えれじ〜3−壷の愛好者−(題名に意味は無し)

白峰 渚

−クレアムーン−
「トム君、滝だよ」
一人の女性が、傍らにいる男に言う。
「…滝だな」
「何かの魚が滝登ると、龍になるんだってさ」
「ほう」
「………人間が登ったらどうなるのかな」
「知らん」
「確かめてきて♪」
「ざけんな馬鹿女」

−白峰家−
「ガレスさん、助けてくれ! 渚に殺される!」
数十分後、トムが白峰家に駆け込む。突き落とされる寸前で逃げたらしい。
切迫した表情のトムを見て、ガレスが勢い良く戦斧を取る。
「よし、分かった! 安心しろ、渚の手が汚れる前に俺が殺してやる!」
「なんでそうなるんだぁぁ!」
「心配するな、葬式は立派なのをあげてやる!」
「そういう問題じゃねぇぇ!」
脱兎の如くトムが逃げ出す。
「そうか、もっと楽に死にたいんだな!?」
「俺が死ぬ以外の選択肢を作れ、この馬鹿親父ィィィ!」


「…ここまで逃げりゃ…ぜぇ…大丈夫だろ」
息をきらしたトムの上…正確には木の上から声がかかる。
「やぁ、どうしたんだい?」
黒衣の男…アビスである。
「渚から逃げてるんだよ…さっき一人増えたけど」
「ふ〜ん。ところで渚がこっちに走ってくるけど」
「な…何故!?」
木を見上げると、『トム君はこの木の下』という垂れ幕がかかっている。
「お・・・覚えてろぉぉ!」

「だ…駄目だ…もう死ぬ…」
路上でトムが倒れていると、頭の上から声がする。
「トムさん、大丈夫ですか? …お姉ちゃんったら、また無茶するんだから…」
渚の妹、蛍である。トムはこの時、蛍が女神に見えた。常識人の蛍にならば、殺されまい。
「ああ…助かった…今度ばかりは死ぬかと…」
よろよろと立ち上がるが…疲労していたトムは、躓いて、蛍を巻き込んで倒れてしまう。
「ちょ…トムさん、大丈夫です…か?」
蛍の目が一点を見つめる。そこには渚とガレスが鬼も逃げ出しそうな形相で立っていた。
「トム君…アタシの頼みを断るだけじゃ飽き足らず、蛍を押し倒すなんて…」
「蛍を押し倒すたぁ、いい度胸じゃねぇか…決めた。てめぇは森に放りこんで、生きたまま犬に喰わせてやる」
「ちょ…お姉ちゃ…ガレスさ…ち…違うの。これはね、トムさんが転んで…」

その後…トムが一週間後に鬼哭の里近くの森で発見されたと聞いて、少しばかりの罪悪感を覚える蛍であった。


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SS書くスピードがエレナデより確実に落ちてますね〜、俺(w
しっかし…渚主役のSSのはずだったのになぁ(笑)


(2002.09.11)


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