神の刀

御剣 叢雲

叢雲は刀の手入れをしていた。と言っても幾分特殊な刀なので刃を研ぐ必要が無い。
護神刀だか御神刀だか忘れたが、ユーザーフレンドリーでありがたいことだ。
なぜか刀身は蒼く光っている。そのためか知らないが油を纏って切れ味が鈍ることも無い。とことんユーザーフレンドリーでありがたい。ついでに軽いのもうれしい。
そんなことを考えながら叢雲は何気無しに使ってきた刀を初めてじっくりと観察した。
もともとは死んだ幼馴染の神社に奉納されていたものだ。ごたごたがあった時に貰い受けたものだが……
「う〜ん…『轟雷刀』ってコトは雷でも出たりして…どうやって出すのかな…」
刀をぐるぐると回してみたりぶんぶんと素振りをしてみたり地面に突き刺してもなんら変わりは無い。
「あれ?破壊衝動に駆られちゃってどうしたんだい?」
そこに突然通りがかった荻生は緋和と仲睦まじく買い物袋を抱えていたりする。
「破壊衝動って…それからキャラ変わりすぎ!!」
「ほらほら…カルシウム足りてる?あっそうだ、牛乳飲む?」
のほほんと買い物袋の中から牛乳をごそごそと取り出す荻生。
「い・り・ま・せ・ん」
「4.5なのに?」
残念そうな荻生と、その肩を軽く叩いて慰める緋和。
「だ〜からキャラ変わりすぎだって!!」
と叢雲が言った瞬間、突然眼をくらますほどの閃光と空気を裂くかのような轟音が響き渡る。
「…え?」
とっさに眼をかばった叢雲が恐る恐るその眼を開けてみると、黒焦げになった荻生がぷすぷすと黒い煙を上げていた。

「何で出ないんだろ…」
叢雲は一生懸命刀を振ったり回転させてみたりしていた。
「さっきは納刀したまま出たのに…」
と、近くの木に向って殺意を抱いてみたりいろいろな感情をぶつけてみる。
「あれ?叢雲さん演劇の練習?」
通りがかった荻生の一言に叢雲の背中で悪寒が暴れ狂う。
「『さん』付けすんな〜!!」
閃光と轟音。
「…………突っ込み専用?」
夕暮れの空をカラスが鳴きながら飛び去っていった。

(2002.11.09)


年表一覧を見る
キャラクター一覧を見る
●SS一覧を見る(最新帝国共和国クレア王国
設定情報一覧を見る
イラストを見る
扉ページへ戻る

『Elegy III』オフィシャルサイトへ移動する