第四夜
結城 紗耶
紗耶が副官に就任し、1週間余りが過ぎていた。
その間、職務を抜け出しては釣りに行たりと、紗耶はエアードと行動を共にしていた。
紗耶は、エアードが釣りに行くと言えば、お弁当の用意をしたり、
主にエアードの身の回りの世話、言わばメイド職とも言える。
これが副官の仕事と言うかは大きな間違いがあるが、
少なくとも紗耶は、それが副官の仕事であると思っていた。
そうしてエアードと共にいる時間を過ごす内に、エアードが時折見せる「優しさ」
深く読む事の出来ない瞳の奥の「考えの深さ」に、除々に引き込まれていっていた。
そして・・・帝国が大きく動き出した。
今までは牽制で済んでいた戦争も、激化するに伴い、
クレアムーン第2部隊『蒼風』にも出撃の命が下ったのである。
元々「クレアへの恩返し」がエアードを軍に留まらせているのであるから、
エアードが、その命を拒むはずもなかった。
だが元々、戦争やクレアの命とは無縁の位置で動いている紗耶にとっては、さして重要な事ではなかった。
『今この時が止まり・・・永遠に続けば良いのに』
紗耶「エアードさんが勝つ・・・エアードさんが負ける・・・エアードさんが・・・」
エアード「ん・・・紗耶、何してんだ?」
紗耶「花占いです、実家にいた頃は良くやっていたんです。良く当るんですよ(^^)」
エアード「そか、で、何を占っているんだ?」
紗耶「戦の・・・行方です」
良く見れば、紗耶の足元には無数の花が散乱し、それが1度や2度でない事は明らかであった。
紗耶「エアードさんが勝つ・・・エアードさんが負ける・・・」
エアード「・・・紗耶・・・それ何回目だ?(==;」
紗耶「34回目です」
エアード「・・・良く当るんだよな?・・・もうやめてくれないか・・・?(−−;」
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