしまいかねない。

そして、一同の視線を集めて、前に正座する少女が居た。
この部隊は彼女を指揮官として、これから戦地へと赴くのだ。
加えて、彼女が先日のルーデル将軍との模擬戦で互角に戦った事は、
兵士達の間ではかなりの有名な話になっていた。
果たして、その将軍が自分達にどのような命題を課すのか。
これから始まるであろう、厳しい命題を覚悟し、息を飲む気配が伝わる。

やがて、少女の手が脇の湯のみへと伸び、
手馴れた手つきで淹れられていたお茶をズズッ、と啜る音が響いた。
湯のみから口を離し、至福の表情を見せながら、その唇が開かれる。
「ああ、平和ですねぇ・・・」
―ドシャアアアアンッ・・・
のほほんとした表情で呟く水菜に、
集まっていた兵士達がまるで操り人形のごとく、一斉に突っ伏す。
「あれ・・・皆さん、どうかしたんですか?」
「どうしてそうなるんですか、水菜様っ!!」
不思議そうに周りを見やる水菜に、
こけていた兵士の中からメイリィが立ち上がり、叫ぶ。
帝国軍第7部隊「紅月夜」の面々も、彼女の言葉に頷いている。
「緊張するのは戦場だけでいいんですよ。
 今は思う存分、リラックスしていてください・・・」
そう言って再びお茶を啜る水菜に、やはり、緊張は縁遠いらしかった・・・

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ノリSSその1。
何だか、最近、こんな感じのSSがなかったのでw


(2002.09.17)


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