孤独
御剣 叢雲
レヴァイア王国に来てからの叢雲は特に用事も無いのに外を出歩くことが以前に増して多くなった。
さまざまな場所に顔を出して騒動になることも勿論多かった。
道に迷うコトは決してなかったものの妙な店に入ったりヘンな男に声をかけられたりと叢雲に騒動が引き付けられているかのごとく叢雲の周りは騒動だらけだった。
「ふ〜…疲れたぁ〜っ…」
ベッドを取り払ってその空間に布団を敷いた叢雲は大きく伸びをしながら満足げにそう言って眠りについた。
「………雨」
窓ガラスを雨水が流れ落ち、ぼやけて歪んだ風景は昼だというのに灰色の雲に覆われていて、例外なく雨に打たれていた。
「…雨…雨雨雨雨あ〜め〜っ!! ちょっとは遠慮してよね!!」
勿論そんなことを言って止む雨など何処にも無い。
「暇だし〜…そんなときに限って誰も暇な人いないし〜…雨だし〜…はぁ…誰か来てくれないかな〜」
そんなことを言いながら窓の外をじっと見る叢雲。
勿論そんなことをしたから誰かが来たなどということは聞いたことが無い。
一分ほどそうしていた叢雲だったが、すぐにふてくされて窓の脇を離れた。
叢雲は一人で茶を飲んでいた。
既にこうし始めてからかなりの時間が経っている。その間に雨はいっそう強くなり、叢雲の表情もどこか暗く、硬いものになっていた。
「……誰か来てよ…一人にしないでよ…」
膝の上に置いた手のひらをぎゅっと握り締め、うつむきながら叢雲が小さくつぶやく。
「一人はイヤだよ…誰かそばに居てよ…」
そのまま身を小さくしてしばらく雨音だけが響き渡る。
「空さん…」
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