キリグアイにて
御剣 叢雲
カルカシアで編成した部隊は帝都を経由してキリグアイに到着した。戦場はこの周囲に数箇所あるが、叢雲はその一つであるキリグアイから北上したモンレッド集落周辺へと向うことになっていた。
「モンレッドに敵の大将さんが来てる?」
戦場へと向う直前の準備を行っている間、暇をもてあましていた叢雲は報告を聞いたとたんにがばっと立ち上がるとその眼を輝かせて入念な下準備を始めるのだった。
「…とゆ〜わけで、今からモンレッド集落に向うけど心の準備できてる!?」
叢雲が目の前に並ぶ2000の顔を見渡しながら彼らの士気を鼓舞する。
「作戦と言うか私たちが取る行動は一個だけ!! 気合入れて暴れまわるぞ〜!!」
その声に大きな鬨の声が上がる。
「それから…私みたいに今まで帝国の敵の軍率いていた人間なんかについてきてくれてありがとう…」
突然叢雲の口調がゆっくりとした調子のものに変わり、それと同時に声の大きさも必然的に下がる。しかしその言葉はしっかりと全ての兵士の耳に刻み込まれていった。
「戦争なんてどんなに強い一人の人がいたって勝てるわけない…それに私なんて独りじゃ何にもできない…だから私を信じろとは言わないけど…」
「だけど…みんなを信じさせてください」
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