酒乱騒動記

御剣 叢雲

叢雲は珍しく本を読んでいた。
「ふんふん…『猛将として名を馳せた彼はまた酒豪としても知られており』…か」
どうやら歴史上の武将に関する人物辞典のようなものらしい。
「こっちの人は『酒を飲むと人が変わったように攻撃的になることから敵味方問わずに恐れられていた』…なんかお酒絡んでる人ばっかり…」
ぱらぱらとページをめくりながら叢雲は何かを考えているようだった。
「凄い武将になりたかったらお酒飲めるようにしないと…」

酒を買ってきた叢雲は早速その栓を抜いた。
叢雲の前には日本酒と果実酒とウィスキーがそれぞれ一本ずつ並んでいる。
その全ての栓をあけた叢雲は桃の絵がラベルに印刷された果実酒に手を伸ばした。
「あ、桃の匂いしてる……」
果実酒をグラスに注ぐと桃の甘い香りが部屋中に広がる。
「……あ、結構甘いしおいしい…」
そのままグラスを空にしてしまうと次に日本酒に手を伸ばし
「ん〜…コレもおいし〜」
早くも朱のさした顔でどこか危なげにふらふらとしながら日本酒を飲んでいく叢雲。
ウィスキーを一気に呷るのだが、既に酔いすぎているのか軽く咳き込んだぐらいで飲むことをやめようとしない。
叢雲はしばらくそのまま一人で酒を飲んでいた。

「ん〜…なんかあつい〜」
ぱたぱたとうちわで自分を扇ぎながら酒を飲んでいた叢雲は突然その服を脱ぎだした。
「ふぃ〜…」
襦袢一枚だけと言う格好になった叢雲はまったく気にすることなく一人の酒盛りを再開した。

叢雲が一人で買ってきた酒の半分近くを飲み干したころ、突然彼女の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「ふぁ〜い…開いてるんでど〜ぞ〜…」
「あの…お茶でも一緒に…ってなんて格好してるんですか!?」
戸をあけて入ってきたのは私兵軍の参謀を勤めるイリス・ザッカリンだった。
「ちょ、ちょっと叢く…きゃぁっ」
部屋の中で襦袢一枚だけを引っ掛けた格好の叢雲を見て驚いているイリスの腕を叢雲は強引に引っ張って部屋の中へとつれてきた。
叢雲の突然の行動に驚くイリスだが、叢雲はお構い無しにイリスをベッドまで連れて行った。
「ちょっとここで待っててもらえますかぁ〜」
「え、あ…はい…」
そう言って叢雲は台所に行って茶を持ってくる。
「とりあえずお茶ど〜ぞ」
叢雲が台所から茶を持ってきてイリスに渡す。そのままイリスはにこやかに視線を投げかけてくる叢雲に見つめられたままその茶に口を付けた。

ベッドの上でイリスが穏やかな寝息を立てている。叢雲は鼻歌交じりにイリスの服を脱がせていった。
「睡眠薬って意外と使えるみたい…それにしてもイリスさん背も高いしイイ身体してますよねぇ〜」
眠っているイリスに叢雲が話しかける。そしてその叢雲の手には一本の注射器が握られていた。
「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してくださいね〜」
まだ酒がかなり残っているのか頭をふらふらさせながら叢雲がイリスに注射をうつ。
「媚薬の効果ってどんぐらいなんだろ…」
叢雲は紅い顔のまま楽しげに眠っているイリスの身体を眺めていた。

部屋の窓から日の光が差し込んでくる。
窓の横に置かれたベッドの上では叢雲に睡眠薬を飲まされ、服を剥ぎ取られた挙句媚薬を注射されたイリス・ザッカリンが穏やかな寝息を立てていた。
その横にちょこんとかがんでいる叢雲は酒瓶を呷りながらそんなイリスをうれしそうに眺めていた。

酒瓶を呷り、叢雲があらわになったイリスの胸を多少荒っぽく揉みあげる。
「んっ……」
寝たままのイリスがそれに反応するかのようにぴくりと身体を強張らせて小さな喘ぎ声を上げた。
その反応を見て叢雲はさらに胸を揉みあげ、さらに舐め始める。断続的にあえぎ声をあげていたイリスだったが、叢雲が彼女の秘所に手を伸ばしたころにようやくその眼を開けた。
「あ〜…イリスさんおはよ〜ございます〜…」
そう言いながらイリスの胸を軽く舐めあげる叢雲。
「ひゃぅ…ちょ、ちょっと叢雲さん!?」
その後続けるべき言葉の見つからないイリス。
「気にしないでいいですよぉ〜まだまだコレからが本番ですしぃ〜」
「ほ、本番…んぅっ!?」
叢雲の言うことがほとんど理解できずに聞き返そうとしたイリスの唇を叢雲が突然奪い去る。
「………っぷはぁ♪」
しばらくの間の膠着を経て叢雲がイリスの唇を開放する。その間叢雲はしっかりと自らの舌をイリスの口の中に入れていたりもした。
「ちょ、ちょっと…叢雲さん…何があったかよくわからないんですけどやめてくださ…ひぁっ!?」
「『やめて』って言ったって〜、こんなに濡れちゃってるのにやめちゃっていいんですかぁ?」
いつの間にかイリスの秘所を指先でいじり、その指先についた液をイリスに見せるかのようにひらひらと手を振る叢雲。
「だいじょ〜ぶですって、私以外誰も居ませんし〜」
「そ、その…そういう問題じゃ無…ひゃあっ!!」
「かわい〜声出しちゃって〜♪ 媚薬って結構使えるんですね〜」
嬉々としてそう言いながら叢雲はイリスの秘所に口を付ける。
「あ…ふあ…あぅ!!」
叢雲の舌の動きにあわせてイリスがより大きい喘ぎ声をあげる。そのまましばらくその攻めを続けていた叢雲は名残惜しそうにイリスの秘所から口を離し、そのままその秘所に自分の指を挿入した。
「……!!」
涙を流しながら声にならない悲鳴を上げるイリス。しかしそんなことはお構い無しに叢雲の攻めは続くのだった。

先ほどまでイリスが叢雲に陵辱されていたベッドの上で叢雲がおとなしく寝息を立てている。
その様子を見ていたイリスは軽いため息をつくと床に転がった酒瓶を見た。
どうやら叢雲は酒を飲んで酔っ払っていたようだが、まさかあのようなことをされるとは思ってもいなかった。いや、そもそも叢雲が酒を飲む行為自体想像し得なかったことだった。
完全に紅みの消えた叢雲の顔を改めて見ても先ほど起こったことなどまったく想像できない。
あれは夢だったのではないかと思ってみてもその考えを否定する材料は周囲に大量に残っている。

と、突然叢雲が跳ね起きた。
そして周囲をあわただしく見回し…
「あれ? イリスさんど〜かしたんですか? …ってあれ?もう夕方だし…」
そう言ってきょろきょろと辺りを見回したりしている叢雲にイリスが何を聞いても叢雲は酒を飲み始めてからのことを何も覚えていないのだった。

(2002.10.08)


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