第七夜
結城 紗耶
降りしきる雨・・・すでに丸3日降り続いている。
その雨を見ながら、結城紗耶の父は口を開いた。
紗耶父(仮)「ううむ・・・おかしい、時期が早過ぎるのだが・・・もしや」
クレアより、ほどなく離れた紗耶の故郷では、およそ18年周期で、集中雨に見舞われる。
その雨は、特に風が強いわけでもなく、ただただ静かに降り続けるのである。
荒神が現れる時、必ず起きる現象である。
しかし今はまだ前回、つまりは紗耶の母親が荒神を静めて17年余り。
季節的にも時間が合わない。
紗耶の故郷のある小さな村は、シチル川の源流に近く、水に恵まれた土地柄であったが、
一旦大雨に見舞われると、源流は濁流となり、全てを飲み込む。
遥か昔には、その被害はシチルが流れるクレア都市近隣にも、多大な被害を及ぼした。
後に、紗耶の家系は、その力を持って濁流となる荒神を静める役割を担うようなったと言う。
しかし、荒神の力は強大で、その力を静めるには、贄となる巫女の命をも奪う結果となっていた。
紗耶父「・・・仕方があるまい」
後日、紗耶の父はクレアへと出向いている紗耶に、間者を送ったのである。
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