| 
意味
 
 
 御剣 叢雲 「え〜と…ファミリアさんとフレアさんが壊滅、イリスさんが部隊編成しないで離れて姫さんが壊滅…と」
 叢雲はいつも通りの軽い口調でレヴァイアの将たちの名前を言いながら指を折り曲げていった。最後に叢雲の指が一本だけ伸びた状態になる。
 「そんでもって私が一人だけ…か……それにしても」
 人差し指だけが伸び、ちょうど指を差すような形になっているその手をしげしげと見つめて
 「な〜んで『ちょっとベタベタだったけどそれなりに感動的な分かれ方だったな〜』とか思ってたのに二人で無茶苦茶仲良くなって食事当番とかしてるんですか!?」
 早口でまくし立てながら叢雲はエプロン姿の荻生と料亭の女将といった風情の緋和を渾身の勢いで指差した。
 
 「今頃分かったりするんだもんなぁ〜…」
 天幕の中で一人きりになった叢雲は何も置いていない机の木目に眼を走らせながらふと呟いた。
 「やっぱソフィアさんはスゴいんだねぇ〜…」
 ぼんやりと木目に沿って指を這わせる。指はぐねぐねといびつな円を描いてまたもとの場所へと戻ってきた。
 「漠然としか分からないけど兵士がいるってことはそれだけ働ける若い人が減るんだよね……しかも何百人、何千人って減るんだよね…」
 叢雲の指が二週目に入る。
 「私がいなかったら…少なくとも3000人の人たちは家で仕事したり好きな人と何かしたりできたんだよね…」
 ふと、指を止めて何かを考える叢雲。
 「……悪いことしちゃったな…」
 台詞とは裏腹に軽い口調で叢雲は言うと、軽く外の様子を覗ってから金ダライを手にこっそりと出て行った。
 
 |