狭間
セグトラ
…暗い…ただ暗い場所…。
何も見えず…何も感じず…黒く塗られた闇…。
何故自分がここにいるのか…ここは何処なのか…何もわからない…。
思考を凝らす…最後に見たものは…全てを断ち切る白銀の一閃…。
己の肉体が引き裂かれていく感覚を思い出す…痛みは無かったと思う…その前に意識を失っていたから…。
死…その言葉が脳裏をよぎる…。
死んでいるなら…今思考している私は何だろうか…幽霊?…馬鹿な…。
思い直し、身体に意識を向ける…徐々に…徐々に…意識が身体に溶け込んでいく…。
最初に襲ってきたのは痛みだった…全身から激痛が伝わってくる…。
同時に自分が生きている事を知覚する…それは安堵と失望を同時にもたらした…。
生きていた…死ねなかった…生きていられた…。
与えられた痛みは一気に意識を覚ましてゆく…程なく暗い闇の正体に気付く…。
ゆっくり…ゆっくりと目を開けていく…眩むほどの光…霞んではいるが自分が存在した現の世…。
大きく息を吸い込む…傷が痛むが気にせずにさらに吸う…限界に達したところでゆっくりと吐き出す…。
一つ一つの行動が生きている事の証となる…全てがそれを物語っている…。
まだ…生きている…と…。
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