旗印
御剣 叢雲
「部隊の旗?」
「そ〜です、戦場で自分の旗があるのってカッコいいじゃないですか」
痣は何とかきれいに消えたもののまだ骨が折れたままの叢雲は布団の上に座った格好で緋和に旗の図案を見せていた。
「ん〜と…雷に…何コレ?」
その図面には雷をバックに無謀にも剣を斜め上方にかざしてシヴい目付きをくれているずんぐりとしたくちばしのある黒と白の動物――ペンギンが描かれていた。
「何ってペンギンのオットー・イマルニーナ5世くん(24才・彼女募集中)ですよ」
「…何よその夫のクセに彼女募集中の不可解な5世は」
「お父さんのオットー・イマルニーナ4世さんは『閣下』って呼ばないと怒るんだから注意してくださいね」
風になびく何ともコミカルな旗の群れを見て叢雲は上機嫌だった。
旗が完成するまでの間に叢雲の脚もそれなりに治って走り回るぐらいのことはできるまでに回復している。
「じゃあ、そろそろ戦場に戻らないとね」
こうして戦場にペンギンの旗がはためく事になる。
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