モンレッドにて
御剣 叢雲
モンレッドに到着した叢雲は立て続けに二度の突撃を行った。
強行移動の後の共和国議長ラヴェリアへの突撃。そしてそのラヴェリアの部隊がガイ・アヴェリへと転進した直後の共和国将ショウへの突撃…
帝国将軍との連携もうまくいき、戦果としてはなかなか大きい成果を挙げてはいたが叢雲の部隊は疲労の色を強く見せていた。
「ん〜…このままじゃまずいみたい…」
「叢雲ちゃん叢雲ちゃん」
覇気のない兵士たちを見ながらどうしたものかと思案する叢雲の背後から緋和が楽しげに近寄ってくる。そういえばあうのもしばらくぶりだ。
「子供…できちゃった♪」
「せーぜーいい子に育ててください…」
「あ、それからちょっと気が早いんだけど名前はむらく……」
言い知れぬ嫌な予感の走った叢雲がギリギリで緋和の口をふさぐ。
「その名前だとぜ〜ったいに平和な人生遅れないと思うからお勧めできませんっ」
「う〜ん…じゃあ他の考えるかな…で、最近どう?」
あたりの兵士に覇気がないのを緋和も気づいていたのだろう。辺りを見回しながらのんきに叢雲に問いかける。
「そ〜ですね…二回も連続して突撃してたからちょっときつくなってるかな…いつ壊滅してもおかしくないですよ」
「叢雲ちゃんって…本っ当に壊滅するの好きね〜…ちょっとは自分のことかわいがりなさいよ それにしても…」
口調をがらりと明るくして緋和が叢雲の額を軽くつつく。
「最初は兵士が数人死んじゃっただけであんなに動揺して『殺してくれ』って騒いでたコがいつの間にか成長したもんね…」
「そ〜いえばそんなことありましたね〜…」
「その頃って確か…」
そのまましばらく昔語りに花が咲く二人。
「緋和さん…いろいろあったけど今まで本当にありがとうございました…」
「ん〜? うん」
「そろそろ…行かなきゃいけないんで…またどっかで会えるといいですね」
「騒動起こらなかったら歓迎するわよ」
その言葉を背で聞きながら、叢雲は再び戦場へと戻っていった。
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