出会い

ショウ・ラングド

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………。」
「隊長、大丈夫ですか?」
「はぁ…あ、ああ。」

ここは…俺の部屋か。今のは…昔の夢か…

「…ふう、もう大丈夫だ。…君は誰だい?」
「え? あ、そうでした。
 本日付けで、共和国第7部隊『Shooting Star』の副将に任命されたアスティです。
 以後、よろしくお願いします。」
アスティはぺこりとお辞儀をしてきた。
こちらもお辞儀を返す。

「ああ、よろしく。ショウ・ラングドだ。
 俺はあんまり軍律を気にしないから、そこのところだけは覚えててくれ。
 まあ、他にも色々と噂を聞いていると思うがな。」
「はい、いろいろとお話は耳にしております。隊長、よろしくお願いします。」
「ああ、よろしくな。
 あ、そうそう。1つ聞いていいか? ここは…俺の寝室だと思うのだが。」
「え? あ、その…。」

彼女は予想外のことを聞かれ、慌てている。

「ちなみに今は世間一般で言うところの夜だと思うんだが。」
「えっと、あの…その…。」
「まあ、夜のお客さんっていうのも嫌いではないが。」
「あの、その…それでは隊長、失礼します。」

彼女の顔が一気に真っ赤になった。

「ちょっと待て、まだ話しは終ってない。」
「え、あ、その…何も…しないですよね?」

真っ赤な顔のまま、おどおどと聞いてくる。

「ああ、大丈夫。取って食おうなんて考えてないから。」
「は、はい…分かりました。
 お手柔らかにお願いします、隊長。」
「ははは、まあ、ベッドにでも腰掛けといて。飲み物を入れてくるから。
 お酒はだめだな…お茶でいいかい?」
「は、はい。」

少しほっとした表情でベッドに腰掛ける。

「砂糖とミルクは?」
「お願いします。」
「ん、分かった。はい、どうぞ。
 で、早速質問だが、何でこの時間に来たんだ?
 俺が寝てたら…まあ、起きたけど、どうしてたんだ?」
「えっと…その…ですね、起こそうと思ってました。」
「ふ〜ん、で、俺がいきなり襲ってきてたらどうするつもりだったの?」
「それは…隊長はそんな人じゃないって聞いたんで…。」
「分からないぞ。アンタみたいな可愛い子だったら。」
「え?」

また彼女の顔が顔が真っ赤になる。

「まあ、あんまり夜中に男の部屋に来るなよ。
 タダで帰れるわけがないんだからな」
「は、はい。分かりました、隊長。」
「あ、あとな、あんたのその隊長っていうのやめて貰えないかな?
 どうも俺って隊長って言われるのは性に合わないんでね。」
「はぁ、じゃあ…ショウ…さん、でいいですか?」
「ああ、いいよ。」
「じゃあ、私も名前で呼んでもらえませんか?」

ちょっと不安そうな顔で聞いてくる。

「ああ、良いけど。じゃ、アスティでいいかな?」
「はい!!」

すぐに笑顔に変わっている。

「まあ、明日…てか朝からだな。頑張ってくれよ、アスティ。」
「はい、頑張ります、ショウさん。
 あの…わたしそろそろ帰ります。」
「何なら泊まっていくか?」
「え?ええええええ!? え、あ、その…い、いいです。」

今度は耳まで真っ赤になる。

「あはは、冗談だよ。ま、泊まっていっても別にいいけどね。」
「もう、ショウさんったら。って、あ、あれ? なんか眠く…。」

バタン…

「スーーー、スーーーー。」

何とも幸せそうな顔で眠っている。

「ふう、やっと効いてきたか。本当に警戒心が薄いな…。
 もう少し噂を聞いてきてるとは思ったが…。
 大方、緊張していたんだろうな。
 ま、ゆっくり眠りなよ。」

幸せそうな寝顔を見ているとこちらも自然と笑みがこぼれる。

ベッドにきちんと寝かせ、布団をかけてやる…

「さてと、俺は作戦でも練っとくかな。
 少しでも…被害を減らさないとな。
 兵のためにも、この娘の為にもな…」

(2002.10.05)


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