知らせ
御剣 叢雲
叢雲はカルカシアに来ていた。王都近郊の戦場と化しているあたりと違って敵部隊の姿も見えない。戦地にあると言うのに至って平和とも錯覚しそうになるほど静かな場所だった。
「叢雲ちゃ〜ん!!」
ひょい
「むげぁ!!」
陣中をぶらぶらと歩き回っていた叢雲に遠くから巨大な砂埃を上げて荻生が走りよってくる。
それをみた叢雲は落ち着いてそれをかわすと同時に軽く足を引っ掛けた。
「…んで、何?」
「王都の方の状況を伝えに戻ってきたのさ」
いつの間にか地面に数メートルの着地後(?)を残して倒れていた荻生が鼻血を垂れ流しながら叢雲の横に爽やかな笑顔を浮かべて立っている。実に不気味だ。
「王都の方では追撃部隊とこの間僕たちが攻撃した国境警備隊その2が壊滅したよ。それだけ」
「ん、りょ〜かい」
「それから情報屋の爺さんと厨房長さんから手紙。二人とも『暇だから戻ってきてくれ』だって」
「ってゆ〜か何で読んでんの?」
「あ、それから」
「無視だし…」
「共和国とクレアの上層部の動きが怪しいらしいよ。このままだと何か起こるかもね」
「怪しい動き?」
その言葉に怪訝な表情を見せる叢雲。
「ん〜…とりあえず王都の方の状況調べてきてくれるかな? ほかの場所は別にいいや」
と言いながら情報屋からの手紙を見ている叢雲の視線が紙の中ほどで固まる。
以前戦死したと見られていたクレアムーンの白峰渚将軍と同一人物と思われる 人物の目撃情報が帝都ラグライナから入った。
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