神剣抜刀隊の挑戦〜鳴動編〜

白峰 渚

―…みすみす帰ってくるとはな。神剣抜刀隊の名も地に落ちたものよ―
―名誉挽回の任務を与える。何、簡単なことだ…―
「…帝国のリュッカ侵攻部隊を全滅させろ…? 無理に決まってるじゃないか…!」
一人ごちる渚に、隊員達が励ましの声をかける。
「…渚隊長…大丈夫ですよ、そんな簡単に死んだりしませんから」
「そうですよ、隊長がそんなんじゃ、やる気でませんよ?」
「そうそう、渚隊長に鍛えられてるんですよ? 帝国に負けやしませんよ!」
それを見て、渚は一瞬悲しい顔をしたが、すぐに明るさを取り戻し、叫ぶ。
「…うし! 皆、良く聞いて! 我等クレアムーン神剣抜刀隊! これより最後の一兵まで突撃する! 目標は敵部隊…全部!」
おお! と、ときの声が上がる。
「よし、建前終了! こんな馬鹿馬鹿しい命令につきあう必要なんてない! 帰りたい人は帰って結構!」
そのまま、しばらく反応を待つが…誰も動こうとはしなかった。
やがて、隊士の一人が叫んだ。
「俺達は例え黄泉までであろうと、渚隊長と共に!」
続けて、別の兵士が叫ぶ。
「そうだ、我等の魂、常にこの神剣抜刀隊と共に!」
次から次へと叫びが上がる。それは、渚の魂の奥底まで響いていた。
「…ありがとう…皆…大好きだよ!」
零れる涙をぬぐい、渚は叫ぶ。
「よし、全軍抜刀、突撃せよ! …絶対生きて帰ろうね!」
戦場に翻る白き旗…そこには、確かな決意が込められていた。

(2002.09.30)


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