その後…
御剣 叢雲
叢雲は膝を抱えた格好で壁に向っていた。
夜だと言うのに明かりも点けずにじっと座っている。
「………」
陵辱されていたところから救出され、今はそのまま案内された建物の一室の中に居る。
薄明かりに照らされる叢雲の顔にはありありと困惑がにじみ出ていた。
戦場で自分の命令を受けて文句も言わずにその命を投げ打ってくれたのも兵士であり戦場で自分のことを散々なまでに陵辱したのもまた兵士だった。
自分にとって特別な存在である空翔三郎も、一度は「やりたいからやる」と自分を犯したこともあった。
――まあ、今となってはそのことを恨んでいたりなどまったくしない。
そんなこんなで叢雲は人間不信になりかけていた…
しかし結果から言えば自分もレヴァイアの民を殺すことをしていたのだ。それに対して兵士があのような行為に出るのも当然のことかもしれない…
殺されていても文句は言えなかったのだ。しかし――自分を陵辱した兵士たちは己の享楽にふけっていたようにしか思えなかった…
叢雲の頭の中を同じ考えが何度もぐるぐると回る。
そんな叢雲を置いて、時間は足早に過ぎていった。
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